悪魔の履歴書:悪魔vsジゴクシイタケ

俺様は悪魔だ。あくまで悪魔。地獄じゃ名はちょっと知られた超の付く悪党だ。

みんなも聞きたかったであろう魔界のクエストのお話。

懐かしいなぁ。年度魔IIの「金融業の館」と言う曲を流しながら

黒龍号と名付けた白色の660ccの軽トラに乗ってトットコと

アスファルトでタイヤが傷つかない様に。あの2速発進のクラッチを繋ぐ瞬間だけが

穏やかなる俺の荒ぶる瞬間だぜ!ポルシェ並のエンジンだぜ!

スキール音なんて上げてたらタイヤ傷むからさ、地獄の石油製品って高いんだよ。

魔界は毎年オイルショックなんで、人間界の物価の違いに驚かされたね。

俺は後続のスポーツカーに煽られたりしながらもようやく山の奥深くへ辿り着く。

待ってろよ!・・・椎茸!これが地獄農協の審査を通ると結構な高値で売れる。

てな経緯なんだけど、ここからが俺の正念場。なんてったって毒キノコが多いんだ。

食べ物に関する災難が多いのがデビルあるあるだ。

だから本来は養殖のが足元見られつつも言い値で売り捌かれるのが地獄の掟。

人間界の毒キノコの様に殺し全振りのモノもあるがデビル内臓が耐え抜くから

人間の致死量食べても10日ぐらいガンギマリで素面シラフで暮らせない程度なんだよね。(悪魔にとって毒物は嗜好品)

後は幻覚を見るのもあるけど、そっちはそのまま戻れずに滅される悪魔が後を絶たない。

なんとか致命傷で済むと言った具合だろうか?

さーて。ジゴクシイタケは毒々しいんだよね。

赤い傘がケバケバしく逆立っていて、さながら燃えてる様だ。

だけど毒キノコの類も似た様な形をしている。ここはデビルスキルこと

デビルセンスで・・・人間で言う貴族の様な観察眼が必要になるんだが俺にはそんなものは無い。

当たって砕けるしかないのだな。採ってからそのまま食べてみる。

ちなみに毒キノコも最初は旨味成分があるから・・・チクショー!外れだぜ!

と感じた時には既に吐き出す余地もなく・・・その時、世界が逆さに見えた。

俺は階段を登って・・・あっ、ズワイガニだ。ズワイガニが俺を呼んでる。

ここは甲殻類の遊園地だ。えっ、そんな。僕こんなの初めてだよ。

優しくして・・・そんな、自分で剥いちゃうなんて・・・

すごい、ぷりぷりしてて、柔らかいよ。ダメ、もっと解して・・・

俺はあれから幻覚に苛まれ近くを通りかかったご老人に見つかり病院に搬送されたらしい。

「全く、一攫千金とは言ってもね。あれは子供が食べちゃいけないヤツだから!」

俺は10万53歳のお医者さんに子供扱いされてこっぴどく叱られて家路に付く事となる。

でもあの時のムラムラが収まらないからまたパソコンでズワイガニを見まくったぜ。

俺の奇妙な冒険は数あれど

命がけの幻覚キノコ事件はなかなかにデビッてたって答え。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る