Session2-10 敵地へ
GM/ディック:君たちは合流し、農場東でディックに話を聞くこととなるだろう。連れて来られたディックは既に抵抗もせず、目元を濡らしながら小さくなっている。
「ごめん。オレ……」
シュシュ:「…………」そっとピピンとガストンのほうを見る。
GM/ピピン&ガストン:かける言葉が見つからないのか、しばらく黙ったままだ。
アルクトス:ディックが話してる間に<魔香草>3つ、焚いておこう。(ころころ)イスデスに7、シュシュに10回復。
GM:OKー。
オルフ:「何について謝ってんだよ」だいたいの事情は聴きつつ。
GM/ディック:「オレ……本当は皆を裏切ろうとしたんだ。冒険者たちが来て、思いとどまれたけど……だからこそ、もう自分が許せない、生きてちゃいけないって……」
ディックの言い分はこうです。
仲間と共に貧民街から抜け出し、農場で働くこととなったディックでしたが、2週間ほど前に、借金をして脅されていた人間たちに見つかり、密かに取引を持ちかけられました。
内容は、『睡眠薬をやる。仲間たちに飲ませたうえで、1人で取引場所まで来い。そうすれば仲間に戻してやるが、従わなかった場合は全員殺す』というもの。
期日はちょうど今日。そして、その人間たちは"紫水晶"というアイテムにより、何かの能力を持っているといいます。
その能力を目の当たりにしたディックは完全に畏縮してしまい、「全員死ぬか、自分だけ助かるか」と考えるようになってしまいました。
シュシュ:「…そう、だったのですね」少し視線を落とし。
GM/ディック:「……死ぬのが怖かったんだ。でもあんたたちが来てから……そんなことよりも……大切な仲間を売ろうとしていたことのほうが、怖くなって。
それに……オレの手はもう汚れていて。何をしても、絶対に許されないから」
シュシュ:「……えっと……死ぬのが怖いのは当然かなって……思います。もし私も同じ立場なら……どうしていたか……」
GM/ディック:「……今日、何も起こらなかったら、また平和に暮らせるのかと思ってもいた。でも……」
シンカイ:「……蛮族の襲撃。首謀者直々には来なかったようですが、だからこそ未だ危険が潜んでいる」
アルクトス:「催促、牽制だろうな。向こうも顔は極力晒したくないらしい」
ディック:それからは、声にならない嗚咽だけが響き渡るだろう。
オルフ:「それで1人で行って返り討ちにあって、何かの償いになるのか」おこ。
GM/ピピン:「そうだよ! そんなことしたって、誰も喜ばないよ……」
GM/ガストン:「……いつもそうだ。全部1人で抱え込んで……。だが、それに甘えちまって、お前の真意を聞けなかった俺たちにも、責任はあるんだが、な……」
オルフ:「手が汚れて絶対に許されない? だからどうした、絶対に許されなくて死ぬならそんなもん単なる逃げだろうが。失敗なんてもんは成功重ねる以外でどうにか出来るもんじゃねぇんだよ」
まさに生まれの蛇の目を成り上がる事でどうにかしようとしているが故に。
シンカイ:「オルフ。──もうよいでしょう」手で制します。
オルフ:「……チッ」やり場のない苛立ちを舌打ちとして吐き出し、ディックから目を背ける。
イスデス:「……で、それでこれからどうするんだい? 次こそはちゃんと話し合わなきゃ、だろ?」
GM/イザムナ:「……そうですね。今は、まずこれからのことを考えましょう」イザムナが冷静な面持ちで、君たちに向き直る。
シンカイ:「今は”そうさせた者”にわたくし達が斬り込むのが先です。……あとの事は彼らの問題よ」
シュシュ:「……私たちで対処すると……?」
アルクトス:「決まっている、農場に襲撃をかけてくるのなら排除する。今回はそういう仕事だ」
シュシュ:「……ですよね。そういう仕事ですものね」不安げに。
GM/イザムナ:「……ディックの事情はわかりました。腑に落ちないこともありますが……ひとまず、この近辺の農場の人間を脅し、人を攫っていた犯人がその者たちである可能性は、非常に高い」
シンカイ:「ディックが取引場所を知っているのであれば、こちらから攻め入ることも可能でしょう。征伐してしまうのが一番です」
GM/イザムナ:「……敵の戦力は未知数です。"紫水晶"とやらも、果たしてどんな能力なのか……それが把握できていない以上、私から皆さんに強制することはできません」
オルフ:「だが、向こうからの襲撃を受けて防衛するよかこっちから攻め込んだ方が幾分マシだ」
GM/イザムナ:「……それは、そうですが……」イザムナは考え込む。
冒険者の護衛依頼は5日間。そして、今日は4日目の夕刻です。
仮にここで変わらず見張りを続け、この夜に何も起こらなければ、冒険者たちは依頼の上では、そのままグランゼールへ帰還することになるでしょう。
シュシュ:「(死ぬのは怖い……人攫いも……。私どうすればいいの……どう……したいの……)」
オルフ:「確か、戦闘があったらその分追加報酬が出るんだよな」
GM/イザムナ:うなずく。
イスデス:「……もう追加報酬が出る条件は満たしてはいるけどね」
オルフ:「稼げるだけ稼ぐに越したことはないだろ」
アルクトス:「期限内に問題が発生した。ならば解決に動かねばならないだろう」
シンカイ:「これから先の危険性がこの農場に残る事はなりません。行きますよ、わたくしはわたくしだけでも」
GM/イザムナ:イザムナは、君たちを見据えて言う。「……1000、いえ……1500、追加でお出しします。農場の備品に使えるものもあるでしょう。どうか……お願いしても、よろしいですか」
オルフ:「ああ、承った」
イスデス:「皆が良いと言うならOKかな」そう言って、シュシュに眼を向ける。
シュシュ:「…………」ディックたちの方をチラリと見て、声もなく首を縦に振る。
シンカイ:「委細承知。それとディック、示しです。持たせているわけにもいきません──睡眠薬を渡しなさい」
GM/ディック:「……睡眠薬は、オレの部屋に……置いてある」ディックは自分のコテージを指すだろう。
冒険者たちが確認しに行けば、彼のベッドの上に睡眠薬──睡眠作用のある花『アムネアの花』をすりつぶした粉末が革袋に入っており、その下には、羊皮紙が置かれていることが確認できます。
そこには、歪んだ文字で、ディックの遺文が書かれていました。
先ほど聞いた真実がつらつらと述べられ、この紙をグランゼールに届けてほしいということ、
皆にここから避難してほしいことや、これまでの感謝、謝罪。
そして、『ごめん。ケジメをつけてくる』……と。
アルクトス:読んで、【ティンダー】で燃やしますね。
GM:ティンダーがこれ以上ないほどに活かされてる……。
イスデス:「こんなもの用意するぐらいならねぇ。全く」
シュシュ:「(私は……救われたんだ。まだ自分のことだけで精一杯な……そんな私でも)」
「少しでも……誰かの救いになれるなら……頑張ってみてもいいのかな……」と誰にも聞こえない小さな声でこぼす。
GM/イザムナ:イザムナは正式に、君たちに追加依頼を申し出てくるだろう。
報酬として、護衛依頼とは別の、追加の1500G。そして、農場の備品にあった「5点分の魔晶石」3つが支給される。
シュシュ:石おいし~~~。
オルフ:石だ~~~。何だろう、耕作魔動機の動力源とかかな……。
シンカイ:冒険者の魔剤。
アルクトス:石をばりばり齧るシュシュが思い浮かんでしまって。
イスデス:うまい! うまい! うまい!
シュシュ:えへへ……石美味しい……♪ とりまイスデス1、アルク2でいいかな?
イスデス:はーい。
アルクトス:わぁい。ばりばり。
シンカイ:異議なし。わたくしは自前でかなり持ちますし。
GM/ディック:ひとしきり泣き終え、幾分か平静を取り戻したディックは、君たちに協力するだろう。取引場所への案内。それと、囮になることを受け持ってくれる。
オルフ:「分かった」
シンカイ:「いいでしょう。ただし、わたくし達が下がれと申したら必ず下がる事。よいですね」
シュシュ:「……死んじゃったら、おしまいですからね」
オルフ:「従業員が死んだら査定に響くからな。」くれぐれも死ぬなよ、と念を押し。
GM/ディック:ツンデレだなあ(笑)。ディックはこくりと頷く。
「……でも……怖い。正直言って、あいつらが、どんなことをしてくるか……」
シンカイ:「貴方は既に勇気によって恐怖を振り切りました。……まずはそれだけでも充分ですが故に。あとはわたくし達が報いるのみ」
GM/ディック:「オレ、一度だけ見たんだ……"紫水晶"の力。……思うように力が入らなくなるんだ。……その、気を……気をつけて」
イスデス:「思うように力が……。ふむ」
アルクトス:「なるほど、良い情報だ」
イスデス:「(後で調べてみようか。"紫水晶"とやら)」
GM:取引場所は、東の森の奥にある。と言っても、ここから1時間はかからない。現地にたどりつけるのは、日没後。光源が必要であれば、ディックが率先して持ってくれる。
シンカイ:あ、まだわたくしの松明2本ついてます。1本を預けておきますね。
GM:了解です。ということで、準備ができ次第出発することになりますね。準備はOK?
一同:OK!
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