巨大蜂との対戦:芹沢綾、参る!

今回は違法少女こと芹沢綾さんを連れて山での素材調達。

彼女は人間界に紛れ込んだ魔獣の素材を抽出して

回復薬から爆薬製造までお手のモノと言う

生きる為のサバイバルに特化しているのだな。

俺と違って審美眼があるのか素材選びのセンスがピカイチだ。


「悪魔ちゃんってあの探偵さんと付き合ってるんすかー?」


結ちゃんが居ない事を良い事にイジられる俺。

あの子は俺にとって・・・居ないと困るし

何となく今までの悪魔人生において

心を掴んで離さない所はあるが、そういう感情は・・・

デビル思春期に戻ったかのようにしどろもどろになる俺。


「はいはい。ご馳走様」


「まだ何も言ってないだろ・・・」


そんな中で山道を散策してるある日の森の中

重厚な足音・・・人間のそれではなく

成獣の熊さんに出会ってしまったのだ。


「ちっ。殺るしかねえか」


刀を取り出して臨戦態勢の綾さん。

しかし、コイツは魔獣じゃない。余計な殺生は避けたいトコだ。


「悪魔ちゃん・・・って・・・えぇええ!!!」


逆効果となる死んだフリをして・・・自らエサになりに行き魔っす。


(しばらく、熊さんのお食事シーンをお楽しみ下さい。)

 ボリ、ボリっと首元を齧られる俺。すると熊さんの動きは鈍る。


そして、熊さんは昏倒。


「は?・・・何で?」


説明しよう。あらゆる毒物に耐性のある悪魔は

血液に鎮静作用のある毒性を多く含んでいるのだ。

特に芥子河原の家系はモルヒネの様な効果を発揮する。

しばしおねんねしてもらうぜ。


「どうだ?平和的解決だぜ!」


「血だらけで言われても説得力無いわ・・・」


魔力が有り余ってるから喰われた部分はすぐ再生するんだけどさ。

こんなの複数回やってたらガタイが持たないぜ。


「おー。ここにめっちゃ生えてんな。」


辿り着いたるはジゴクミントの生える場所。

俺はジゴクシイタケの偽物を喰っちまって

トリップしてしまった時の記憶を思い出す。


こいつを粉末にして鼻から吸引するか直接飲み込めば

人間の身体もある程度の損傷から回復出来る鎮痛作用がある。

使ってる有り様は警察に見つかってはいけないが

依存性が無いと言うのが救いと言った所か。

デビルスマホから繋がる「デビカリ」と言うフリマアプリで

優良出品者として売り込めばかなりの利益になるって寸法だ。



すると、デカい羽音がする。いよいよ魔獣だ。

アメリカ最大の蜂ことタランチュラホークが地獄サイズにデカくなった

なんかそんな感じのタランチュラドラゴンのお出ましだ。

普通のタランチュラホークですら大の大人が泣いて失神する程の痛みを誇る。

目の前にいるのはそれが1mになっちまったヤツだぜ。


ここで魔界時空展開デビジョンツリーモーフィングを発動し

普通の人からは見えない位相へ引きずり込む。


悪魔は甲殻類は好きだけど虫の類は苦手だぜ。でもやるしかない。

まずは地獄の業火で牽制し、距離を取る。


「っしゃあ!」

綾さんの剣戟が冴えるが尻尾から伸ばした針で防御する余裕ぶりだ。

振るのが隙を作ると分かったのか、渾身の魔力を込めて突きを放つ。

突き刺さると奥の大木に追い込んで更に奥深く抉り

一気に爆散させた。なかなかに戦闘慣れしてるぜ!


「コイツからも何か出てくるだろ?・・・って毒虫じゃねえなコイツ。」

薬と毒は紙一重。毒虫だとしたら体液を抽出していろんな用途に使えるが

刺されたら痛さで死ぬレベルである以外の要素が無いのだな。


その後は素材となるジゴクミントを回収して帰路に付く。

「じゃあ、結ちゃんを悪魔ちゃんが好きだってメールしとこ♪」


「だから、そういうんじゃないって・・・多分。」

仕事を終えると殺伐とした歴戦の剣士の毒気が抜けて

屈託のない笑顔に戻る綾さんであった。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る