悪魔探偵事務所へのお誘い

誰よりも自由で居る事。何物にも縛られない事。

それは自由に生きる悪魔で居る限り安泰だった。

誰かの評判を気にして生きていたら、いつの間にか他人のいいなりになって

自分を見失っていく。SNSが気になる?流行りに乗り遅れる?

残念だが俺が学生時代にリア充の仲間入りをしなかったのはそういうトコにある。

さぁ悪魔の仕事を始めようか。聞こえだけは良いフリーランスへ転職だ。


異界の門を開けるとさっきまで昼間だった公園が夜になる。

この夜の霧の湿気が大好きだ。異界での仕事は流刑喰らう前にやったが

人間界絡みの仕事となると初めてだし勝手が違う。表立った破壊活動禁止。

警察のお世話になる様な真似も禁止。あれ?ここまでクールに言ってのけたけど

結局は悪の法に縛られてる俺。


さーて。ギルドとは言ってもガラの悪いヤツがワンサカ居て

酒飲んでるみたいなトコじゃないのだな。誰も居ない公園の石板に

依頼内容と報酬が書かれているだけ。相変わらずデビル殺風景だぜ。


ただ、『監視者』にどこからか見られているから気は抜けない。

いい加減な事をしてると依頼のレベルは下がって行っていずれは何も張りだされなくなる。まぁ俺様は2級デビル免許の持ち主だから、そこそこの依頼が・・・


「悪魔探偵事務所;悪魔募集・死ぬまで面倒見ます」



説明しよう『悪魔探偵事務所』とは悪魔祓いの専門家、悪魔の使役者を意味する。

確かにデビルスキルで悪魔、人間絡みの仕事を解決とかよくある話だけれども

いつでもデビルぶっ殺し放題の人間か人外の類が経営してるのが実態とか何とか。


他のサッと稼げるデビル仕事が来ると踏んで舐め腐っていたのが運の尽き。

命のかかり方が俺の苦手な激辛飯を喰うぐらい危険なのだ。

大体死ぬまで面倒見ますってブラック企業の謳い文句だろ!シリアス過ぎる!!


呪いとか受けた日には悪魔だって病気になるんぜよ!人間のガタイだけんども

人間の医者じゃデビル内臓治せへんし本当にゆるぐねえこったべじゃー!

地獄時代、歯医者ですらイヤだったのにー!どうして俺だけこうなるうがか!?

方言で発狂するのも理由がある。とにかくここで逃げるのは許されないからだ。



一回、わざわざ異界の門を開いて

ギルドが仕事割り振ってくれたのに悪魔がイモ引いて逃げるのは

デビルけしからん行為なのだ。特に『監視者』に目を付けられるのは不味い・・・

この仕事を蹴るよりも不自由な目に遭う制裁を受けるのがデビルールだ。

人間の世界に厭世観感じたからってこんなトコ来るんじゃなかったよ全くゥー・・・

デビルカムバックを考える様になったのもちゃんとした理由があって

最近、お寺のバイトしてる時に例の住職さんのお経の読み方がグングン上昇して

ガタイが痛風と同等の痛みを催すまでビートを刻まれてるんで仕方あるまい。

拷問を受ける割には貰える金が人間並なのでデビルバックレである。


俺は掲示板に命じられた紙を爆炎で燃やす。これで契約が成立するのだ。

悪魔は昼間に青空に見惚れてたのに気分だけが青くなっていった。

いつだって 使えるガタイ 自分だけ。デビル川柳だ。






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