Session4-5 『悪魔の分け前』


GM:やがて、波の音とともに。君たちの視界が一気に開けるだろう。

森から出た君たちは、眼前に大きな湖を見る。遠方に陸地が見えるものの、雲や霧がかかっていれば、海と言われても信じてしまいそうなほどの広さだ。

水面が日光を反射し、深い青に染まるそれとの対比が美しい。

周辺の土は新緑がまぶしく、ピンクを基調とした花々が咲き乱れる。

すぐ側には、グランゼール国内から流れてきたシュウェーヌ川の分流のひとつが、湖に流れ込んでいる。河のほとりは次第に傾斜が増しており、露出した岩肌のところどころには、鳥や幻獣のものらしき巣穴が空いている。



オルフ:「ついに森を抜けたか…」差し込む光量が増えたので顔を手で覆いつつ。きれー。

アルクトス:「これは中々、見事な景色だ」

シュシュ:「……っ、ここが…悪魔の分け前」急に開けた視界に驚き目を手で隠す。

シンカイ:「あなや……」髪を押さえて景色に浸っている。

イスデス:「ほー。これが湖だって言うんだから素敵だね」

シュシュ:「……悪魔という割に……何だか心が洗われるようです……」


GM:風と、静かな波の音が聞こえる……が、他の動物や鳥の鳴き声や姿などが見えない。見識判定、目標値10でどうぞ。

イスデス:(ころころ)問題なし。

アルクトス:(ころころ)OK。

シュシュ:(ころころ)私も大丈夫です!

GM:では、3人はこれだけ天候も良いのに、少し静かすぎるような気はする。

また、君たちの辿っていた痕跡……足跡の種類が、ここへ来て増えていることがわかるだろう。


アルクトス:「静かなのがいいが、些か静かすぎるな」

イスデス:「ざばざばと波の音がするだけだねぇ」

オルフ:「変? ……確か、聞いていた悪魔の分け前は動物や幻獣もいるという話だったな。それらが皆無というのは確かに妙か」

GM:しかし、動物の気配がするのは確かだ。……どうやら何かを恐れて隠れているよう。

ジャンくん(シュシュ):『……それにほら、足跡を見てごらん』足跡がある場所をてしてしと

GM:ジャンくん(シュシュ)が示した場所には、別種の足跡。

ジャンくん(シュシュ):『……いやな予感がするね』

オルフ:「進むぞ」

シンカイ:「承知。……穴持たずが住み着いているのならば、いぶしだすのみ」



冒険者たちは先へ進み、あたりを「探索判定」で調査するが、失敗。

『新たに増えた足跡』についての情報は得られませんでした、農場から追っていた『獣』の足跡については、そのまま追跡できます。

道中、河にかかった丸太橋も「軽業判定」で全員が渡り切り、足跡をたどって湖へ近づいていくと、そこには崩落しかけた遺跡がありました。



GM:遺跡の大きさは、幅10mはありそうだ。……何かの倉庫だったのだろうか。

シュシュ:「……もしかしてこの中に?」ひそひそ。

オルフ:「……こんなものがあるという話は聞いてたか?」

シンカイ:無言で首を振る。

GM:道が舗装されており分かりにくいが、君たちの追う足跡は、この中に入っていったようだ。同時に、目標値11の文明鑑定判定をしてもらおうかな。

アルクトス:(ころころ)15で成功。

イスデス(ころころ)自動成功。めっちゃ知ってた。

シュシュ:すごい知ってた。

GM:では、イスデスとアルクトスはわかった。これは魔動機文明時代後期に造られたもの。蛮族の襲撃などで、かなり外装は剥がれ落ちており、扉も破壊されているものの、雨風をしのぐには十分な場所だ。隙間風を防げば、内部の温度も一定を保ってくれるだろう。

アルクトス:「あちこち破損しているが……魔動機文明後期の遺跡か」

イスデス:「人が隠れ住むぐらいはできそうなところかな」

オルフ:「中にいる可能性が高い、か」

GM:そこへ続くように橋がかかっている。昔は物資の保管所だったのかもしれない。

あたりは無音に近く、これ以上近づくのなら、中に誰かいた場合、普通は気づかれてしまうだろう。

全員で踏み込むもよし。あるいは、隠密行動して偵察に行くもよしだ。


オルフ:隠密ゥ……折角だしやろうかな……。あんま機会無いしやってみたさはある。

イスデス:おっ、いけいけ。

アルクトス:何か今日偵察やっても出目がみんなトラブりそうなんだよな。

オルフ:「……軽く中に何人いるか程度は探ってくるか」

シュシュ:「……オルフ様、お気をつけて」

GM:では、隠密判定。目標値は(ころころ)12でいこう。

オルフ:(ころころ)出目の問題ッ!!!

GM:出目4、達成値8で失敗ですね。

シンカイ:オルフーッ!

アルクトス:ほらぁ。

シュシュ:どんがらがっしゃーん!(笑)

オルフ:まあある程度近付いてあっこれ不味いなってなったらすぐ引き返す感じで。

GM:オルフは気配を消して忍び寄る。だが、そこで不意に音を立ててしまうだろう。

オルフ:「……チッ」掃除不足か、意図的に配置された鳴子代わりか。


GM:遺跡の壁面まであと数m、と近づいたあたりで、中から「誰だ!!」という大きな声が聞こえる。

今の大声は、交易共通語だ。遺跡に近寄ったオルフ以外のパーティメンバー全員にも聞こえるだろう。

シュシュ:耳ぴくん「!!……え、えっと……」

GM:オルフは近づいたのでわかるが、遺跡(倉庫)の入り口は、廃材などを雑に組み合わせた扉で塞がれている。中の様子は見えないが、その声はやや幼いもののように感じられるだろう。

オルフ:「悪い、気付かれた。」一度引き返しつつ。

イスデス:「まぁ、ここは仕方がない。あきらめて突っ込むとしよう」

シュシュ:「……え、えっと……聞こえたのは交易共通語ですし……対話を試みるというのも……」

シンカイ:「共通語という事は人の可能性もありき。……御待ちを! 今参ります!」小声で他メンツに言って、先頭に立ちます。

GM:これは貴族。

オルフ:「……人だったとしても犯人なら捕らえる。それだけは決まってる事だぞ」一言だけ言って下がります。


GM:「……もう一回聞くぞ! 誰だ!」今度は遺跡の扉の前から聞こえる。対話の意思はあるようだ。しかし、君たちを警戒もしている。何かあれば、すぐにでも飛びかかりそうなほど殺気立っている。

イスデス:「……どうする、正直に話すかい?」ひそひそ。

アルクトス:「別に、話すなら話したらいいだろう」

オルフ:「騙す理由があるか?こっちは堂々と詰めて、向こうが抗うなら無理やり連れて行けばいい」

シュシュ:「ひ、ひいっ…!」怒鳴り声に驚き。

「……あ、あのー……トウモロコシ泥棒さんを……ご存じないですか……」か細い声で。

GM:「…………あ。…………」

アルクトス:あ?

GM:頓狂な反応の後、そこから、しばらく沈黙が続くだろう。

イスデス:「えーっと……『雀のお宿亭』からの冒険者です。農場からの依頼でやってきました」

オルフ:「率直に聞くぞ。農場からトウモロコシを3度盗んだのはお前か」

GM:「……その。やっぱり、ドロボーだった? 食べちゃだめなものだった……よね……トウモロコシ……」先ほどまでの威勢はどこへやら。弱気な声になって君たちに話しかける。

イスデス:「ええ。顔も見えない貴方はどうあれ罪を犯した。その罪は裁かれるべきだ」

GM:「……う、うぅん、そっか。……ごめんね、悪かったよ……」特に抵抗することもなく謝罪するだろう。

シンカイ:「今ならば軽く済みましてよ。お顔をお見せくださいまし!」

オルフ:「俺達はトウモロコシ泥棒の捜索と確保。…そして場合によっては討伐を依頼されてきている。どちらになるかはお前次第だ。好きな方を選べ」 

GM:「と、討伐……」少しうろたえて「お、オイラをだますつもりじゃないだろうなっ!? アイツらの仲間っていうなら、容赦しないぞ!?」

アルクトス:「(話が少し拗れそうでいやだな)」紫煙くゆらせながら。


GM:声の言う『アイツら』については、少しばかり心あたりがあるだろう。

悪魔の分け前にたどりついて間もなく、犯人のものとは別の足跡があり、ひと悶着あったことを知っている。どうやら、その敵に追われているような印象を受ける。


イスデス:「(アイツら……さて、まだ何かありそうだな)」

シュシュ:「……どなたのことを仰っているかはわかりませんが、私たちは蛮族では……ああう……そういえば蛮族でしたー……」しゅーん。

イスデス:「とりあえず、姿だけでも見せてはくれないかな? 顔も見えない状態じゃあ喋りにくいだろう。あとシュシュちゃんのその言い方は若干こじれるかな……」

GM:「うぅ。……何もしない? 何もするなよ! ぜーったいに! だまし討ちとかなしだからねっ!」

オルフ:「お前次第だ」大丈夫? ひょっこり顔出して見えるのあぬびすだよ?

イスデス:大丈夫だよ。だってラッキーアイテムだぞ(笑)。



GM:……そう。……イスデスはラッキーアイテムなのだ。

イスデス:えっマジですか?

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