悪魔探偵新たなる力:リュウノアギト

監視者からの信頼も得て軌道に乗り始めた

ある日の今際野いまわの探偵事務所。


「とまぁ、前回の半神デミゴッドくん倒した経験値とか記録されてて

それを割り振ればステータスが向上する。」


「ホントにゲームみたいですね。こういうのが本当にあるなんて。」


それにしてもこの悪魔探偵、ノリノリである。

件の武闘派なんとか顔負けのドスの利かせ方と言い

ストレス社会の人類の中でもかなり溜まっている方らしいな。



「そんで、アレだ。この前あげたデビルスマホがあるだろ?諸々の手続き出来るから。」


「あれ?この、装備選定ってトコで・・・自分用の武器が手に入るんですか?」


「まぁ前の仕事では銃貸したけど、弾もタダじゃない。選んでおきんしゃい。何か出てくるから。」


「何か初回経験値ボーナスで私にお似合いの武器が引けるみたいですよ?」


「良かったじゃん。押してみよう」


素の戦闘力が高い事は前の仕事で分かった事だから、今更何が出ても驚かねえって答え。


目の前に稲妻が走り、結ちゃんの腕に何かが纏わりつく。


「あの、何ですかこれは・・・?」


それは腕に金属のアーマーを組み込んだような

そんな強化外骨格だった。


「これはか・・・!?」


説明しよう。リュウノアギトとは、魔界兵器の一つで

その強化された拳でブン殴れば衝撃による圧縮熱で対象が崩壊する。

俺みたいな中級悪魔の年収10年分ぐらいの値打ちがある業物なのだ。

魔界の武器だが、対上級魔獣兵器の為、邪悪なる魂を光に浄化出来たりもする。

邪龍の牙を魔界科学で加工した一級品だ。


監視者へのイメージは変わったが、悪魔探偵はやはりデビってる存在なのだな。と認識する俺。


「それ、仕舞って置こうか?間違ってもそいつを事務所で振るうなよ?」


「はーい!」


常人なら重さで腕が上がらなくなるだろうに

黄泉還りした時に肉体も強化されているらしい。


そんな中で監視者さんからDeviline《デビライン》でメッセージ。

魔界から人間界に入り込んだ悪魔が持ち込んだ地獄のロブスターを

低温で腐らせて変異させて喰われちまって、そいつが野放しになってるらしい。

これが人間達の前に現れたら被害が出るぜ!

俺の昔話にも出てきたが、デビル緊急事態だぜ!


「地獄のロブスターの話って聞きましたけど、そんなにヤバいんですか?」


「またしてもフル装備不可避だ。さっきの武器も要るかもしれねえ。」


ただ変異しただけなら、楽にやれるかもしれないが

下級悪魔を喰う程に成長してるとなると

おそらくは体長5m近い化け物だ。

俺達は簡易ストレージに装備を詰めて出動。


ヤツは夜行性だ。暗くて涼しい場所を好む。

この前のクラフトで作っておいた

魔界の生体センサーを持って現場に急行し

聞きたくは無かったが、あっという間にヤツの反応する所に辿り着く。

ここで俺は周辺の現場に証拠を残さない様に

魔界時空展開デビジョンツリーモーフィングで覆い隠す。

ちなみに魔界時空は普通の人間が入っても平気だ。


「どんなヤツなんです?」


「殻から腐った肉が飛び出してブヨブヨしてる。

サイズ次第ではかなりヤバいヤツだ。見つけ次第、焼く。」


「地獄のロブスターって腐る前のは美味しいんですか?」


「俺は大好きだが、人間が食えるかどうかは分かんねーな。」


ここで俺は目の前の薄い暗闇から巨大なゴミ袋が蠢く様な音と腐った匂いを感じ取る。俺が昔腐らせて家で退治したヤツとは桁違いのレベルの呪いを感じる。

「全く、喰われた悪魔の祟りだな。食べ物を粗末にしやがって。」

俺はすぐさま地獄の業火を叩き込む。

こっちに来て俺のパワーが制限されてるのも原因だが

コイツはしぶとかった。10秒以上焼いてようやく塵になった。


しかしそうしてる間に俺の腰に着けてた生体センサーがもう一体の反応を捉えてる音を出していた。

一匹じゃねーのかよ!と背後から覆いかぶさる様に祟り神と化した巨体が圧し掛かろうとしてくるが・・・


ドォン!・・・ギュオーン!と轟音を上げて眩しいエネルギーが叩き込まれる。

躊躇いなくリュウノアギトを纏った結ちゃんに助けられた。

腐った地獄のロブスターだったモノは爆散した。


全く、末恐ろしい悪魔探偵だぜ。とか考えながら悪魔時空を解いて

迅速に事件は解決。戦力増強は成功の様だ。

今回はかなり業の深いヤツを2匹倒したんで100万円の報酬。


しかし、まだ破片が残っていた。消される前に器用に分離した祟り神が

最期の抵抗を謀り俺の腹に突き刺さる・・・ 

死活問題。物理的な攻撃なら問題は無いが肉体に呪いが達してしまったのだ。

こうなる事は珍しいんだが、こっちの世界に来て色々とパワーダウンしてる事を

俺は計算に入れてなかったのだ。ちょっとヤバいって答え。


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