Session5-2 アリスの新型魔航船

クレナイは開いている大き目テーブルに君たちを集め、依頼書を拡げる。



●依頼書●

【ハーヴェス王国近辺の浜辺に出没する海洋生物の討伐】

依頼主:『ハーヴェス王国』

 王国から10kmほど離れた海岸付近に、タコのような海洋生物が

出没するとの情報が入った。

 本来、陸地付近に出現するような魔物ではないのだが、目撃者によれば

なにやら特殊な霧のようものを広範囲に撒き散らしていたらしい。

 冒険者は港の漁師から事情説明を受け、討伐に向かうように。

 報酬は、1人あたり2000Gとする。


 "追記"

 この事件は諸事情により、『雀のお宿亭』冒険者へと一任する。

 それにより、報酬は、1人あたり3000Gとする。精進されたし。



アルクトス:「たこ……」

GM/クレナイ:「まあ、この『霧のようなもの』が例の"暗黒の波動"だったようでちね。」

イスデス:「うえーっ……タコってあれだろ?あのぐねぐねうにょうにょした奴だろ?」

GM/ライズ:「たこ……タコ……おいしいのかな……」

シンカイ:「本当にタコなら贅沢な御馳走ですよ、御馳走」

シュシュ:「……」ぐねぐねうにょうにょを想像して身震いする。

GM/クレナイ:「おそらくはふつうの……といっても多分、人食いのたこでち。海で見かけられることは、たまにあるみたいでちが……」

オルフ:「ふむ。……しかし、だとするとどうやって"紫水晶"を入手した?」

シンカイ:「所持者ごと呑みこんだのでは?」

GM/クレナイ:「そうでちねぇ」色々考えられることはあるが、"紫水晶"をたまたま拾ったり、側を通りがかったりした動物や植物が、"波動"の能力をもつこともあるようだ、と言う。

オルフ:「どちらにせよ回収はする必要がある、と」

GM/クレナイ:「そのあたりの調査もしてきてくれると助かりまチュ。調査内容や水晶の回収いかんでは、前と同じように、こちらで追加報酬を考えておくでち」

イスデス:「わぁい。この前のは良いお金になったからねぇ」

シュシュ:「わ……私は蛸はあまり……」

ジャンくん(シュシュ):『よし行こう、早く行こう。海我々を待っている』ごろごろ

シュシュ:「……ふぎゅう」

オルフ:「……ジャンが妙にやる気だな」たすけおこしておこう。

GM/メイベル:「なんか、騎獣が本体って感じよね……」

イスデス:「シュシュちゃんにはジャンくんぐらいが合ってるのかもね」

GM/ライズ:「シュシュ~大丈夫?」もふもふ。

オルフ:「……ライズ、今の時期はやめとけ。見てるだけで暑い」

GM/ライズ:「え~。つまんないのー」

シュシュ:ピィ……と小さな声を出してもふられてます。

アルクトス:何か鳴いてる……(笑)。


GM/クレナイ:「それと、ハーヴェスからの依頼ということで、今回は『魔航船』に乗ることができまチュよ」

シンカイ:「魔航船ですか。明らかに依頼料以上の経費ですが、まぁ事情と考えれば……」

GM/クレナイ:「チュチュン、そこは大丈夫でち。魔航船に乗るといっても、サービスを受けられるわけではありまちぇんからね」

イスデス:「それはどういう?」


GM/クレナイ:「おまえ様たちは荷物と同じ扱いでち。なので、乗船料は500Gもかかりまちぇん」びし。

アルクトス:「……」

GM/クレナイ:「その程度の出費であれば、国も楽々出してくれるというわけでち。まあ、そう雑な扱いはされまちぇんよ。一応は依頼を受けた冒険者でちから」

オルフ:「……まあ、それくらいは仕方ないか」

シンカイ:積荷、ツノつき二つ、コボルド一つ、蜥蜴一つ、ハイマン一つ、イスデス一つ。

アルクトス:「ちなみに、普通に乗ろうとしたら乗船料はいくらに?」

GM/クレナイ:「客室つき、食事付きで5000Gは軽いでち」

アルクトス:「……少しばかし足りんな」財布を見る。

GM/クレナイ:「ま、そういうサービスつきの魔航船に乗るのは富豪か豪商ってところで……、……の、乗りたいでち?」

アルクトス:「いや、貨物扱いされたくないだけだ」

イスデス:「まぁ乗りたいかと聞かれれば乗ってみたいとは答えますねぇ」

オルフ:「人の奢りで使うには高すぎる」

シンカイ:「しまったわ。先んじてお母様に一筆したためておくべきだったかしら。 そうすれば経費で落ちたでしょうに……」サービスつきに乗ろうとする富豪か豪商のひとり。

シュシュ:「わ……私は……ひぃん……! 荷物でも……大丈夫ぶぶです……」もふられながら。

GM/クレナイ:「……なるほどでち。まあ、そういうことならひとつアテがあるでちよ。なんでも、マギテック協会で最近、新型の魔航船の運航テストをしているみたいなのでち。それに護衛として乗せてもらうとなれば、荷物扱いはされないはずでち」


アルクトス:……めっちゃ墜落しそう。

GM/ライズ:「新型って、かっこいい響きだよねっ!」

シュシュ:「それって…もしかしてアリス様が……ああう……そ、そこはダメです……」

シンカイ:「──アリス様ですわね?」きらめくシンカイアイ。

GM/クレナイ:「おや、知っているでちか? そうでち、"機巧象の娘"。天才アリス・カーバイドが開発に協力しているとかで」

オルフ:「……大丈夫なのか、それ。少なくとも到着は出来ないと本命の依頼をこなせないんだが……」

アルクトス:「墜落する魔航船とどちらかを選べというのか……」

シンカイ:「見知らぬ者の堅苦しい船に荷物として押し込められるよりはマシではなくて?」

GM/クレナイ:「安全性は大丈夫なはず……でち。奇っ怪とはいえ、天才ではあるでちから」

オルフ:「俺は確実に辿り着く貨物でも構わないが……ふむ」

シュシュ:ようやくライズの魔の手から逃れてきて。「わ……私はどちらでも……」

GM/クレナイ:「そうそう魔航船は墜落しないはずでち。……ここ5年間、墜落事故は……チュン……1件も起きていまちぇん。……アレは、事故ではなかったみたいでちからね」


シュシュ:「(……それって2年前の)」

GM/ライズ:「ふぅん?」ライズが興味を示すも、君たちは知っているだろう。

アリスが語った、2年前の事故……ダイケホーンへ向かった魔航船が、何者かに襲撃されたらしい、ということ。

シンカイ:「シドーリオ氏の事件ですか。ふむ……他に胴体着陸や不時着も無いのであれば大丈夫ですわね」

オルフ:「……ふむ」取り合えず開放されたシュシュに水でも差しだしておきつつ。茹ってそう。

アルクトス:「なら、そちらを当たってみるか」

GM/クレナイ:「では、よろしくお願いしまチュ。ライズのことも、頼みまちたよ」

イスデス:「またよろしく。頑張ろうじゃないか、ライズくん」

GM/ライズ:「いぇーい! よろしくねみんなーっ!」ライズがフェローとして加入します。

一同:わーい!



GM:君たちは準備を整え、魔航船のテストを行っているという情報を頼りに、マギテック協会へ向かう。多数の商人や冒険者の波を乗り越え、30分ほどでマギテック協会にたどりつける。

シュシュ:ずるずる。

オルフ:すごくジャン君仕舞えば? という目で見ている。

アルクトス:何かそのうち、スカート裏返りそう。

シュシュ:今は引きずられてるのだ、そしてこいつは契約証に入りたがらない。国民的アイドルキャラリスペクトだよ(笑)。

オルフ:ジャン君を肩に乗せるシュシュ。

イスデス:潰されるシュシュ。



GM:内部、奥のジャンクヤードでは、いつものようにアリス・カーバイドが発明・改良を行っているのがわかるだろう。君たちが入ってくるのに気づくと、アリスは手を振って近づいてくる。

ジャンくん:『やあ、お邪魔するよ』

オルフ:「どうも」

GM/アリス・カーバイド:「やっほーみんな。ちょうどそろそろ出かけようとしてたんだけど、どうしたの?」

イスデス:「いやぁ、ちょっと用があってね」

アルクトス:「先日は邪魔をしたな。今回は……」かくしか。


GM/ライズ:ライズはマギテック協会は初めてのようで、珍しそうにあたりを見回している。:「魔動機……そういえば、集落にも機械がいっぱいあったなぁ」

GM/アリス・カーバイド:アリスはアルクトスたちから事情を聞くと、嬉しそうに反応する。「おお、ちょうど試験飛行に行こうと思ってたところなんだ。みんなタイミングいいねぇ!」

オルフ:「行き先はどうなってる?」

GM/アリス・カーバイド:「この辺りをぐるっと旋回しようと思ってたんだけど、行先は君たちに合わせるよ」

シンカイ:「わたくし共の依頼の事があるので、最終的には我が祖国ハーヴェスを所望ですが……あ、これお土産のパインサラダ弁当ですわ」風呂敷を差し出す。

GM/アリス・カーバイド:「オッケー、じゃあハーヴェス行きに変更してもらうよ。命の恩人でもあるわけだし、このくらいお茶の子さいさいさ。その代わり、まあなんか襲ってきたら応対よろしく!」

シュシュ:「(……うう、やっぱり行くんだ……幸運の鍵って何なのぉ……)」涙目で手元の釣り竿を見て。

オルフ:幸運の釣り竿。

イスデス:いいつりざおを担ぐ一般アヌビス。

アルクトス:空で釣りをして鳥を捕ろう。


イスデス:「空で襲われる……どんなのがいたかな。」

GM/ライズ:「悪いやつらはオイラたちに任せろーっ! よーし、がんばろうねシュシュ!」シュシュの周りをぐるぐるしている。

シュシュ:「は……はいいっ……はわわわわっ」視線で追おうとして目を回す。

オルフ:「……ライズ、空の上ではあまり暴れすぎるなよ。襲ってくる例としてはどんなものがいるんだ?」

イスデス:「こちらも空戦に対応できないことはないけども」杖を構える。

GM/アリス・カーバイド:「元気な子が増えたなぁ。ええと、そうだね。まあ飛行種の蛮族はほとんど、あと猛禽類とかかな」

イスデス:ロープとかぎ爪を持っておいた方がよさそうだ。

オルフ:このアイテム欄に、30mのフック付きロープがですね、あります。

オルフ:「……腰に縄でも巻くか?」空では。

アルクトス:「そうしておいたほうが良いかもしれん」


シンカイ:「これこれ。そろそろお行儀よくしなさい」がっちりとライズをホールドします。「それ以上シュシュをこの場で困らせるとまた尻尾を噛みますよ」

GM/ライズ:「ふぁーい」

シュシュ:「い……いえ、私は」平気ですので、と小さな声で。

オルフ:「……いや、シュシュはもうちょい抗った方が良いと思うが。ジャンとか、ライズとか。」よくおそわれてる。

シュシュ:「……そ、そうなのでしょうか」思い返してみると本気で嫌がっているわけではない自分に違和感を覚え。

オルフ:「……まあ、嫌じゃないならそれは良いんだが」


イスデス:「……なんでシンカイちゃんは尻尾を噛むんだい……?」

シンカイ:「コリコリしてて……おいしそうだったなって……」ぽしょぽしょ。

GM/ライズ:「……オイラのしっぽ美味しいの……? ……。へんたいだーー!!!」

シンカイ:「そんな、だって世の中には猫吸いとか犬吸いとかする御仁だっておわすではありませんか!? 大差ありませんわ!!!」

オルフ:「……………」はぁ、と深いため息を吐きつつ突っ込みを放棄。

アルクトス:「(眉間の皺をほぐす様にぐりぐりする)」

GM/ライズ:「アルクぅー! たすけて! シンカイがオイラの尻尾たべようとしてる!」もぎゅ。

アルクトス:「私を巻き込むな……」一応背に隠しとく。

イスデス:やさしい。「拙も貞操の危機を感じるぜ」

シュシュ:「……(尻尾隠しておこう)」丸めてスカートからはみ出ないように。

オルフ:「それで、カーバイド。何時出発するんだ?」

GM/アリス・カーバイド:「すぐにでも。んじゃ、行こっか。発着場は『イーヴ要塞』の屋上だからね」

アルクトス:「ああ……」出発前からすでに疲れてる。



冒険者たちは、そのまま『盾神イーヴ要塞』へと向かいます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る