第10章:エクストリーム・デビル

アスタロトの記憶

神代涼と言う少年が宿したアスタロトと言う悪魔。

感覚に優れ、非言語的な情報を読み取る超級悪魔なんだが

真実こそが嘘みたいなモノで・・・人間が下手にデビってしまうと

気が狂って地獄行きまっしぐらになるのだ。

人類よ。知らない方が良い事には気を付けろ!


今の時代は安っぽい砂糖菓子みたいな情報でいっぱいだ。

人工甘味料まで織り交ぜていよいよ腸内環境が悪化していくぜ。

人間の脳は糖分で動いているがそればっかり食ってると

タンパク質不足で身体と脳味噌がブヨブヨになるのだな。

かと言って糖質カットも考え物。

子供の知恵熱で出てくる様なケトン体がガタイを駆け巡り

一気に身体の混ざりを悪い方に変えていく。


「まぁ心音脈拍は人間のそれだな。ちょっと服捲ってくれる?」


お医者さんごっこはしない主義だけど

人間から悪魔になるヤツの見分け方は分かる。

さながら焦がしまくった鍋の底みたいな目になって

それが殺意をかき消して当たり前の様に人を殺すのだ。

浸食が凄まじいと悪魔の紋章がタトゥーみたいに身体に現れる。


「・・・自分の過去とか分かる?」


そう、超感覚を利用して

そんなアスタロトの能力が如実に現れたら

彼は失った自分の過去ぐらいは分かる筈なのだ。

少しだけ筋肉質な彼の身体が一瞬だけ不自然に膨張して

悪魔の紋章が背中一面に広がる。幾何学的だぜ。


ここで結ちゃんに念写して貰えば本人から見えてる場面が

涼くんが発現させたデビルスキルである超感覚の場面を映し出す。

彼の能力が育てばホログラフの様に自分で映し出せるのだが・・・


とりあえず壁一面に見慣れた景色が念写で映し出される。


「これは完全に魔界の入り口だな。

 どおりでネットの海の底の果てにある死層アガレスネット

 が魔界に挿げ変わってるワケだ」


どのみち、この手の怪物を生み出した研究者が居て

ある程度デビらない様に管理していたんだ。

師宮がカチコミに行った時には粗悪な、と言ったら亡くなられた方に失礼だが

悪魔の器にされてしまった人間達が異形と化していたのだ。

ところが、超級の悪魔であるアスタロトの器だけは丁重に管理していた。


「裏がある。ってヤツですね。」


結ちゃんはデビルコンピュータを使いこなして、

元刑事の情報屋から仕入れた、例の研究所のデータを開いていた。


「なるほど!これはいったいどういう事だ!?」


相変わらず戦闘悪魔である師宮は脳筋だ。

涼の付き添いで事務所に来たのはいいけども

頭に花でも咲いてるぐらいのアホが際立つ。


だけども、本当に分からない。

添付されてたファイルには再生医療計画みたいな

マッドサイエンスな人種が考えそうな事・・・

悪魔のパワーを用いた禁断の実験の絵図。

そういったモノが記されているが、それが3割ぐらいの中身で

残り7割の情報が凄まじいプロテクトを掛けられて開けられない状態だ。

最初の3割だけでも世界に知られちゃいけないぶっ飛んだ内容なんで

ちょっと前に間違えて魔界に行った時の感覚を思い出す。


現世に俺みたいなデビル流刑喰らってやって来る悪魔なんてのは

昔からザラに居るのだ。普通はこっちの世界に干渉しないのが

サタンのお触書みたいなモンだが、それを破るヤツは大数の法則。

つまり100人悪魔が転生すれば1人はそういうヤツが居てもおかしくない。

人類よ。いつだって物事には盲点が存在するぞ。

例外なる者に気を付けろ!







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