第154話 セカンドクラスの魔道士と付与術師
・基礎レベル22→28 アビリティポイント43
・村の英雄レベル22→28 ・魔法使いレベル22→28
・遊び人レベル20→27
・魔道士レベル1 ・付与術師レベル1
ボス2連戦だけあって、基礎レベルが6も上がっていた。それに合わせて、奇数レベルごとに増えるアビリティポイントも3増えている。特殊武器を出すと、せっかくの複数ジョブが使い難くなるので、ポイントはもっと欲しい。今回も範囲魔法とか、〈フルスイング〉とか使えたら、多少は楽になった場面もあったのに。
それと、上空に飛ばされた時、〈カームネス〉が使えて本当に良かった。意識が朦朧としていたのに、一瞬で正常な思考が出来るようになったからな。ジョブの入れ替えで迷わずにパパッと決められたのも、そのお陰。
ステータス的に外せない村の英雄と、新しい魔法狙いの魔法使い。そして、遊び人の〈獲得経験値中アップ〉と、特殊スキルの経験値増の3倍と合わせて、相乗効果を期待してセットしたのである。
では、早速レベルが上がったジョブを見ていくが、村の英雄は【NEW】マークが無い。レベル25でも新スキル無しのようだ。次の30に期待しよう。
魔法使いはレベル25で〈初級属性ランク5魔法〉を覚えた。
【スキル】【名称:初級属性ランク5、壁魔法】【アクティブ】
・指定位置に各属性の壁を作り出す。ランク2の盾魔法とは違い、動かすことは出来ないが、その分大きく、属性ダメージも大きい。
火:フレイムウォール、水:アクアウォール、風:ウインドウォール、土:ストーンウォール
〈ストーンウォール〉が永続的に石壁になる事は知っているが、他の属性は後で実験しないと。ただ、〈フレイムウォール〉はもっと早く欲しかった。ジャック・オー・ランタンも楽に焼カボチャに出来たろうに。
遊び人レベル25で覚えたのは〈ダイスに祈りを〉と〈リアクション芸人〉だ。いや、スキル名じゃ訳が分からんぞ。
【スキル】【名称:ダイスに祈りを】【アクティブ】
・10面ダイスを振り、数が大きいほど良い事が起こる。低いほど悪い事が起こる。1日1回だけ使用可能、使用回数は0時に回復する。
ダイス神に祈りを捧げよ。
なんだこれ???
おみくじみたいなものだろうか? 取り敢えず、使ってみると、一抱えもある10面ダイスが現れた。持った感触はゴムボールのように弾力があり、よく跳ねそう。付与の輝石の大きい版で、各面には数字が書かれている。
「今度は何ですか? いきなり出てきましたけど」
膝枕をしたままだったので、レスミアが俺の頭を撫でながら聞いてくる。簡単に説明すると、楽しそうに笑いながら急かされた。
「へ~、サイコロって6面しか見た事ありませんでしたけど、10面なんてあるんですね。早く投げてみてください」
軽く放り投げると、ボールのように跳ねた後、転がって行った。あ、寝転んだままだと、何が出たのか見えない。上半身だけ起き上がったが、直ぐに両肩を押さえられて、膝枕に戻された。
「私が見ますから、大人しくしていて下さい。え~と、9……いえ、6かも?」
「横棒が入っている方が下だぞ」
「それなら、6ですね。ちょっと惜しかったですね」
「ほぼ真ん中、ちょっとだけ良い事か?」
10面ダイスが煙のように霧散していくと、その場にタケノコが生えてきた。それが、早回しのようにぐんぐん育ち、竹に変わっていく。成長が止まると、今度は竹の一部が変色して……水筒竹じゃないか。水色と黄色の節間が交互に並んだ。確か、水色がサイダーで、黄色がエールだったかな?
「おお~、水筒竹の色付きが生えて来るなんて、凄いスキルですね! 色付きは熟成に時間が掛かるって聞くのに、あっという間に変色しましたよ」
竹が1本だけなので、それほど数は多くない。ただ、ダイスが6でこの結果なら、10が出るとどうなるのか。逆に悪い結果の1が出たら……
まぁ、心配しすぎてもしょうがないな。お金とかのコストも払わずに出来るから、ギャンブルというよりも朝一の運勢占い程度に考えた方が良いかもしれない。
【スキル】【名称:リアクション芸人】【パッシブ】
・ダメージが発生する直前に自動発動。そのダメージを無効化して、派手なリアクションを取る。元々のダメージ量に比例して、リアクションは大きくなる。ただし、新人の前座なので出番は少なく、4時間に1回だけしか発動出来ない。
遊び人は他の誰かを楽しませるジョブだったな。コメディアンもその一種か? 新人になった覚えはないけど。
ただ、名前とは裏腹に効果は凄い。1回だけとはいえダメージ無効化出来るからな。遊び人よりも盾役の戦士系に欲しいスキルじゃないか。
リアクションがどれくらいなのか試してみたいが、水筒竹と同じく「怪我が良くなるまで、後回しにしましょう」と、レスミアに動かないように押さえつけられた。信用が足りないのか、過保護なのか。
次の新ジョブでもチェックしておくか。
【ジョブ】【名称:魔道士】【ランク:2nd】解放条件:魔法使い Lv25以上、ランク4までの魔法を各10回以上使う。初級属性の適性が3つ以上。
・初心者を脱した魔法使い。ランク8まで極めることで、ようやく一人前になれる。
特にランク7以降の魔法は威力が高く、敵を一掃出来るほど。しかし、倒せなかった場合は集中的に狙われることになる。数種類の敵の弱点を見極め、的確な属性を使う判断が求められる。
・ステータスアップ:MP中↑、知力値中↑、精神力小↑
・初期スキル:魔法使いスキル、充填速度小アップ、フィリングシールド
待望の戦闘系セカンドクラスの第一弾だ。解放条件からして、才能が無い奴は、お断り感が強い。貴族がエリートたる所以だろうか? 魔法を各10回使うのは、促成栽培の防止かな。
しかし、今でも魔法頼りにしているのに、ランク7、8はわざわざ『威力が高い』とか書く程か。頼もしいけど、またMP管理が大変になりそうな予感がする。
【スキル】【名称:充填速度小アップ】【パッシブ】
・魔法陣に魔力を充填する速度が少し早くなる。
【スキル】【名称:フィリングシールド】【アクティブ/パッシブ】
・ダメージが発生する攻撃を受けた際、充填済みの魔法陣があれば、自動発動する。魔法陣に込められていたMP分のダメージを軽減する。
充填速度が速くなるのはありがたいから良いとして、魔道士でもダメージを減らすスキルを覚えるとは。ジョブの解説文に『集中的に狙われる』とか書いてあるし、その保険だろうか? 集中攻撃されたら、一回防いでも焼け石に水な気もするけど。
ダメージの軽減量にもよるけど、魔法陣を充填待機させたまま、近接距離で戦うとかどうだろう。わざと魔物の一撃を受けてカウンターなんて、定番じゃないか?
「なんで、自分から怪我をしに行くんですか!」
レスミアにも語って聞かせたら、チョップを食らってしまった。
「そのまま、魔法を撃った方が早く倒せますよ」
「ごもっともな意見だけど、魔法が効き難い敵とかさ……なによりロマンがあるぞ」
追加でチョップを食らった。
【ジョブ】【名称:付与術師】【ランク:2nd】解放条件:職人Lv15、魔法使い系の血筋、エンチャントストーンを使用する。
・仲間や装備品を強化して、ダンジョン探索をサポートするジョブ。付与術で各種ステータスや耐性を一時的に上げる。また、専用スキル〈スキルエンチャント初級〉で装備品にスキルを永続付与することが出来る。ただし、専用アイテムの『付与の輝石』が必要なため、入手する伝手を確保しよう。
戦闘系のスキルは一切覚えないため、戦闘中は後ろで補助に徹した方が良い。
・ステータスアップ:HP小↑、MP小↑、筋力値小↑、耐久値小↑、器用値中↑
・初期スキル:職人スキル、初級鑑定、付与術・筋力、スキルエンチャント初級
【スキル】【名称:付与術・筋力】【アクティブ】
・短時間の間、対象の筋力を一段階上げる。
付与の輝石を手に入れたところだから、丁度良いと言うか、都合が良すぎるような……気にしてもしょうがないか。
フノ―司祭が防御力アップの〈ホーリーシールド〉や、攻撃力アップの〈ムスクルス〉を使っていたが、あちらは武器防具も含めて強化する奇跡らしい。
対して、こちらの付与術とやらはステータスそのものを上げる効果のようだ。おそらく、併用できそう。僧侶系のバフを覚えていないので、実証は後回しだな。
【スキル】【名称:スキルエンチャント初級】【アクティブ】
・付与の輝石を一つ消費することで、自身が覚えている付加術を武具に永続付与する。
あれ? 『覚えている付加術』だけ? そうすると、筋力値アップのスキルしか施せないのか。属性武器が作れると期待していたのに……いや、まだ初級だからな。中級にするとか、ジョブレベルを上げれば属性付与とかも覚えるかもしれないし、気長にやるしかないか。
せっかく手に入れた付与の輝石は、しばらくストレージの肥やしかなぁ。
最後に、特殊アビリティ設定にも【NEW】マークが付いているので、わくわくしながら開いてみると、魔法適正の項目に変化が出ていた。
・魔法適正、初級(●火5p、●水5p、●風5p、●土5p)
中級(★木5p、★氷5p、●雷5p)【NEW】
上級(●光5p、●闇5p)
木属性と氷属性が★マークになっている。●が適性ありだけど、★ってなんだ? 〈詳細鑑定〉しても『魔法の適性を増やす事が出来る』としか、書かれていないので分からん。使って試そうにも中級属性は覚えていないしなぁ……
あの時、聖剣にも光が吸い込まれたよな?
丁度画面を開いているのだし、ついでに確認するか。特殊アビリティ設定を変更して、聖剣クラウソラスを取り出した。外見上に変化無く、白い宝珠の中にも何もない。そうなると……MPは少し回復したので1本くらいなら大丈夫か。
氷属性と念じながら〈プリズムソード〉を発動させた。
すると、白く輝く光の大剣が現れ……デカくなっている?!
通常の光剣はダガーとショートソードの中間くらいの大きさだったのに、白い光剣はロングソード並みに長く、幅広になっていた。
「あの白い光を吸収して育ったか?」
「あ、やっぱり大きくなっていますよね。結局、あの2つの光の玉って、何だったんですかねぇ?」
「推測ならあるけど、精霊かなぁ?」
鍵は鑑定文にあった。
【武具】【名称:聖剣クラウソラス】【レア度:EX】
・光をモチーフに精霊が作り上げた聖剣。光の7色に因んだ7属性の宝玉が埋め込まれており、スキルにて各属性の光剣を操る事が出来る。
【破壊不可】【盗難防止】【自動回収】。
・固有スキル「プリズムソード」★★
火水風土氷雷光の7属性の光剣を生み出し、自動攻撃する。又、使用者の視界内には光剣の剣先にロックオンカーソルが映り、これを目線で動かし攻撃対象に重ねる事で、任意の敵を攻撃出来る。聖剣本体の宝玉に触れる事でロックオンを解除し、自動攻撃モードに戻す事が出来る。自動攻撃の対象は、魔物、赤字ネーム、灰色ネーム。野生動物や無機物、白字ネームは避けるので、攻撃したい場合はロックオンが必要。
『精霊が作り上げた』とあるのだから、聖剣を弄る事が出来るのは精霊なのだろう。こっちにも★マークが付いているし。
「精霊ですか……おとぎ話の絵本だと、羽の生えた小人とか神秘的に書かれていましたよ。只の光の玉だとちょっと拍子抜けですね」
「小人か。声は子供か、女の子っぽかったから、光の玉の中にいたのかもしれないぞ」
「声? 何の事です? あの光の玉は光の粉を振り撒いていただけですよね?」
「え?! 頭の中に声が響いたぞ?」
もしかして、幻聴だった? いやいや、そこはテレパシーとかファンタジーな方向だと思いたい。話題をおとぎ話に戻して、雑談を続けた。
暫くのんびりしていたが、16時を過ぎる頃、遠くの方で魔物の気配を察知した。遠目ではあるが、灰色のサーベルスタールトっぽい。黒い方ではない事に安堵しつつ、そろそろ帰ることにした。周囲の雪は全て溶け、木々や草も生え始めてきている。レア種の影響が無くなった事も確認出来たし、足の具合も大分良くなってきた。水筒竹を回収してから、レスミアに肩を捕まらせてもらい、帰路についた。
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