悪魔のお告げ

人は何者かになりたがる。有名人、モテる人間。金に困らない敏腕経営者。

早くそうなりたいと願うが成長の種とやらは誰かから買うモノではない。

だがそれを信じてる人間達はそれを高値で売りつけられ信じ込み

石ころの価値も無いそれが自分を天高く持ち上げてくれる

そういう何かの豆の樹になるのだと信じ続ける。



そうやって胡坐をかいてる間にお前は搾取される。

それを選んだのはお前自身なのに

いつの間にか置いて行かれる・・・

当たり前のことだが、焦り出した頃にはもう遅い。

お前の喉笛を引き裂いた詐欺師はハイエナの如く

次の死肉を食い散らかしに行くであろう。

物事は単純に生存を目的とした生命活動なのだがこのご時世では

ワケ分からん横文字で難しく見せやがる。

要らない過程ばっかり拵えて商売してる奴らもなかなかに悪魔だぜ。


生きる間にやる事を原始的に例えるとするならば

お前が自分で地図を認識して方角を知り、現在地から

目的地までどうやって手持ちの荷物で辿り着くか。

その繰り返しがお前を成長させる。

その過程で雷雨に遭遇する。嵐に遭遇する。

だけど生きる術を自力で勝ち取ることが出来る。

それが経験と言う名の資産だ。

経験はお前を裏切らないからな。


気持ちいい事とか辛い事なんてのは

主観的に感じる基準でしか判断出来んのだ。

実際にはあり得ない事、割に合わないことを普通にやってるかもしれない。

不幸自慢をすると上には上がいるもんだから気を付けろ。

いつからお前一人がこの世の不幸全部背負ってると思い込んでる?

お前は不釣り合いな理想の下で悶え苦しんでるだけだ。

誰にでも物差しで測れない特技の一つや二つあるもんだ。

人の心は世界とか宇宙とつながってかもしれないが一人称なモノ。


現代ではインターネットで世界とつながる事が簡単になったが

どうやっても人の心にはつながらない。似て非なるものなのだ。

その中でどこかの金持ちの仮装してるヤツが語る成長なんて

お前の現実感を盲目にして崖から落とすだけの御伽噺だ。

成長も良いが、状況に見合った進化をする方が

生き延びる確率は高くなる。


ぶっちゃけて言うと明日の心配なんてしなくて良い。

超の付く大災害が起ころうとも

お前には何も抗う力が無い。

ただ、生きる為のモノを揃えて

お腹が減らない様に、衛生環境を保つべく

信頼できる人と手を取り合い奔走する事しか出来ない。



だが、生きる事の本質はそこだ。

不摂生な現代人は情報のコレステロールでドロドロ血になり

脳のセロトニンとかアドレナリンみたいなモンが減少して

狩猟生物だった頃の闘争本能が失われつつある。

別に大災害が起きて現代社会が崩壊すればいいとか

そんな事を言ってるんじゃない。

ただ一つ言える事は、自分の為にどれだけ必死になれるかだ。

俺は基本、デビってる生き物だが他人の言ってる事が

イヤでも聞こえてくる方なんで、人間関係には敏感だと自負している。

魔界に居た頃に家の近くで誰かが大喧嘩してた時だったかな?

それはそれは殺し合い寸前の雰囲気を呈していたが・・・


俺はと言うと足の親指の巻き爪が食い込みに食い込んで

歩くのもしんどくなったので遂に取り除こうとしてたのだ。

医者に行くと金かかるし、道具が揃ってたんで

大きめの毛抜きで少しずつ剥がしてったのだな・・・

腫れが進んでて気付いたが、根本から剥がせば

手っ取り早く行くなんてくっだらない事を発見すると

俺はただ夢中になって行く。集中力が途切れたら激痛で悶え苦しむぜ!


そう。あの時の俺はと言うと

周りの争いよりも巻き爪の痛みの方が俺にとって重要だった。

人は協調性を問われる生き物だろうが

自分の取り分が全く無いのに時間を搾取されたりはしていないか?

それは消費者ですらない。現代の奴隷だ。

周りがいくら喧嘩していようと、痛みに堪えるので必死で

ひたすら没頭してた。周辺は魔力のぶつけ合いで丸焦げになっていたが

俺はと言うと根元からキレイにズルっと巻き爪を抜き取る事に成功し

鎮痛剤ブチ込んで冷や汗まみれで我ながらキレイに剥がれた巻き爪の

爪と皮の境目ぐらいのプルプルした所を眺めていた・・・


要するに社会が時代を経てどんな形に変わろうとも

自由の身である限りはお前の感覚が何を捉えるかで

いろんな風に場面が変わっていく。

この世界がつまらないと言うのは生きる事を諦めたヤツの決まり文句だ。

お前が面白いものを見つければ世界が面白くなる。

人類よ。幸せは歩いてこないぞ。デビルあるあるだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る