魔界武道アブソリュート空手

師宮しのみやの野郎は183cmある剣術馬鹿であるが


神代涼クンも測ってみたら176cmぐらいあって手足が長い・・・

ちなみに俺は179cm。1芥子河原=179cmなのだ。

人類よ。不必要な単位には気を付けろ!

彼の戦闘を想定するに当たって下手に武器術を仕込むと

超級悪魔アスタロトの器であり強大な力を誇る者として

マイナスになる可能性が高い。

悪魔は戦うが運命さだめ。そもそも現代人も

生きる事が戦いだろ?俺達悪魔は肉弾戦だ。


俺は魔界において球技がかなり下手過ぎて

投げる肩力だけは無かったんで

魔界の学校体育で必修だった手榴弾野球の地雷男と呼ばれていた。

それをひた隠し・・・長所である火事場の馬鹿力を有効に使う為に

ステゴロ技術を昇華した武術であるアブソリュート空手を嗜んでいたのだ。

アブソリュート空手とは、悪魔のフィジカルを利用し

強靭な拳を杭打ちの様に叩きつけ

ハンマーのような大剣と形容される蹴り技

そして俺が最も得意とする流れるような関節技、制圧術を使うのだ。

身の危険を想定して、頭突きや肘撃ち、その場にあるモノを利用した

バイオレンス溢れるストリートの技術も存在する。

結ちゃんにも教えてあげたいがおそらく悪魔が裸足で逃げだす

解体ショーをやっちまうだろうからご遠慮願うぜ。


アブソリュート空手は仕込まれたヤツの悪魔度合いで

スタイルが千差万別。

おそらくは人類の格闘技でもそうだろう?

何が必要か。何が自分の長所なのかは

人それぞれ。だからこの世は面白いのだ。


何気に芹沢綾さんの家にはちょっとした武道場があるんで

ちょっと拝借する事に。

元は由緒ある古流柔術や剣術の道場を営んでいたらしい。



どんな打撃術でも肝心なのは体重移動だ。体幹を軸にして

最小限の動作で体重を叩きつけるのが

全格闘技の共通事項と言っても良い。

背骨から全身でパワーを出す事が出来てないと

効かないし、使う側も手ごたえが無い事だろう。


だが、涼クンもなかなか様になっている。

脇を締めてのパンチ。フットワークをしても

ガードが崩れない。何より基礎体力がしっかりしている。


俺はキックミットを持って彼の右ミドルキックを受ける事に。


「はぁっ!」


破裂音より先に衝撃が全身に伝わる。

踏ん張ったのが運の尽き。モロに受けて

俺の身体は吹き飛ばされた。

魔界プロレス仕込みの受け身を知らなかったら

何とか致命傷で済むと言った具合だぜ。


「あっ!大丈夫ですか!?」


伊達に魔界プロレスで鍛えて来たワケじゃないが・・・

こいつはいつか試合したルシファーのマジキックレベルだ。

彼の目は罪悪感に反して闘争を求める、矛盾して混乱した

なかなかのデビり具合を表している。

本来悪魔は戦闘狂なのだ。彼の優しさに反して

爬虫類の様な瞳孔がアドレナリンの上昇を示す様に収縮している。


「じゃあ、次、コレやってみ?」


取り出したるはボウリングの玉。10ポンド。

人間の血肉の詰まった頭蓋骨と同じぐらい。

まぁ人間の頭よりは固いモンなんだけどさ。

コイツを踵落としで割って貰う事にする。


彼の柔軟性はストレッチの段階で確認済みだ。

普通なら無理だと思うのが正解だが・・・

「行けそうな気がします!」

アブソリュート空手とは絶対無二の己の力。

悪魔フィジカルの体現と言っても過言ではない。


左脚が天井まで上がって振り下ろされる・・・

普通の人間なら当たっても大怪我だ。アキレス腱と

踵の骨は無事では済まないが・・・

バゴン!と綺麗に縦に割れやがった。

これは殺されヴィジョンが浮かぶぜ。気持ちよく逝ける破壊力だ。


やはり悪魔の器と言うだけあって生身でもかなりのポテンシャル・・・

後半はメチャクチャ悪魔のコマンドサンボでも仕込もうかと思ってたが

彼をあんまりデビらせると俺が殺されかねないので

打撃練習程度にしておいたぜ。


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