第10話『天狗飛脚』(1949)
1949年。敗戦後の日本映画界、特に時代劇界隈は大規模な規制下(自主規制とも)にあった。暴力表現や死を美徳とするブシドー、カタナは忌避され、時代劇の製作が難航する、受難の時代であった。
そんな時代劇ワールドにニューヒーローが登場する。
それは、非暴力で足の速さだけを武器にしたニューヒーロー天狗飛脚である。
『天狗飛脚』
あらすじはこうだ。
江戸時代に超高速怪盗が出現。あまりの足の速さに、どんな岡っ引きも彼を捕まえることはできない!!ならば、怪盗に匹敵するスピードの持ち主、つまり飛脚による高速機動隊を結成するしかない!ということで落ちぶれた飛脚問屋「天狗屋」が再起を賭けて高速機動隊へ参画しようとする!
ところが、落ちぶれた天狗屋には、アホが三人くらいしか残っていない。(この三人は非常に愛嬌があり大好きだ)天狗屋は、通りすがりの足の速い男「天狗の長太」に助っ人としての参戦を依頼する。
この長太だが本当に足が速い。
「走り出した後に水を飲みに戻って来るムーブ」「走り抜けたが一般人には見えない」等のクイックでシルバーな「早すぎた?」アピールで周囲を圧倒していく。
それだけではなく、長太は天狗屋の子息のために薬種問屋へ走って薬を調達したりして、ヒーローの条件を備えた人柄の良さがあることも判明する。
だが、この足の速さ、こいつはもしかして噂の怪盗ではないのか?という疑念を呼ぶ。誰だってそう思う。私もそう思う。
そこで長太は「潔白」「名誉」「金」「女」「正義」を証明するため、江戸大阪ウルトラマラソンに参戦して決着をつけるのであった。
「飛脚の喧嘩は拳じゃなくて脚でつけな!」という非暴力ながら、分かりやすい勝負。物語の最小単位は徒競走、ということわざもある。
残りの距離がカウントダウンされる大興奮のチェイスシーン、意外な展開、爽やかな結末。エンタメのすべてがここにある。大傑作です。
『天狗飛脚』
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