おまけ「その後・・・」

「チッ!なんだよ、肉も野菜も全然ねえじゃねえか。せっかく久々に腹一杯メシが喰えると思ったのによ」


 突然現れた曾祖淑母の天王山てんのうざんひょう太陽たいようと試合することを約束し、霧子きりこの部屋を出て自室へ戻らずに厨房へ行って喰い物を盗み喰いしていた。

 肉は十五キロ弱、野菜は各種合わせて十キロ以上あったが、それでも雹には少なかった。

 雹は霧子やかすみと比べると子供っぽい体型をしているが非常に大喰いなのだ。


 一方、霧子と霞は…


「スミ、正直に答えなさい。あなたもしかしてあの後してない?」


「えっ!?ワタワシ、ず、ずず、ズルなんてしてないよ!?」


「はぁ……あなた、やったわね。し挙動不審だし間違いないわ」


 霞はすっかり鉄面皮ではなくなり、クールさも恐怖こわさも消え去っていた。

 いかに霧子と二人きりとはいえ、霞が簡単に動揺することなど滅多になく、この事からもわかるように霞は明らかに変わっていた。この変化は太陽と試合を行ったことによりもたらされたものであり、太陽の功績と言っていいだろう。


「で?どんなズルをしたの?流石に太陽たいようを殺してはいないわよね?あなたと言えど殺人は容認出来ないわよ」


「殺人って…ワタシってそんなに人殺ししそうなの?」


「ええ、少なくとも太陽たいようと試合する前は二三人は殺していそうだったわね」


「…………」


「ふふ、そんな表情かおしないの。今のあなたはそんなことないわ。例えるなら今のあなたは動物が逃げそうな感じかしら?」


 これもまた太陽の功績だろう。

 殺気にも似た近寄りがたいを纏っていた霞だが、今はそれがなくなっていた。


「…キリちゃんそれフォローになってない」


「あらそう?ごめんなさい。で?あなたはをしたの?」


「それは…」


 霞は悩んだ。

 正直に沈黙の十三秒間ユダ・セガールを行った事を打ち明け、太陽と約十六秒間の長いキスをしたと白状するのか、それとも何とか誤魔化すのか、霞は霧子の想いを知っているからこそ答えに困り、大いに悩んだ。

 そして、悩んだ末に霞が出した答えとは…


「残り半分という所になって太陽あいつが急に勃起したチ○コを見せてきたからそれを蹴って逃げた……」


「ぼっ…!?チン…!?…かすみ、あなた羞恥心はどうしたの!?というかアソコ蹴っちゃったの!?太陽たいようは生きているの!?」


「ここなら誰も聞いてないし、それくらい恥ずかしくないよ。太陽あいつは悶絶してたけど平気そうだった。流石にワタシも吃驚していたから狙いを外したみたい」


「そ、そうなの……太陽たいようが生きているならまあいいわ。でも次からは二人きりでも気を使って言葉を選んで。…それはそうと、その結末は予想通りね。私が出ていく時には既に…って変なことを思い出させないで頂戴」


(やっぱり、こう言う言葉を使えばキリちゃんが照れて深く追及出来ないよね。…ごめんね、キリちゃん…やっぱり言えないよ。キリちゃんの好きな人とキスしたなんて……)


 こうして、霞は霧子の知らない秘密を太陽と共有することになった。

 尤も、霧子が本当に霞の言った事を信じたかどうかは霧子にしかわからない事である…













































































 お約束(?)のスクロールをしてくれた読者に天王山てんのうざんひょうについて教えよう。

 雹は最終話で明かした通り、霧子や霞の曾祖叔母だ。

 ○年齢…十八歳。(四月二日生まれ)

 ○身長…142センチメートル。

 ○体重…ヒミツ。※恐らく三十キロ台だが、大食ゆえに秘密としていると思われる。

 ○好きな食べ物…味の濃い物全般。※マヨネーズを使用した物は除く。

 ○嫌いな食べ物…なし。※グロテスクな物も平気。尚、嫌いではないもののマヨネーズとガムは少し苦手。

 ○好きな動物…牛、豚、鶏、魚類、他多数。※主に喰い物として見ている場合が多い。

 ○特技…二十分で十キロから十五キロ程度は太れる。※その更に一時間後には元に戻る。

 ○備考…初対面の人とでもすぐに打ち解けられる姐御あねご気質な性格であり、子供っぽい容姿から誤解されやすいがとても良識のある大人の女性である。しかし、それを周囲に思わせないために敢えて子供っぽい言葉遣いや行動を選んでいる。スリーサイズは極秘であり、知ってしまった者は行方不明となるらしい。中学校を卒業してから重度の放浪癖が露になり、一度居なくなると数ヶ月は音信不通になる。この音信不通の期間にはが登校していて、霧子と霞はそれに気がついているものの、他の生徒にはバレていない。その替え玉は実は…。基本的に無敵な人だが例によって処女である。弱点は甥である嵐蔵とネコ。ネコに弱い。ネコがいると会話が成り立たなくなることも屡々。


 以上だ!!


 短期間で終わらせるつもりが結局一月近く掛かってしまって申し訳ない!

 では、もしもまた会える時が来たらよろしく頼むぞ!

 アスタラビスタベイベー!!




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