第11章:デビルスタンドオフ

悪魔探偵・今際野結の怪談再び

怖いなー怖いなー。怖い話をしてと振られて

本当に怖い話放り込まれるの、怖いですよねー?

怖いって何回言ったかもう覚えておりません。


はぁー。申し遅れました私、怪談師、今際野癒無限イマワノキュアインフィニティ

と申し上げます。以後お見知りおきを!


今回は、警官時代に遭遇した怖いお話をおひとついががでしょうか?


・・・いやー、あの頃は基本、不規則だったり長時間勤務だったりで

寝る時間が足りない。オフの日には体の電源がログアウト。

装備が重たい。夏は暑い上に身体中凝ってるんで

寝ている間に頭が枕の底へめり込んでいって

結果として首を痛める。そんな繰り返しで疲れがたまってたある日の事。


極端な話ではありますが、疲れたら幽霊が見えるなんていうのは

脳の誤作動。つまりは気のせいと言われがちですが

もしもその時、極限状態の人間が第六感に目覚めてたとしたら・・・

見えたってぐらいならまだ錯覚かもしれませんよ?

だけどあの時の感じと言ったら、それどころではなかったんです。


交番で勤務していたある日の事。あれは雨が止んで湿気があって

時間だけが過ぎて行った夜。珍しく酔っ払いの珍客は現れず

危ないお薬をお召しになられてこの地球は狭いと言う方も居なくて

先輩の巡査部長と二人で今日は楽勝だなと談笑してました。

しかし、配属された交番は「出る」とか

「幽霊が訪ねてくる」と評判で、たまに人が通って無いのに

何者かの気配がする。幽霊は居ても悪さしないからって信じない人が多いし

生きてる人間が無言で交番に来る方が怖いだろって結論で・・・



そんな中で急にヒヤっと涼しくなって

おかしいなぁー?まだ空調弄ってないのに・・・

そう思ってると交番の扉がスーっと開いたんですよ。

誰も居ないんです。

これは・・・怪奇現象?

警察官のクリアリングは拳銃を奪われない様に

左半身を前にして進んでいくのですが


その時一緒に居た先輩には

「たまにあるんだよねー。」と言われて

さも怪奇現象が日常なのか・・・と思い知らされますが

戸を閉めた時に今度はまた強い力でバァン!って開いたんです。

いやいや、これはおかしいですよ!って言いましたね。


すると周辺にかつてない生臭さが漂います。

魚とお肉の腐った感じのが生温かい風に乗って・・・

一緒に交番勤務していた先輩はもちろん幽霊信じない派だから

「こういうのってもしかして」と言っても

何も言わないんだろうな。冷めてるから。

と諦めた感じで交番の中を振り返ると


その先輩、イビキをかいて眠り始めたんです。

殴られた人がそうなった時の様に糸が切れて

いきなり意識を失ったように・・・


周辺の生臭さは一体?そして先輩はどうしてこうなったのか?

頭は混乱しましたが、背後から更に強い生臭さを感じます。

豚足をダメにした様なあの匂いです。


すると耳元で誰かが囁きました。低い声で・・・

「お前は見えるんだな」って。

鮫の様な目をした何者かがギョロっと覗き込んできて

ヌッと横切って壁の向こう側へ消えていきました。


幸いな事にすぐに先輩は意識を取り戻し

それ以来生臭い幽霊さんには会っていませんが

その後で、とあるアパートで異臭騒ぎが発生した時に

住人の方にお話しを伺ってたら一言。


「誰かが亡くなられたとかじゃ無いみたいなんですが・・・

 腐ったお肉みたいなんで・・・」

その時、再び鼻にあの時の生臭さが漂ってきました・・・


どちらかと言うと幽霊が見えると言うのは良い事ではありません。

しかし、不自然にその場の匂いが変わる時

何かの兆候かも知れません。



皆様。良い一日を・・・


所属悪魔:芥子河原ヴェンデッタ悟よりコメント

「またボケると思ったのにガチだった。トイレいけない」






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る