悪魔探偵の浮気調査:電流火花のアフロ

その日は真面目な探偵業務。結婚を前にした30代女性から来た

浮気調査のお仕事だぜ。普通の探偵の仕事だから結ちゃんに任せても良いんだが

まぁ若い女の子一人にどうこうさせるのもアレだし


何より依頼者の加藤優子さんから漂う

ビリビリ感じる悲しみと憎しみの肉厚ミートパテみたいな

ギッチギチの愛憎のオーラがたまんねー。いかんいかん。事情を聴かねば。


まぁよくあるって言ったらアレだけど

ある日、通話アプリの誤爆みたいで彼氏の山田恵一郎なる男から来たのが

「今夜も良かったよ!真ちゃん!!」

「フィニッシュの流れとか特に最高!」

「もっとこう、脚使ってさぁ」

「こんなに燃えるパートナーは君だけだよ!!」


事情を聴かねばと思ってたが男性である俺は席を外した方が良いか・・・

しかし結ちゃんはる気スイッチ入っている。

そんな彼女を抑えながら証拠押さえて修羅verって流れかな?


「こちら、手付金と言うよりは、お気持ちとして・・・」


俺は封筒の厚みからガタイで分析して200万ぐらい入ってるのを感じた。

どうやら加藤さんは化粧品、美容グッズの会社経営が軌道に乗り

(結ちゃんにもノベルティ品が渡される)

忙しくて彼氏と会えない間にこういう事になってたらしく

それっきり彼女の猜疑心で話もしてないと言う・・・



結婚を前提にしてる筈なのにこの有り様・・・

呆然としながら街を彷徨いながらここが目についたらしい。

やぶれかぶれだったようだが結ちゃんの元警察官としての誠実な聞き取り

人間には聞こえないが、そう仕向ける様に仕掛ける俺のデビルウィスパーでのそそのか

(あなたはだんだん依頼したくなーる・・・)

それらが功を奏した。


「私達はプロです!任せて下さい!」

勢いで言ってしまう感じだが、まぁここからは俺の出番だぜ。

思った通りの女の敵だったらその浮気男が悪魔探偵に何をされるやら・・・


依頼を受けてから、打ち合わせるまでも無い。


「じゃあ、後は俺の出番だぜ」


「あっ、ヴェっさん!結界張りっぱなしですよ!」


以前より強力な高圧線の鉄条網の様な結界に引っかかり

俺は出鼻を挫かれ痺れまくり痙攣する。


「あっ、あう・・・ザリガニと良い感じに澱んだ池が見える・・・」


「マジすいません!大丈夫ですか!?」


物事ってのはコントみたいなモノだ。面白いと思えなければ続かないのだ。

つまらないと思うと1秒も息が続かない。

世の中にお笑い芸人のニーズが常に求められるのは

現代社会の息苦しさを解消する英雄だからだなって答え。

俺の少し伸びてた髪はさっきの電流火花でギャグ漫画みたいにアフロになり

結ちゃんはと言うと不謹慎を堪えながら笑ってくれた。

笑えよ。もっと笑えよ。




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