第554話 ヴィントシャフト最後の望みは聖剣使いに託された

今回はちょっと長め。普段なら分割する程ですが、内容的に切りの良いところまで掲載します。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 聖剣 天之尾羽張あまのおはばりを取り出して見せながら、皆に作戦概要を説明した……のだが、半信半疑といった反応を返されてしまう。仕方ないので、作戦の一部を実演して見せる事にした。

 ジョブを入れ替えて、村の英雄をセット。天之尾羽張へ魔力を流す。すると、魔力を流すにつれて、天之尾羽張に変化が出始めた。


 聖剣 天之尾羽張の見た目は、豪奢な鞘を持つロングソード(直剣)である。両手持ちが出来る程の長めの柄は装飾も少なく、鞘の方は文様が描かれた装飾は施されているが、真ん中に稲妻のような模様が縦に入っているのが目立つため、聖剣クラウソラスより地味な印象の武器だ。それと、鞘から抜けない困った剣でもある。


 その柄を握り魔力を流していくと、鞘の稲妻マークが銀色に変わっていった。鍔の根本から先に向かって、充電ゲージのように増えていくのである。MPが4割を切ったところで、ハイマナポーションを飲んで回復させる……〈スキル鑑定〉を覚えた後に一度だけ試したのだが、天之尾羽張を本来の姿を見せるには、かなりのMPが必要になるのだ……あれからレベルが上がって最大MPも増えているのだが、結局稲妻マークの先端まで銀色に変わったのは、120%くらい注いだ後であった。


 稲妻マーク全体が銀色に発光し始めたのを見て、俺は鞘の先端を上に向けて構えた。

 皆の注目を集める中、稲妻マークが二つに割れ、鞘が左右に展開し始める。そして、中の刀身が姿を現す。それは、実態を持たないエネルギーブレードのような銀色の剣であった…………ただし、刀身は短く50㎝、ダガー程度しかない。


「おいおい、勿体付けといて、ちっさい剣だな。そんなんで、あのドラゴンを殺れるのかよ?」

「まあまあ、成長させる方法を、今から見せるんだよ。あ、さっき頼んだ魔導士の人、俺に魔法を撃って下さい!」


 多分、皆が同じ感想を抱いたと思うが、真っ先に呆れた声で指摘してきたのはベルンヴァルトだった。こういう時、空気を読まずに指摘してくれるのは、説明しやすくて助かる。

 とどのつまり、鞘に見えた部分は展開式の鍔であり、エネルギーブレードの出力部分だった訳だ。


 そして、皆から少し離れてから、先に魔法陣の充填を頼んでおいた騎士団員達に声を掛けた。「本当に良いんだな? 撃つぞ!?」と念を押されたので、「お願いします!」と返すと、1人目が〈ファイアジャベリン〉を撃ち放つ……炎の投げ槍が俺に飛来し、直撃する直前に弾けるようにして霧散した。その霧散化したマナは天之尾羽張の小さい刀身へと吸い込まれて行く。

 2人目が撃った〈フレイムスロワー〉は、足元の魔法陣が光っただけで火炎放射は出ず、霧散化したマナは刀身へ吸収された。

 3人目が撃った〈エクスプロージョン〉は、俺の少し手前で球形の炎が一瞬だけ展開されたが、これも霧散化して吸収された。


 そして、3つの魔法を吸収した天之尾羽張は少し刀身が大きくなり、レイピアサイズ(60㎝、細長い)へと成長したのである。その様子が見えるように剣を掲げて、皆に説明した。


「見ての通り、魔力を吸収して成長する剣なんだ。勿論、魔物を切ってもMPを吸収して成長する。そうして剣を巨大化させて、ディゾルバードラゴンに匹敵するくらいになれば、付与スキル〈火属性即死〉で倒せるって寸法なんだ」


 今度は天之尾羽張の鑑定結果を書き写した紙を広げ、皆に見せる。


【武具】【名称:聖剣 天之尾羽張】【レア度:EX】

・異世界の神が所持していたとされる剣。逸話の通り火属性に特攻のスキルが付与されている。

 その他にも、ダンジョン内の魔素を吸収し、所持者のMPを回復するスキル〈MP自然回復量極大アップ〉や、魔法を切り払い吸収する〈魔法切り払い〉、魔法ダメージをMPに変換して吸収する〈ダメージMP変換〉、聖剣で傷付けた敵のMPを奪う〈MPドレイン〉など、MPを回復する手段が多数ある。

【破壊不可】【盗難防止】【自動回収】

・固有スキル〈火属性即死〉、〈MP自然回復量極大アップ〉、〈魔法切り払い〉、〈ダメージMP変換〉、〈MPドレイン〉



 そして、重要なのが固有スキルの中身だ。〈スキル鑑定〉でしか詳細が分からなかったのだが、その内容は以下の通りである。そのどれもが、鞘が割れた『神威しんい抜刀』状態で、パワーアップする仕組みだったのだ。



・〈火属性即死〉:火属性の魔物を攻撃した場合、ダメージの大小に関係なく即死させ、消滅させる。この時、使用者よりもレベルが20以上高い魔物、ダンジョンの階層を守るボス、ダンジョンコア、位階の高い者には即死効果は効かない。

 ただし、『神威抜刀』状態ならば、剣に蓄えられたマナが相手のマナ総量を超えると効果が発揮する。更に『神威抜刀』を限界突破させれば、属性に関係なく敵を即死させる。神の威光を示し、世界の歪みを滅せよ。


・〈MP自然回復量極大アップ〉:MPの自然回復量が格段に増える。

 『神威抜刀』状態で龍脈上に乗っていると、その流量が多いほど回復量が更にアップする。


・〈魔法切り払い〉:この武器が魔法、及び魔力由来の攻撃に触れた場合、その攻撃を無効化し吸収する。

 『神威抜刀』状態ならば魔法吸収範囲が広がり、切り払う必要もなく範囲魔法すら無効化し吸収する。ただし、味方の魔法も吸収してしまうので注意。


・〈ダメージMP変換〉:魔法攻撃にて自身のHPが減った場合、同じ割合だけMPを回復する。

 『神威抜刀』状態ならば、魔法攻撃以外でHPが減っても同じ割合だけMPを回復する。


・〈MPドレイン〉:聖剣で敵に攻撃を当てた場合、敵のMPを奪い自身のMPを回復する。

 また、ジョブが英雄系に限り、聖剣に一定以上の魔力が注がれた時、『神威抜刀』状態へ移行する。MPが全快の場合は聖剣にマナを蓄える様になり、マナの保有量が多いほど聖剣が巨大化する。そして、聖剣が大きいほどMPの吸収割合が増え、敵のマナ総量を超えた状態で攻撃すると、存在そのもの(ドロップ品や経験値も)をマナに変換し吸収する。



 これらのスキルの中で重要なのが〈MPドレイン〉と〈火属性即死〉である。〈MPドレイン〉の効果で天之尾羽張に魔力、マナを貯めて剣を巨大化させる。そして、ディゾルバードラゴンの総マナ量を超えた状態で〈火属性即死〉の効果を使い即死させるのだ。恐らく、魔法無しアクティブスキル無しで直接攻撃を仕掛けるよりは、勝算はあると思う。


 そして、天之尾羽張にマナを貯める方法としては、先程見せた〈魔法切り払い〉で味方の魔法を吸収するのと、〈MPドレイン〉で残りの魔物の群れから吸収する事で賄いたい。個人のMPじゃ全然足りないからな。

 そうして、ある程度エネルギーブレードな刀身を育ててから、ディゾルバードラゴンを攻撃して即死させる。仮に足りない状態でも、攻撃が当たれば〈MPドレイン〉の効果で敵のマナを奪うことが出来るからな。〈火属性即死〉の効果が発揮するまで、ちくちく攻撃していれば、いずれ倒せるだろう。


 そんな詳細説明をしてみたのだが、周囲の反応は半々だった。天之尾羽張の規格外の強さに勝機を見出し喜ぶ騎士達と、内容は理解したが故に苦々しい顔で考え込む為政者達である。その中の一人であるソフィアリーセが、真っ先に反論した。


「わたくしは反対です。あのような巨大な魔物の相手をザックス一人に任せて、わたくしたちは後ろから魔法を撃って聖剣を育てるだけなんて……ヴィントシャフトの者が矢面に立たなくて、誰が領地を守護する騎士団を名乗れるのですか?!

 他の手立て……そうですわ! ザックスがカメレオントールに使った弱点属性を作るスキルを当てれば!」


 俺の身を案じてくれているのは嬉しい。しかし、俺以外がディゾルバードラゴンに相対しても、犠牲者が増えるだけだと思う。そして、属性耐性を1段階下げる〈エレメント・ガードキル〉についても、多分駄目だと推測していると、レグルス殿下が補足説明をしてくれた。


「魔法戦士の〈エレメント・ガードキル〉か……サードクラスの魔導剣士になると、属性耐性を2段階下げる〈エレメンタル・ガードキル〉が使えるようになる。しかし、属性耐性が『吸収』の敵に当てて、2段階下げたところで『無効』になるだけだ」


 魔法戦士系ジョブを持つ王族には、先祖より伝わる兵法書に深層における属性耐性の教えも書かれているらしい。

 簡単にまとめると、属性耐性は『小<中<大<極大<無効<反射<吸収』の段階で強くなっていく。『吸収』は一番強い為、2段階下げたところで魔法を無効化されてしまうので意味がない。

 精霊による強化なのだろうけど、反則的に強い耐性だ。


 その話を聞いて、がっくりと肩を落とすソフィアリーセ。その頭を軽く叩いて慰めたのはエディング伯爵だった。


「しかし、ソフィの言う通り、ヴィントシャフト騎士団が何もせん訳にも行くまい。少なくとも、レベル50以上の雑魚共……〈ミラーシールド〉持ちの排除は必須であろう。それに、ドラゴンに対しても脚や尻尾を攻撃して動きを鈍らせる事くらいは出来るだろう」

「うむ、それには第0騎士団も参加しようではないか。それと、ザックスは騎馬隊のパーティーに入れ。〈インターベンション〉を掛けておけば、ダメージを半分肩代わり出来る。万が一、攻撃を受けたとしても即死は回避できるであろう」


 レグルス殿下も騎馬隊を参戦させる案を押してきた。〈インターベンション〉は、ついさっき騎士レベル45で覚えたスキルである。俺以外のパーティーメンバー5人に掛けてもらった場合、俺のダメージを喰らう度に5人が順番に半分肩代わりしてくれるそうだ。


「戦闘を補助するのであれば、私の劇団『妖精の剣舞』にお任せ下さい。

 先程の鑑定結果には『全属性の魔法及び魔力由来のスキル攻撃を吸収』とありましたので、恐らく『攻撃ではない』呪いの踊りによるデバフは有効でしょう。ただし、効果範囲である防御陣地の内側まで誘い出さなくてはなりませんが……」


 ヘラルダ座長も意見を出し、騎馬隊が戦闘に参加する方向で作戦会議は進められた。





「後続の魔物部隊が防御陣地に掛かりました! 更に、その後方からドラゴンも接近中!」


 物見の騎士が報告してくれたのを合図として、会議は打ち切られた。大方の戦術は決まったので、エディング伯爵の音頭で各々準備に取り掛かる。


「私は指揮所で演説の準備に入る。ザックス、この街の命運を託したぞ」

「はい、必ずやご期待に添えて見せましょう!」


 騎士団式の敬礼を返して見せると、エディング伯爵は笑って俺の肩を叩いて行った。


「ザックス、私は先に下に降りて、騎馬隊に概要を説明する。其方も早めに来るのだぞ」


 レグルス殿下は伝令の天狗族を騎士団から借りると、運搬用のハーネスを身に着け、下へと飛んで行った。王子様自ら伝令に行かなくても良いと思うのだが、この後は魔法を撃つくらいしか参加出来ないからと買って出たのである。流石に騎士でもない王子様を突撃部隊には入れられないからな。特に魔導剣士は、魔力由来の攻撃スキルしかないので、全吸収のディゾルバードラゴンとは相性が悪い。



「うう、最後まで一緒に戦えないのは残念です……絶対に生きて帰って来て下さいね」

「あはは、大丈夫だって。勝算は十分にあるし、エディング伯爵から保険もいっぱい貰った。今までだって、ちゃんと帰ってきたろ?

 夕飯はレスミアの手料理が食べたいな」

「はい、絶対ですよ!」


 パーティーに加入してから、レスミアを外したのは初めてである。その為、不安になったレスミアが、ハグして離れないのだった。背中を優しく叩いて宥めつつ、猫耳も撫でさせてもらう。十分に抱擁を交わしてから、名残惜しそうなレスミアを離した。すると、今度は自分の番だとばかりに両腕を広げたソフィアリーセが近づいてくる……が、ルティルトさんに邪魔をされていた。


「ちょっと、ルティ! 感動的な場面なのだから、少しくらい良いじゃない!」

「周りの目があるから駄目よ……ザックス、この色ボケた婚約者は私が守るから、安心して行ってきなさい」

「手を握るくらいなら、良いですよね?」


 ルティルトさんにガードされたソフィアリーセが手を伸ばしてきたので、それを握り返す。ちょっと、必死そうだったので笑い返して安心させてあげると、ぎゅっと両手で祈りを込めるように「光の女神様、どうかザックスに加護を」と呟かれた。


 次いでベルンヴァルトとは、拳を軽くぶつけ合って「任せたぜ!」とエールを受け取った。多くを語る必要もない。

 最後にフィオーレなのだが、いつの間にやらギターも片付けて、観戦モードである。何故なら、沢山の紙を出して、書き物をしていたのだ。何をしているのか、聞くまでもない。


「あんまり誇張して書くなよ」

「あっ……はははっ!! ありのままに書いても、聖剣だけで作り話だと思われそうだけどね~」



 皆にエールを受けてから、俺は外壁の胸壁を乗り越え下へとダイブした。かなりの高さがあるが、ニンジャの〈着地爆破演出〉があるので問題ない。落下エネルギーは全て爆破に回され、かなりの大音量が響き渡ったが、無傷で下に降りる事が出来た。


 下は南門の外側である。そして、肝心の南門は、溶岩で半分溶けかけていた。最初の溶岩弾……ヴァルキュリア達が受け止めて下に落としたのが、直下にあった門を溶かしたらしい。なるほど、先に雑魚敵共を倒さないといけない訳だ。


 その門を守る為、かなりの人数の騎馬隊がここに集結していた。その中で、先に降りたレグルス殿下が作戦を説明している筈なのだが、少し揉めているようだ。近付いてみると、ケイロトスお爺様が編成に異議を唱えているらしい。


「何を言っておる! ヴィントシャフトの危機に対して、他領の者だけに任せておけるものか!

 加えて、ザックスは私の可愛い孫娘の婿になる男だ。私のパーティーに入るのが道理というものだろう!」

「……仕方あるまい。先代領主ケイロトスをリーダーとして、半数は第0騎士団の近衛騎士をメンバーに加入させる。これが最大限の譲歩だ」


 ……ケイロトスお爺様の強さは身に染みて知っているけど、ディゾルバードラゴンはかなり危険なので遠慮して欲しい。まぁ、頑固な性格からして無理だろうけど。

 取り敢えず、合流して挨拶をすると、ケイロトスお爺様は天之尾羽張を見て不敵に笑った。


「そのような巨大武器を隠し持っていたとはな。私との一騎打ちでは、手を抜いていたのか?」

「御冗談を、あの時は使える手札を全部使ったうえで、ギリギリでしたよ。コイツは魔力を馬鹿食いするので、一人じゃ使いこなせないだけです。

 周りの皆さんも、ご協力をお願い致します! どこまで大きくすれば良いか分かりませんが、あのドラゴンを両断出来るサイズになれば勝てる筈です!」


 5m程に刀身が育った天之尾羽張を掲げて、集まっていた騎士達に助力をお願いした。

 そう、ここまでの作戦会議中から今に至るまで、領主の館付近に居た魔導士の皆さんが魔法を打ち込んでくれて成長したのである。ただし、長くはなっているが幅は左右に展開した鞘……もとい鍔の半分くらいしかない。もっと大きくなる筈だ。


 作戦の概要は説明済みなのか、周りの騎士達が各々の武器を掲げて勝鬨をあげる。俺もそれに合わせて剣を掲げて、戦意を高揚させた。


「簡易ステータス! ザックス、パーティーに入れ。

 それと、お主の馬は……」

「あ、俺は自前のバイクで行きます」


 ケイロトスお爺様の簡易ステータスを押してパーティーに加入してから、バイクを取り出した。最初は騎馬隊の突撃で、〈ミラーシールド〉持ちの魔物を狩るので、付いていくにはバイクは必要不可欠なのだ……未だに馬に乗れないのは恥ずかしいので黙っているけど。天之尾羽張のエネルギーブレード部分は重さが無いので、どれだけ大きくなっても片手で扱える重さのままだ。バイクを運転しながら片手で攻撃することになるが、〈剣術の心得〉や〈騎乗術の心得〉辺りがサポートしてくれるだろう。


 こうして、ケイロトスお爺様の指揮の元、騎馬隊が再配置された。その間に、レグルス殿下は天狗族に抱えられて外壁上へ戻って行っている。

 そして正面100m先には、多数の壁魔法に守られた防御陣地があり、魔物が殺到していた。時間稼ぎに壁魔法を増やし、〈ファイアマイン〉や〈ベリィ・ピット〉を随時追加していたようであるが、ぼちぼち破られそうである。


 そんな中、後方からエディング伯爵の声が響いた。指揮所から拡声器の魔道具で呼びかけているのだろう。


『領主エディングより、防衛戦に参加している者へ通達する。

 奥より迫りくる巨大な魔物こそ、今回の襲撃を引き起こした侵略型レア種、ディゾルバードラゴンだ。

 先の一斉魔法攻撃の結果を言うまでもないが、全属性の魔法攻撃、スキル攻撃を吸収すると言う、反則紛いな強さを持っている。普通に戦うのならば、この場の騎士達全員が決死の覚悟で挑んでも勝てるかどうか分からぬほどの脅威だ……

 しかし、我らには精霊の祝福を受けし、英雄が居る!

 それは、わが娘ソフィアリーセの婚約者にして、聖剣の使い手ザックスだ!

 ザックス、聖剣を掲げよ!』


 その声に従い、天之尾羽張のエネルギーブレードを上に向けて掲げ、軽く振り回した。かなり大きくなってきたので、外壁上の左右からでも見えるだろう。

 すると、エディング伯爵は充填していた魔法を俺に向かって発動させた。勿論、〈エクスプロージョン〉の火球が一瞬だけ広がるが、直ぐに天之尾羽張へ吸収されて行く。デモンストレーションだな。


『〈エクスプロージョン〉!……見ての通り、あの聖剣も魔法を吸収し巨大化する力を備えている。更に、聖剣で蓄えた魔力以下の魔物を即死させる効果もだ!

 つまり、我らの魔法を聖剣に注ぎ育て、ディゾルバードラゴンへの対抗手段とする!

 〈エクスプロージョン〉を使える者は充填を開始せよ! 司教で〈キュアサークル〉を使える者もだ! あれは回復の奇跡すら吸収する!』


 すると、領主の館付近に居た魔導士達が、タイミングを計ったように一斉に魔法を放った。外壁上に赤い魔法陣が多数光って消えて行く。

 その光は、天之尾羽張のエネルギーブレードを目標として火球を発生させ、吸収されて行った。またちょっと刀身が巨大化する。その様子を見た、外壁上の左翼右翼では、魔法陣が掲げられ充填が開始された。


 この場に居る者の魔力と祈りを束ね、聖剣 天之尾羽張は成長していった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る