第470話 特殊武器の付与スキル
夕食の後、俺は自分のアトリエでダイヤモンドの調合に掛かった。消費MPの問題は、マナポーションが量産できるようになった事で解消されている。マナグミキルシュよりも、MP回復量はマナポーションの方が多いので、こちらの方が効率は良い。ただ、風邪シロップみたいな味で、美味しくはないけどな。まぁ、夕食後なので、お菓子みたいなマナグミキルシュを食べては太るだけである。隔日でダンジョンに潜っていると、太るどころか身体が締まって筋肉が増大している気もするが。
それはさておき、錬金窯を掻き混ぜながら魔力を注ぐ。その間は暇になるので、お待ちかねの〈スキル鑑定〉をしようと思う。
特殊アビリティ設定を変更し、ミスリルソードを取り出す。ジョブに付与術師が入っていることを確認してから〈詳細鑑定〉を掛けた。
【武具】【名称:ミスリルソード】【レア度:B】
・軽くて魔力伝達率が良い金属、ミスリルで作られたロングソード。普段は銀色の刀身だが、魔力を通すとエメラルド色に反射するようになる。
ミスリル武具の特徴として、魔力を通していると魔力で刀身が保護され強度が上がり、攻撃は無属性の魔力攻撃となる。
・付与スキル〈剛腕〉〈敏速〉〈軽量化〉
・〈剛腕〉:筋力値極大アップ。
・〈敏速〉:敏捷値極大アップ。
・〈軽量化〉:付与された物の重量を半減する。
〈剛腕〉〈敏速〉は予想通りだな。セカンドクラスのステータス補正で大アップがあるけれど、それよりも効果が高い気がしていたからだ。〈軽量化〉も納得の軽さである。村時代のレスミアでも、ロングソードを振り回せるくらいだからな。
【武具】【名称:癒しの盾】【レア度:B】
・軽くて魔力伝達率が良い金属、ミスリルで作られた盾。僧侶スキル〈ヒール〉が付与されており、適性が無い者でも魔力を込めるだけで使用することが出来る。
ミスリル武具の特徴として、魔力を通していると魔力で盾全体が保護され、抗魔力状態となり魔法攻撃のダメージを和らげる。
・付与スキル〈ヒール〉〈HP自然回復増加 大〉〈加護〉
・〈ヒール〉:アクティブスキル。HPを中回復する。裂傷や打撲、出血などを癒し、正常な状態へと戻す。ただし、骨折には効き難い。
・〈HP自然回復増加 大〉:傷の治りが、かなり早くなり、出血も直ぐに止まる。
・〈加護〉:精神力極大アップ。
〈ヒール〉は僧侶のスキルの説明文と一緒だな。そして、〈HP自然回復増加 大〉はベルンヴァルトの血魂桜ノ赤揃えの付与スキルと同じ。
唯一、謎だったスキル〈加護〉も、ステータスアップだったようだ。この辺は、対となるミスリルソードと似ているな。前衛で戦うから筋力値と敏捷値がアップする付与スキルで、後衛で回復に務めるから、回復力がアップする精神力が上がると言う事だろう。
【武具】【名称:ミスリルフルプレート】【レア度:B】
・軽くて魔力伝達率が良い金属、ミスリルで作られた全身鎧。関節部の内側にはミスリルチェインなどが使われ、動きやすさも両立している。更に、着用者の体型にサイズが自動調整される。また、足裏には〈接地維持〉が付与されており、どんな悪路でも足を滑らすことなく踏み締めることが出来る。
ミスリル武具の特徴として、魔力を通していると魔力で鎧全体が保護され、抗魔力状態となり魔法攻撃のダメージを和らげる。
・付与スキル〈堅固〉〈接地維持〉〈緑閃光の揃え〉
・〈堅固〉:耐久値極大アップ
・〈接地維持〉:両足裏に自動発動。地面、及び堆積しているものを踏みしめている限り、足が滑る事は無い。
・〈緑閃光の揃え〉:純ミスリルの武器と盾を同時に装備した場合、全ステータスを大アップする。
そして、ミスリルセットの最後であるフルプレートも念のため〈詳細鑑定〉しておいた。以前、伯爵邸にて、専属職人に囲まれた状況で調べてもらったのと同じだな。セットで装備すれば、4種類の極大アップに加えて、〈緑閃光の揃え〉で全ステータスが大アップ。強い訳だ。一度だけ使ったけど、万能感を得るほどの強さだったからな。
元々がミスリルなので物理にも魔法にも強く、〈堅固〉と〈加護〉で更に強固になるとか……多分、61層以降でも使えそうなセットである。
惜しむらくは、騎士ジョブでしかセット装備が使えない事だな。それは、重量云々ではなく、付与スキルの仕様故にである。武具の付与スキルは、武器、防具、アクセサリーの各一つずつまで、計3箇所しか有効化されない。鎧と兜に別々の付与スキルがあっても、先に身に着けた方しか機能しないと聞く。そんな中で例外なのが騎士ジョブであり、盾の付与スキルを有効化する事が出来る。まだ、俺は覚えていないので、もう少し上のレベルだろうけど……
【武具】【名称:紅蓮剣】【レア度:A】
・重く硬く魔力を拒絶する金属、アダマンタイトで作られた両手持ち用のツヴァイハンダー。魔法生物すらも拒絶し、その存在を否定する。芯材にミスリルが使われているため、スキルを発動する事は問題無いが、バフ系魔法の効果時間が短くなる。魔力を込めると刀身が炎を噴き出し、火属性を帯びる。
・付与スキル〈魔法生物特攻〉〈加重〉〈紅炎〉〈冷熱耐性〉
・〈魔法生物特攻〉:非生物系に対して与えるダメージを極大アップする。また、コア等の弱点に当たれば、一撃で機能停止させ、実体が無い魔物は刀身が触れるだけで霧散させる。
・〈加重〉: 刀身に魔力を込めた状態で、任意発動。武器の重量を2倍~10倍の重さへ変化させる。倍率は術者の任意であり、相応に魔力を消費する。
・〈紅炎〉: 刀身に魔力を込めることで自動発動。武器に火属性を付与し、属性ダメージを極大アップさせる。また、刀身から炎を吹き出し、射程を延ばす他、敵に突き刺せば内側から焼き尽くす。
・〈冷熱耐性〉:低温及び高温に強くなる。ランク3程度の火属性魔法や、氷属性魔法ならへっちゃら。
流石はレア度Aの特殊武器。付与スキルが、只のステータスアップではなく、どれも豪華になっている。
〈魔法生物特攻〉なんだが、もしかするとマリス・エレマンも楽勝に倒せるのではないか?
アイツの鑑定文には『魔結晶型魔法生物』と書いてあったし……いや、それを言ったら、チェーンスネークやチェーンヒュドラも『無機物系魔法生物』で、同じか。違いは分かりやすいコアが有るか無いか……先ずは、40層のボス周回で試してみるか。
そして、〈加重〉。まんまなスキルであるが、俺は発動させた事はない。任意発動であるために、効果を知らなければ使いようがないからな。効果としては、単純に斬り降ろしの直前に重くして威力を上げるとか、敵との打ち合いに重量差で押し切る辺りだろう。まぁ、元々かなり重いツヴァイハンダーなので、使う必要があるかは疑問だが。
〈紅炎〉は、カボチャ戦で活躍してくれたな。魔力を込めれば、火を吹き出して火属性付与、分かり易くて良い。あのデカいカボチャを焼きカボチャに出来たのも、火属性ダメージを極大アップしてくれたお陰かな?
そして、〈紅炎〉の吹き出す炎から身を守ってくれるのが〈冷熱耐性〉のようだ。よもやランク3の範囲魔法〈フレイムスロワー〉がへっちゃらになる程に、軽減してくれるとは思わなかったが……次の雪山フィールドでも使えそうだな。いや、紅蓮剣自体の重量が重いから、雪に沈んでしまうか?
【武具】【名称:プラズマランス】【レア度:A】
・アダマンタイトとミスリルの合金から作られた馬上槍。各金属特有の特徴は失ったが、硬度と軽量化、魔力伝達率が両立している。柄には多数のアメジストが絢爛な意匠と共に埋め込まれ、槍自体が雷属性を備えている。魔力を通すことで穂先が帯電して、敵を麻痺させることが出来る。また、〈プラズマブラスト〉による遠距離攻撃も可能。
・付与スキル〈黒雷〉〈雷精霊の加護〉〈電光石火〉〈プラズマブラスト〉
・〈黒雷〉:武器に雷属性を付与し、属性ダメージを大アップさせる。
・〈雷精霊の加護〉:魔力を込める事で穂先に雷を纏い、属性ダメージを2倍に強化して、攻撃した敵を確率で麻痺させる。また、自身への麻痺の状態異常を無効化する。
・〈電光石火〉:敏捷値と器用値を極大アップさせる。更に、移動系スキルの硬直を無くし、連続発動が可能になる。
・〈プラズマブラスト〉:長距離にまで届く、雷属性の巨大ビームを撃ち放つ。撃ちながら左右に動かす事で広範囲を薙ぎ払う事も可能。術者と対象の知力値を比較し、その差の確率で麻痺の状態異常にする。
この魔法は敵味方識別機能が付いており、範囲内にいるパーティーメンバーには効果が無い。
事前に〈マグネティックフィールド〉が設置されている場合、そこにビームを集中させてダメージを上げる。
〈黒雷〉は、他の武器の付与スキルと比べると大人しい……と思ったが、〈雷精霊の加護〉の効果で威力が倍になるなら、極大アップよりも総合的に強い気がする。しかも、敵を麻痺させて自分は無効かとかも酷い。
〈電光石火〉に至っては、特盛バリューセットかな? いや、名前の通りと言えば、その通りだけどさ。そもそも、移動系スキル……〈フェザーステップ〉は硬直が無いけど、〈ボンナバン〉辺りの高速移動スキルは、加速が止まる瞬間に一瞬隙がある。その為、連続発動するには〈フェザーステップ〉を挟んだりするのだが、それすら必要なくなるのか。まぁ、深層では、敵の後衛を潰すために、これくらいの速度は要るのかも知れない。
そして、〈プラズマブラスト〉の鑑定文を、ようやく見ることが出来た。ヴィントシャフトの騎士達に見せびらかした以外だと、実戦で使ったのは雪女アルラウネの時のみ。あの時は、一撃でボロボロにしたけれど、もしかして麻痺していたのかもしれない。
槍を薙ぎ払うように振れば、ビームも振り回せる……ローリングバスターラ〇フルかな? 敵味方識別がパーティーのみなので、近くに他パーティーが居たら巻き込みそうで怖いんだが……後、〈マグネティックフィールド〉も気になるな。雷属性魔法の一つか?
【武具】【名称:ブラストナックル】【レア度:A】
・アダマンタイトとミスリルの合金と、火竜の革から作られたガントレット。各金属特有の特徴は失ったが、硬度と軽量化、魔力伝達率が両立している。魔力を込めるとガントレット全体の温度が上がり、火属性を帯びる。更に、魔法陣に充填した状態で殴れば、そこに〈ファイアマイン〉を埋め込む。
・付与スキル〈ヒートアップ〉〈熱無効〉〈ファイアマイン〉〈魔喰掌握〉
・〈ヒートアップ〉:ブラストナックルに魔力を流すことで、発熱する。流す魔力が増えるほど温度も上がるが、自身が身に着けている物には影響しない。また、この状態で敵を攻撃する毎にテンションが上がり、火属性魔法の充填速度をアップする。
・〈熱無効〉:温度変化に絡む影響を全て無効化する。爆風やブリザードの影響を受けず、凍結の状態異常も無効化する。また、火属性と氷属性に対する属性ダメージを大幅に軽減する。
・〈ファイアマイン〉:指定位置に火属性の地雷を設置する。パーティーメンバー以外が踏むと大爆発し、爆炎と共に吹き飛ばす。ただし、この武具に付与された〈ファイアマイン〉は殴った個所にしか設置出来ない。その代わり、威力が上がる。
・〈
〈ヒートアップ〉は大体、検証通り。ただ、〈ファイアマイン〉以外の火属性魔法でも、充填速度アップの効果があるのか。ゾンビの群れとか殴りまくって〈ヒートアップ〉して、〈エクスプロージョン〉で吹き飛ばすのも良いな。
〈熱無効〉は温度変化だけでなく、属性ダメージまで軽減までしてくれるとは。この2属性を使う魔物が多い所では、ブラストナックルを使う選択肢が入るな。
〈ファイアマイン〉が魔道士の物と少し違い、殴った個所だけなのは、検証で知っていた。
ただし、〈魔喰掌握〉は検証じゃ分からない事が多いな。武具を取り込んで付与スキルを吸収するだけじゃないのか……スキルみたいに、発動キーワードが要るなんて、情報なしでは気付ける訳無いっての。
……ただ、『その武具を取り込んだ形態へと移行する』は、ちょっとワクワクするフレーズだな!
ダイヤモンドを作り終えたら、試してみるか!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます