第三章:デビル昔話

悪魔の履歴書:悪魔vs地獄のロブスター

さてさて。人間の世界の話で散らかったな。

たまには昔の話でもしようか。俺様があの世でブイブイ言わせてた・・・

ワケではなくデビルリア充未満だったが必死に生きてた頃の話だ。

あの世で生きてたって表現は違うかもしれねえが、伊達にあの世は見てねえぜ。

俺はある日の事、懸賞で当たった美味しい地獄製ロブスターを手に入れて

意気揚々としていた。こっちの世界のロブスターもそうみたいだけど

他の生物に捕食されない限りはほぼ半永久的に生きられるらしいな。

しかし、その頃から地獄でもまるでツイてない俺。

家の地下室の冷蔵庫に大事に仕舞っておいて

そこから10年近く放置してしまっていた。お前ら、冷蔵庫には気を付けろ!

俺はそんなある日テレビで調理されてた地獄製伊勢エビを観て

「たまんねー。」とか言ってた頃(悪魔は甲殻類が好き)




ふとしたきっかけで地下室の冷蔵庫の事を思い出す。

「・・・あの中は今どうなっている?もう無理でしょあんなん・・・」

地下室の鍵を開け、煉獄のハロウィンで使う

地獄の熊で作った鎧ことジゴックマ君3号を纏って

中へと入り込んだ。ギシ、ギシ・・・聞きたくなかったが生き物の蠢く音だ。

地獄製ロブスターは低温で腐らせると突然変異を起こす事で有名で

悪魔の魂とロブスターは腐らせるなとか言うことわざも存在する。

俺はその時初めて、悪魔だって恐怖する時は表情が凍ると言う事を知った。

ここで今更ダークファンタジーの幕開けだ。ひたすらブヨブヨの祟り神と化した

もうロブスターではない何かに俺はぶっ飛ばされ、遂にデビルスキルを使用。

こっちの世界で言えば山一つの森林が燃える程の業火で燃やし尽くした。

美味しいと評判だったから勿体ぶらずに食べれば良かったと後悔する俺。

俺はデビル保険に電話してデビルギルドに電話しての往復ビンタ。




人間の世界で言えば破壊行動は重罪だが

こっちの世界では称えられる事なのだ。

魔獣との戦いで建造物を壊したら報奨金が支払われ

新しいモノに買い替える。

つまり壊す事で経済が回る。

レベルを数えるのなんて1万歳を超えた頃からやっていないが

かなりの大物だったらしく

多額の報酬と経験値を手に入れた。でもやっぱりロブスターはすぐ食べないとダメだな。家が治るまで煉獄ビジネスホテルに缶詰めにされながら俺はひたすら後悔ばかりして悶え狂ってた。人間どもよ。食べ物を粗末にすると俺みたいになるぞ。

気を付けろ。


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