戦闘悪魔・師宮ヴォルテ准一の怪談

いやー!怖いなー怖いなぁー!

怖い話をハイテンションで語られると怖いモノであろう!?


申し遅れましたこの俺、芸名を師宮勝利剣シノミヤエクスカリバー

と申し上げます。以後、お見知りおきをゥ!


さてもさても心霊モノで欠かせないテクニックは

調子が悪い感じの人間の話を聞いてやって

憑いてるからこちらのお清めのグッズをとか言って

ただの食塩や石ころを高値で売らせる!こういった事を考える

悪魔の様な人間、怖いですよねー。

不幸な人間は更に不幸な人間によって慰められる。

誰が言ったか知らないが世情と言うのは儚いモノ!


幽霊なんて怖い話をしていれば漫才を見る感覚で

チラホラ寄ってくるものだ。ホラ、今後ろに何か・・・

と見せかけてキシャアアアア!!!

悪魔から注意を逸らすでないぞ?

俺は特に何もしないが人間の弱みに付け込むのが悪魔!

暴力は割に合わないから現世の悪魔はあまり人類に干渉しないのだ。

霊障の類は芥子河原がしてくれるから

何か起こっても大丈夫だ!アイツがインド映画顔負けの踊りをしながら

幽霊を祓っていく様は何度見ても笑っちまうがな!!



そして本題の怪談へと入るんだが・・・

それはある日の乾いた夜風の涼しい、そんな夏の話。

とある人間が体験した出来事だ。


男はある日、アパートの一室でテレビを観ていた。

すると、下の階からなのか、どこからなのか・・・

ダイレクトに踏切の遮断機の警報音がけたたましく聞こえてくる。

ポーンポーンポーン・・・あまりの出来事に外を見た。

しかし、何もない。翌日、仲の良い隣人にその話をすると

「そんな音聞こえてませんね」と一言。

自分の気が狂ってしまったんだろうか?

彼は一睡も出来ないままずーっと遮断機が下りて

警報が無機質に鳴り続ける音で

耳をやられて、頭の中に残響がひしめく・・・


おかしいなぁと思いながらも、自分の住んでるアパートの敷地は

元は廃線になった電車の路線があったと言う程度の話ぐらいしか分からない。

ちょうど踏切の場所が自分の住んでるアパート・・・

そうであっても納得が付かない。なんである筈の無い遮断機の音が?


怪しがりつつも部屋に戻ると全く景色が違う・・・

そこは知らない線路の上になっていて

いつの間にか身体は動かなくなり

強烈な耳鳴りと眩暈で倒れ込む。

すると踏切のあの音・・・ポーン。ポーン。

線路から振動が伝わる。確実に電車が迫る。



動けない!声が出ない!助けて!助けて!

プァ―ン・・・ガリガリガリガリ!

制動の音、強烈な振動。目の前は真っ暗になる。


なんだ、死ぬときってそんなに痛みは無いのか・・・?

しかし、俯瞰で見えた景色にバラバラになった

自分と思しき血と肉の器。明らかに臨死体験だった。


すると、朝になって・・・それは夢だと気付いた。

もう2度とあんな夢は見たくない。

死ぬ夢と言うのは生まれ変わる事の暗示なんだと

どっかの本で読んだことがあるし・・・

男は一回死んだつもりになると強くなれた様な気がした。

しかし、その日の夜・・・また踏切の警報音が聞こえる。

ポーンポーンポーン・・・

その日から男は毎夜電車に轢かれる悪夢にうなされる事になったと言うお話。


次にその夢を見るのは・・・誰でしょうねー・・・?



お友達悪魔:芥子河原ヴェンデッタ悟よりコメント

「トイレ行っておけばよかった・・・」

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