Session5-4 ハーヴェス港の漁師たち

──翌日、午前7時ごろ。冒険者たちはハーヴェスの港に降り立ちます。

地方一の交易都市国家、そして他種族国家でもあるここハーヴェスは、人口の3割が人間、3割がリカント、その他4割は他種族……ということで、7割、8割が人間であることも珍しくない他の都市と比べれば、みな異種族に寛容です。



オルフ:だから生まれてすぐに殺されなかったのです………。

シュシュ:アヌビスにも寛容。

GM:特に、力作業において獣変貌を行うリカントも多く見られ、ベスティアであるライズ、イスデスもそれほど違和感なく受け入れられるだろう。

ナイトメアに関しても同様だ。もちろん偏見は残ってはいるだろうが、街中で露骨に忌避されるようなことはない。

アルクトス:なお、我々のPTに人間はいない。

イスデス:どこへ行っても違和感を持たれる系じゃなくて助かった。

シュシュ:一応フードを目深に被ってこそこそ耳を隠しています。



GM:ハーヴェスの南側は一面の大海原となっており、西オーランドレック海を一望できる。照り付ける太陽で輝く砂浜、並んだ緑の葉が美しい木々に、波の音、かもめの鳴き声。


シュシュ:「……これが……海……?」

GM/ライズ:「うみー! うみ? うみかー!!」

オルフ:「ああ、海だ。西オーランドレック海……まあ、海だ」説明をしようとしたけどまあええかなって。

シュシュ:めんどくさくなったな?

イスデス:「うーん、良い風だねぇ。これが潮の香りか」

シンカイ:「……すぅ……はぁー……」 海に向かって両手を広げて深呼吸中

シュシュ:口を少しだけ開けてぼーっと見ている。「……大きくて……キラキラしていて……とても綺麗、でございますね」小声でぽつりと。

GM/ライズ:「そうそう! きれいだねーっ!!」シュシュの言葉に同意しながら、周辺を見て回るライズ。

シュシュ:「んっ……は、はい……綺麗でございますね」口に出ていたことに気付き顔を赤くする。

アルクトス:「……」黒コートを脱ぐか迷っている。


シンカイ:「……ものの数か月ですのに。やはり、故郷は故郷ですわ~……♪ ね、アル?」あまりの気分につい異貌。

イスデス:「わっ……それ大丈夫なのかい、シンカイちゃん?」

オルフ:「アルじゃねぇ、故郷じゃねぇ、仕舞え!」3つまとめて。

GM/ライズ:「シンカイが変態になった! ちがった! ヘンシンした!」

アルクトス:元から変態なので、変態にはならないんだ(笑)。

シンカイ:「大丈夫ですわ。このままリハビリ中はこのまま駆け回っていましたし、覚えられる顔は憶えられています」名前と顔が通っているかは神のみぞしる。

シュシュ:「(シンカイ様凄いなぁ……私もこれ……)」引っ張ったフードをちらりと見る。


オルフ:こう、ナイトメア差別感が、オルフとシンカイでだいぶ世界観違うよね。

イスデス:リルドラケンの郷で育ったのとそれ以外の差もこんな感じなんだろうな。

アルクトス:貧民層と裕福層の違いだぞ。

オルフ:別にオルフ貧民層ではないんだけどな! 音楽を生業に出来ていたので上の下の方。

シンカイ:こっちは金持ちの娘として、割と公然と押し通したのでですね。官僚という公職を継ぐ気満々だったし。



GM:依頼の海岸は、ハーヴェスから10kmほど離れた場所だそうだ。徒歩で3時間ほど。馬などで2時間弱、といったところだろう。

オルフ:そういや帰りはどうするんだっけ。またアリス来てくれるのかな。

GM:依頼完了まで待っててくれますね。

イスデス:やっさしい!

シュシュ:メンテよろしく!安心安全にね!

GM/アリス・カーバイド:「まあこっちも予定があるから……もし予想外に時間かかったりしたらまあ、そのときは覚悟決めて一般魔航船に荷物として搭載されてください」と言い残して、君たちを見送ってくれただろう。見送った!

アルクトス:はい……。(しゅん)


シンカイ:「現地は郊外ですものね。……途中の通りすがりで挨拶などはしていくとして、お母様の様子を見るのは終わった後にしておきましょうか」

オルフ:「帰りなら余分に時間を取れるかもしれないが……依頼の達成次第だ。まずはキッチリ、蛸退治を片付けるぞ」

シュシュ:「は、はい……! 依頼のことを失念しておりました……!」荷物をよいしょと両手で抱え。

シンカイ:「その後はぜひ皆様をお母様に紹介させてくださいましね? グランゼールで出来た仲間、再会できた友だと」白い異貌ながら屈託のない笑顔。

シュシュ:「友……シンカイ様がそう仰っていただけるのであれば…」

GM/ライズ:「オイラも一緒に紹介してくれる?」

アルクトス:「私の代わりに会ってきてくれ」

GM/ライズ:「えー?! アルクは行かないのー!?」

オルフ:「俺もパスだ。用事がある」※ない。単に生まれた街に入りたくないだけです。

イスデス:「おいおい、来たばっかりなのに何の用があるってんだい」

シンカイ:「み・な・さ・ま・でなくてはお母様が安心できませんわ! わたくしと同じで未亡人ですのよ!?」

アルクトス:「ふん……」逆にさ。シンカイはイスデスを紹介して大丈夫???

一同:(笑)

イスデス:おうこの中では一番信用のおける職についとるんやぞ。

シンカイ:大丈夫です、わたくしだってそれなりに濃いですから。

シュシュ:でもアヌビスの友達がいたら自慢したくならない?

アルクトス:なるほどな。

オルフ:アヌビスの友達がいた事ないからわからない。でも友達が俺明日からアヌビスに就職するって言い出したら止めない?

シュシュ:アヌビス優良物件かもしれんやろ!

シンカイ:そもそもお父様はドワーフを娶ったんですよ。つまりロリコンですよ、大差ありませんわ。

GM:へっ、ラクシアならドワーフと結婚なんて日常茶飯事よ!

イスデス:イケオジ好きかもしれんやろ!



GM:さて、君たちは依頼書を頼りに、くだんの"港の漁師"を探す。

1時間ほど歩いたところ……ハーヴェス港のはずれで見つかるだろう。

照りつける夏の日差しの下、数人の漁師たちが船の周辺で談笑をしながら、冒険者を待っているのが見えるよ。

シュシュ:「えと……あちらの方々でしょうか……」漁師を見やって。


GM/漁師:漁師たちは君たちが近づいてきたのに気づくと……そのうちの一人が驚いた様子で立ち上がる。「……おや、貴女は確か……そうだ、クロンヘイムさんとこの娘さんじゃないかい?」

イスデス:「おお、流石に走り回ってただけあって有名人だ」

シンカイ:「はい、父トレーズと母カネサダの子、シンカイ・フォン・クロンヘイム。この度、グランゼールより帰郷致しましたわ」にこやかに御辞儀。

イスデス:慣れてるなぁ。

GM/漁師:ハーヴェス王国の官僚、クロンヘイム家は、王国内ではそこそこに有名だ。

「おお、やはり!」と小さな嘆声が上がる。

シンカイ:「平素より母がお世話になっておりますようで、感謝申し上げます。父も輪廻で喜びますわ」

シュシュ:「(シンカイ様、凄く慕われてる。本当にあの格好でも平気なんだ……)」

GM/漁師:「ハーヴェスの冒険者ではなくグランゼールに飛ばしたと聞いて、少し不安だったのですが……なるほど、クロンヘイムの娘さんがいらっしゃるなら納得です」

シンカイ:こういうときに貴族PCって便利よね。

アルクトス:ジモティつよい。

オルフ:お便利。

GM:反応からして、漁師たちのような一般人には、やはり"紫水晶"や"暗黒の波動"についての情報は知らされていないようだ。

オルフ:「(無暗に広がっても問題だろうからな……とはいえ、それで知らずに向かわされる冒険者も気の毒だが。その調整を国単位で行っている、か……)」

GM:この国にも盗賊ギルドがあり、あまりそれらについてしゃべり過ぎると無用な混乱を招くだろう。とはいえ、ここまで広がってしまうと、さすがに隠し通すのも無理があるのではないか……そう思うかもしれない。

シュシュ:「(……! ライズ様、今だけお口チャックですよ。しっです。しーっ)」口に指を当て。

ライズ:「(だーいじょうぶ! オイラ空気よむもんねっ!)」真似してしーっ。

一同:かわいい。



GM/漁師:「ええと、依頼の件ですが……いわゆる"防波堤釣り"の連中が、なんでも巨大なタコに襲われたようでしてな」すっかり安心した漁師たちは、口々に情報を話すだろう。

イスデス:「依頼書にもありましたがタコですか。どれぐらいの大きさでしたか?10mはある化け物だったりします?」

シンカイ:「人的被害、物的損失、獲物の大きさ、その他影響など。一つずつ教えて下さりますか?」

GM/漁師:「はい、そうなんですわ」イスデスに若干驚くも、続ける。「さすがに10mといったものではないらしく、しかし5mほどはあったと……」

オルフ:「防波堤……となるとだいぶ沿岸部に出ているな……」

シュシュ:「5mの……蛸……」頭の中で想像して血の気が引く。

アルクトス:「5mか……でかいな」同じくらいだった、この間の魔神の大きさを思い出し。


GM/漁師:「ひとまず、死人は出ておりません。ですが遭遇した者のひとりが毒スミを撃たれ、それから『霧』のようなものに体力を奪われて重傷を」

オルフ:「毒性を持つ種類か」

イスデス:「毒かー……まだ解毒の奇跡は貰えてないんだよね」

GM/漁師:「まあ、そのおかげで付近に漁船を出せなくなりましてな。ここ数日は、ちょうどアジやイサキの時期だってのに……」

オルフ:「賢明な判断だ。そのサイズの蛸が船に組み付けば転覆はあり得る。」

GM/漁師:「目撃されたのは2度ほど。1度目は先ほどの"防波堤"釣りのやからが、2度目は漁船の上から、大きな影を確認しました」別の漁師が続ける。「ハーヴェス王国も信憑性が高いと見たようで。それで、冒険者に依頼を出して調査と討伐を……といったところで、グランゼールに飛んだってわけです」

イスデス:「手足を自在にうごかせるってことは、あの一本一本がエレファントの鼻のように筋肉の塊だからねぇ。そりゃあ危険なわけだ」

シュシュ:「……1度だけだと偶然迷い込んだという可能性もあるのでしょうが…2度あるとなるとやはり……」

GM/漁師:「実際に、大ダコに沈められた船っちゅーんは聞きますからなぁ。伝説にあるような20、30mってヤツは見たことはありませんが、ただ、陸地まで迫ってくるっていうのは初めてです」

オルフ:「この傍の沿岸沿いの地形を教えて欲しい」蛸を陸に上げて戦えそうな場所はあるかなー、と。


GM:漁師は、地形について解説を始める。

どうやら、大タコ目撃された近辺では『土手道』、海を横断するように土を埋め立て、道にした場所があるようだそこでなら陸地に誘い出し、仕留めやすくできるだろう、と言う。

アルクトス:ガノトトスのように釣って戦おう。

シュシュ:砂浜泳ぐサメ映画もあるくらいだからなぁ。

イスデス:タコとサメはなかよし。

オルフ:じゃあ誰が餌役やるか決めようか。

シュシュ:……。

イスデス:(挙手)

オルフ:志願者が出るとは思わなかった……(笑)。

イスデス:シュシュちゃんにもシンカイちゃんにもライズくんにもこの役目は渡せねぇ……!

オルフ:そもそも冗談だから餌にならないで!!!(泣きつき)

イスデス:しゅん。

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