悪魔と雨の日の話
それは人間の世界に来たばかりの頃の話。
悪魔は涙を流さない。流せない。この世界の歌では涙を雨に例えるようだな。
ある人にとっては雨の日だった。その人が言った事が忘れられない。
「もう失うモノが無い」と言っていた。
悪魔だからこそ人の気持ちが分かる時がある。つまりは負の感情なんだけどね。
澱んでる。軋んでる。消えたい。終わりたい。
奥底まで耳を澄ませても嘆きの音しか聞こえてこない。
悪魔はそういうモノを主食にするが俺の場合は消し去る為に喰い倒してやるんだ。
人間に産まれたのは幸せになるためだろう?こんな悲しい日もあるだろうけどさ。
その人の痛みの部分を喰って吸い取ったが、そうしても抜け殻である事に変わりは無いんだろうね。。
またいずれ今日と言う過去を呪うだろう。だけど忘れないで居て欲しい。
そういう時に一番人間の生命力って高くなる様に出来てるんだぜ。
ブレーカーが落ちただけかバッテリーがあがっただけみたいなモノ。
俺に言わせれば死にかけな時に感じる痛みが生きてるって事を実感させると思うんだぜ。
確かに人間は不死身じゃない。銃で撃たれたら死ぬ。刃物で刺されたら死ぬ。
高いところから飛び降りたら死ぬ。毒を飲めば死ぬ。首を吊れば死ぬ。
限りあるからこそ人生を駆け抜ける価値があるとかそれっぽい事言ってみるけどさ。
良い事ばっかりじゃねえのはさんざ身に染みてるだろ?それが大人ってもんだ。
満たされてる事に気付くのは本当の悲しみを知って強くなった後なんだぜ?
負の感情を食いまくってるデビりっぱなしの俺が言うんだから間違いないぜ。
勇者が剣を持って戦う物語だけが戦いってワケじゃない。
人ってのは生きてる間にいろんな場面で自分と戦ってると思うんだ。
どうせ泣くなら嬉し涙だ。俺が近寄らないぐらい輝いたら罰なんて当たらないぜ。
人類よ。赤ちゃんとして産声を上げた時に生きる事を誓っただろ?
だが誰しもが不平等に不幸に襲われたりするのが実情だぜ。
この世界では教育の過程で世の中は幸せの椅子取りゲームだと教え込み
幸福の意味を知らない者を置き去りにしてったりする。
置き去りにされてもどうってことはない。己の弱さを認めて勝つ事で
地に足を着けて立ってられるじゃねえの?
何かあったら俺がお前らの闇を喰ってやる。スッキリしたらまた明日、生きろ。
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