悪魔探偵事務所:契約

悪魔探偵事務所:契約


「この建物は古いんですが私が開業して間もないもので・・・」


スタッフがこの子しか居ないと言うのはそういう事か。

しかし、この女も悪魔を寄せ付けない結界を張る強者だ。侮ってはならぬ。


しかし、物腰の柔らかさにホンワカとする。こんな気持ち、悪魔中学の頃の初恋以来か・・・教育実習の女の先生が可愛く見えるアレを思い出す・・・



「では、そちらの決まり事なんですよね?・・・生贄を差し出さなければ・・・」

ここからは熱くなる。下手すると汗まみれだ。お互いスーツの上着を脱いで・・・

火が着いたらあっと言う間だ。


その赤らめた表面は繊細な色香を放ち、妖艶な脚線美が健康的に伸びていて

俺はそれを味わっていく。彼女もまた、プリっプリのを頬張る様にして・・・

ちょっと熱い時期に湯気の立ち上る程の空間で、ただ二人は黙々と励む。

「凄い、身が締まってるけど肉厚・・・」

「もっと剥いて、上手だな」

「あっ、ツルっとイッた・・・」

「ここなんて、ホントフワフワしてて・・・」

「そう。もっと解してからかき回さないと・・・」


雑居ビルの中で汗を滲ませる悪魔の男と人間の女がただ黙々と・・・


「悪魔って蟹が好きって聞いてたんですけど、本当なんですね。もっと食べて下さいね?」

契約の為の生贄である蟹鍋を食す。大サービスで越前ガニだ。たまんねー!

さっきまでそれっぽい事を言ってたが二人の間に猥褻な事は一切無い。いいね?


生贄として提供された蟹鍋を食べ終わるとグリモワールと言う魔法の鈍器本に

俺を登録するんだけどさ、ここが地味に俺の正念場。少なからぬ血を差し出す為に

自分の体のどこかを傷つけなければならぬ(悪魔は病気だけ治りにくいけど肉体の欠損は割とすぐ治る。痛いけどね)


で、道具は・・・?と振り向いた刹那。


バォォォォン!と豪快な機械音がする。

「それじゃ、

さっきまで穏やかな顔をしてた可愛い子がチェーンソーを持ってあの映画の様に踊る。

悪魔が悪魔のいけにえにされちゃう!

絶対あの映画普通の子だったら風邪引いてる時に見る夢ぐらいトラウマなのに

こんなのあり得ない!


俺は一発左腕を切り落とされ大流血。その血でグリモワールに登録し

やはり悪魔探偵は恐ろしいものだと再認識した。

痛みだけが自分がこの世界に居る事を教えてくれると聞いた事があるけど

この手の覚悟出来てない時の不意打ちったらないわー。って答え。

俺は欠損した部位を回収してくっつけて修復しながら

血を吸い取ってお腹いっぱいのグリモワールを手渡し、契約を果たす事となった。

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