悪魔と胡蝶の夢

金縛りで言いようも無い恐怖に駆られる。

ノンレム睡眠ですらない質の悪い何かだぜ。

それは自分が夢と現実の間で魂が寝たり起きたりを

瞬きする様にする時に始まるんだけどさ

何故悪夢って夢だと疑わないままそこから逃げられない感覚になるのか・・・

だけど、良い夢みてから現実で嫌な事があったらイヤであろう?

責任感の強い人間は、常に他人と協力していく為に無意識に悲観的になり

さながら免罪符の様に悪夢と言う存在しない深夜番組の次回予告を

延々と見させられるのだ・・・どっちみち正夢なんてそれほど無いから

気にしなくてもいいぞ。



結局のところ、現実で何か事件があっても

例えばいきなり目の前で大爆発が起こってもリアクション芸人みたいに

大声で飛び出して跳ねる様な事にはならない。

自分の身に降りかかる事は特にそうだ。


後で物事を嚙み砕いて飲み込んでお腹を壊して

腹痛でのたうち回る感じの時に

ようやく自分がどんな目に遭ってたのかを思い知る。

夢ならどれほどよかっただろうって言うIFシナリオだって

とことん苦しんだ自分を俯瞰で観てる時にようやく思い描くんだ。


リアルタイムで苦しみを感じるのは夢か現実か分からない時。

何故かいつも心配してる予定の事も考えずに知らない場所で

知らない事をしている。俺だってデビルな将来像を描いてたのに

人間界にブチ込まれて、今の自分は何者でもない何か。


いよいよ占い師にも見えない未来にさんざ振り回されて俺は苦しんでいくんだ。

それにしてもこっちの人類も似た様なモノだな。辛気臭さのバーゲンセールだ。

臭いモノには蓋ばかりするんで、世の中は開かない蓋ばかりになってやがる。


いいぞ。悪魔的にはこの世が魔界になる事は良い事だ。だがそんな事をしたら

お前らは嘘のまま現実を生きる事になるんだぜ?

今の時代のお前らは銃とミサイルの戦争を出来るだけ避ける理性があるだろ?

しかしいよいよ現実と虚構の境界線を曖昧にしていって均衡が崩れると

またどこかで誰かが争う。またどこかで人の未来が終わる。

いつしか繋ぎ合う手を握りこぶしに変える。それで人は握手出来ないんだ。

光と影は表裏一体。生と死は背中合わせ。夢と現実。それは胡蝶の夢

本来、光るモノが尊いとされるが実際の所そこからは闇しか見えない。

闇の側でなければ光は見えない・・・だから清濁と言う概念があるのかもね。

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