第2話 2
帰ってきて、夕飯を食べて風呂に入り自分の部屋のベッドに横たわる。
あれからしばらくして、僕は体育館で望月さんと別れて、学校を出た。
僕の手足がどこも欠けていないと告白してから、ステージの上は妙な雰囲気になってしまったからだ。
まあ、理解はできる。
全てが欠けないで産まれてきたの自分と全てが欠けて産まれてきた彼女。
お互い今の現実で異質な存在であるから、その事態にどう対処すべきかわからなかったのだ。
「……」
僕は彼女の存在を知らなかった。
あまり広い交友関係を持っているわけでもないし、彼女の情報も全く知らなかった。
元々知っていたならば、なんだかもう少し上手くやれた、そんな気がする。
「ただ、今そんな事言っててもどうしようもないな……」
自分とは全く反対の存在。
彼女は自分が考えたこともないような苦しみがあって、それと戦って生きてきたのだろうか。
皆とは違うという苦しみはわかるかもしれないけれど、ひょっとすると彼女は自分よりも苦しんで生きてきた人間なのではないだろうか。
そう思うと、彼女のことが頭から離れなくなって、胸がどんどん苦しくなる。
明日からは午前に登校して彼女と練習したり、先生と打ち合わせをしたりして午後になったら帰るという日々が始まるのだろう。
彼女と話す機会はいくらでもあるだろうから、その時に知れるだろうか。
何はともあれ、今日はもう寝よう。
みんながまだ勉強しているのだろうかと考えながら、僕はベッドに横になった。
けれど、胸のざわめきがなかなか僕を眠らせてくれなかった。
君の温もりを知る、青春最後の一ヶ月。 足駆 最人(あしかけ さいと) @GOmadanGO_BIG
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