第159話 送別会と今後の村の見通し

 レア種討伐後から21層の再調査が終わるまで、4日間分のレベル変動は以下の通り。


 ・魔道士レベル1→20    ・付与術師レベル1→20

 ・採取師レベル15→20E   ・職人レベル15→20E

 ・戦士レベル20→22     ・スカウトレベル21→22


 新しく増えた新ジョブは、既にレベル20まで上げてある。雷玉鹿の角がドロップしないのが悪い。ついでに、採取師と職人もカンストさせた。



【ジョブ】【名称:付与術師】【ランク:2nd】解放条件:職人Lv15、魔法使い系の血筋、エンチャントストーンを使用する。

・仲間や装備品を強化して、ダンジョン探索をサポートするジョブ。付与術で各種ステータスや耐性を一時的に上げる。また、専用スキル〈スキルエンチャント初級〉で装備品にスキルを永続付与することが出来る。ただし、専用アイテムの『付与の輝石』が必要なため、入手する伝手を確保しよう。

 戦闘系のスキルは一切覚えないため、戦闘中は後ろで補助に徹した方が良い。


・ステータスアップ:HP小↑、MP小↑、筋力値小↑、耐久値中↑【NEW】、知力値小↑、精神力小↑、器用値中↑

・初期スキル:職人スキル、初級鑑定、付与術・筋力、スキルエンチャント初級

・習得スキル

 Lv 5:付与術・耐久

 Lv10:知力値小↑

 Lv 15:付与術・敏捷、付与術・知力

 Lv 20:精神力小↑【NEW】、付与術・器用【NEW】



 各種ステータスの付与術を覚えただけだな。足りないステータスを強化できるのは良いのだが、単体にしか使えないのが手間である。範囲魔法のように複数付与出来るようなスキルが欲しい。今後に期待かなぁ。



【ジョブ】【名称:魔道士】【ランク:2nd】解放条件:魔法使い Lv25以上、ランク4までの魔法を各10回以上使う。初級属性の適性が3つ以上。

・初心者を脱した魔法使い。ランク8まで極めることで、ようやく一人前になれる。

 特にランク7以降の魔法は威力が高く、敵を一掃出来るほど。しかし、倒せなかった場合は集中的に狙われることになる。数種類の敵の弱点を見極め、的確な属性を使う判断が求められる。


・ステータスアップ:MP中↑、知力値中↑、精神力中↑

・初期スキル:魔法使いスキル、充填速度小アップ、フィリングシールド

・習得スキル

 Lv 5:魔攻の増印

 Lv10:精神力中↑

 Lv 15:マナの循環

 Lv 20:魔封耐性小↑【NEW】


【スキル】【名称:魔攻の増印】【アクティブ】

・杖系スキル、次に使う魔法の威力を上げる。


【スキル】【名称:マナの循環】【パッシブ】

・ダンジョン内など、マナが濃い場所で座る、もしくは立ち止まっている時のみMP自然回復量が上がる。これは〈MP自然回復小アップ〉などの回復系スキルと重複する。



 残念ながら、新しい魔法は覚えていない。新しいスキルの〈魔攻の増印〉は〈カームネス〉と同じく、ワンドを持っていないと発動出来ない。使用するとワンドの先に追加の光の輪が現れ、次に出した魔法陣の外円にくっ付く。ただ、次に使う魔法の見た目も変わっていないので、威力がどれだけ上がっているのか、いまいち分からないけど……まぁ、一撃で倒せない魔物に遭遇したら使えば良いか。

 〈マナの循環〉はMP回復を促進してくれるので重要だ。じっとしていないと効果が発揮されないけど、休憩中に回復量が増えるだけでも嬉しい。



【ジョブ】【名称:職人】【ランク:1st】解放条件:基礎Lv5以上、物作りをする

・非戦闘職。何かを作ると少し経験値が貰え、出来の良いものほど経験値も増える。下積み期間なので、コツコツと練習し、〈見覚え成長〉で技術を学ぼう。物作りの際に〈作業集中〉しておくと、出来の良い物が作れる。


・ステータスアップ:HP小↑、筋力値小↑、耐久値中↑、器用値中↑

・初期スキル:作業集中、アイテムボックス極小

・習得スキル

 Lv 5:見覚え成長

 Lv 10:器用値中↑

 Lv 15:反復動作

 Lv 20:耐久中↑【NEW】、アイテムボックス中【NEW】

 END



 職人はレベル20でENDだ。覚えたスキルも今更感があるけれど、ジョブをまとめた資料を見返していて、面白い事に気が付いた。レベル20までで、アイテムボックスの『中』を取得するのは、職人の他は商人のみなのだ。職人系セカンドクラスの錬金術師や料理人、熟練職人は『小』止まり。付与術師に至っては『極小』しか持っていない。


 ここで注目したいのは、セカンドクラスは下位クラスのスキルをそのまま使える事だ。付与術師だったら〈職人スキル〉を持っている。つまり、職人を余分に育てて『中』を覚えると、本来『小』か『極小』しか使えないセカンドクラスでも、大きなアイテムボックスが使えるようになるのである。


 もっとも、セカンドクラスが『中』を覚えるのが、何レベルか分からないのが難点だけどな。もし、10レベルも離れていれば、有用な情報になるはずだ。これってトリビアに……もとい、良いネタになりそうだ。



【ジョブ】【名称:採取師】【ランク:1st】解放条件:基礎Lv5以上、採取地で素材を採取する

・非戦闘職。採取地で採取をすると少し経験値が貰える。戦闘用のスキルは殆ど無いので戦闘には向かないが、採取物の品質を上げ、個数が増えるスキルがあるため金策に向く。パーティーでは戦闘は他に任せ、アイテムボックスと採取スキルで貢献しよう。


・ステータスアップ:HP小↑、筋力値小↑、耐久値小↑、器用値小↑

・初期スキル:採取の心得初級、アイテムボックス極小

・習得スキル

 Lv 5:反復動作

 Lv 10:隠密行動

 Lv 15:採取の心得中級

 Lv 20:サーチ・ストックポット【NEW】

 END



 採取地の場所が分かる〈サーチ・ストックポット〉は、地図があれば無くても問題無いが、フィールド階層で稼ごうと思えば〈自動収穫〉と同じくらい有用だ。素材を得るだけなら適当に歩いていても見つかるけど、隠れている採取物を見つけるのは無理だ。落ち葉の下や木の洞の中、木の上、崖の中、罠の落とし穴の底など、総じて意地が悪い。しかも、そういった隠れている所の方が多く生えていたり、銀鉱石のように価値が高い物が産出したりするので、使わない手は無い。

 〈敵影感知〉の圧力とは感じ方が違うので、併用は可能だ。慣れないと頭が混乱するけど。







 22層の採取物の調査を始めた日から6日が経過した。

 明日には、このランドマイス村を発って、アドラシャフトの街へ帰る予定だ。そして、今夜は酒場を貸し切って俺とレスミア、それに討伐隊の送別会、及び交代に来た騎士団員の歓迎会が開かれていた。



「……のように、侵略型レア種討伐してくれたザックス殿とレスミア、それに自警団を鍛えて下さった騎士団の皆様に感謝して、乾杯!」


 村長の少しばかり長い話があったものの、乾杯の音頭で宴会が始まった。 先ずは村長に挨拶に行くと、両手で握手をされた。


「ザックス殿には山賊と侵略型レア種、2度も村を救って頂き、感謝の意が絶えません。やはり、広場に石像を立てて、後世に……」

「待った! 待って下さい。それはこの前、断りましたよね。年一回のカボチャ祭りを開催する事になったじゃないですか」


 この前の宴会では、途中で寝てしまっていた為か、村長は結論まで覚えておらず。後日の会議で、石像反対派の声が大きく、カボチャ祭りに決まった。村長は最後まで粘っていたらしいけど……


「教会に女神像があるので、そちらに祈りを捧げてはどうですか? 俺の聖剣は光が関係しているので、光の女神様の恩恵でしょうから」


 鑑定文だと精霊が作り上げたとあるから、女神様が関係しているかは分からない。でも、転生や特殊アビリティを授ける事が出来るのは、神様を置いて他にはいないだろう。あながち、間違ってはいないと思う。


「おお、女神様の思し召しならば、教会で祈りましょう。

 それと、今朝レスミアとの雇用契約は解除しましたので、後の事を宜しくお願いします。半年程ですが、家族のように過ごしましたので、娘を嫁に出す気分ですよ」


 レスミアと顔を見合わせて、笑い合う。


「私からも、半年間お世話になりました。この村に来られて良かったです」

「私生活では、俺の方がお世話になりっぱなしですけどね。ダンジョンでも、それ以外でも、レスミアは守ります」



 村長への挨拶が終わり、飲み物のお代わりを貰おうとカウンターに向かうと、フノー司祭とオルテゴさん、それに討伐隊の人達がエール竹を飲み交わしていた。水筒竹のお酒は評判が良く、今日の為に21層と22層で採取して、数を用意したのだ。主に討伐隊の皆さんが。


「あんちゃん達なら心配は要らんだろうが、ダンジョン攻略頑張れよ! 討伐隊の人達みたいにバンバン倒せば直ぐだ!」

「村のダンジョンも増えたのは22層までだったからな。後は自警団が頑張ってくれるだろうよ。ようやくギルドマスターとして、のんびりした仕事に戻れるってもんだ」


 フノー司祭は22層の調査の手伝いから、侵略型レア種との使用物資をまとめた資料作り、ギルド本部への報告書作りで忙しかったそうだ。


「まさか現役引退してから、銀盾従事章が貰えるとは思わなかったな。まぁ、思い返すと二度とゴメンだが」

「ガッハッハッ!なかなか燃える戦いだったもんなぁ。俺もまだ戦える事が分かったからな。自警団が20層を超えるまでに、さっさと息子に農地のまとめ役を譲るつもりだ。

 21層は俺が引率してやろうってな」


「お前は酒が飲みたいだけだろ!」

 オルテゴさんのように壮年の方からも、21層に行きたいという声が出ている。元探索者でレベルが、そこそこある人達だ。農作業の空いた時間で肉狩りをしていた人たちが、自警団の訓練に混ざって、鍛え直しをしているそうだ。

 お酒だけでなく、沢山取れるスタミナッツや蜜リンゴも目当てになっている。主に奥さんから催促されているらしい。肉狩りが盛んだっただけあって、食欲旺盛な村だ。

 まぁ、色々宣伝した効果があったと思おう。



 カウンター近くのテーブルでは、ローガンさんと隊長さん、それに交代で来た騎士団員が飲みながら、訓練内容を話していた。

 ローガンさんはトレジャーハンターからジョブを変更し、採取師をレベル15に上げて、罠術師を入手している。

 自警団員がジョブを戦士からスカウトへ変えるのを渋っているなか、長年育てたセカンドクラスを捨てて、採取師からやり直して見せたのだ。

 今後は罠術師として、サンダーディアーの狩りの仕方を指導していくと息巻いている。


「あ~、慣れるまでは、騎士団の人達に盾役をお願いした方が良いですよ。サンダーディアーが強い事には変わりありませんから」

「ええ、そうですな。騎士団の皆さんにも、罠術師の便利さを広めましょうぞ!」


「ハッハッハッ! ローガン殿は教育熱心だな。お前達も見習えよ!」


 隊長さんがエールを飲みながら、交代の騎士団員達に訓練教官としての心得を語りかけている。騎士団員達は、ダンジョンのマナの溜まり具合を定期的に調査しながら、合間に自警団の訓練をする。ただ、ダンジョンが22層しかない事から若手が送られて来てしまった。その為、教官役の経験が少ない騎士団員と、訓練法を教えられたローガンさんで協力していくそうだ。


 まあ、やる気に溢れたローガンさんに任せておけば大丈夫だろう。騎士団がいる半年間に軌道に乗せないといけないけど、食欲で現役復帰する人達も居るからな。

 それに、パーティーから外れた人でも、ジョブの解放条件を満たせば新しいジョブを得られる事が分かったので、俺としても助かっている。鑑定文を疑っているわけではないが、人によって解放条件が違うなんて可能性もあった。こっそり検証したけど、レスミアの僧侶とローガンさんの罠術師が取れたのだから、おそらく同じと見ていいかな。

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