第76話 奏視点 女子会1

 蒼衣ちゃんの誕生日が終わって数日後、今日はてるの家には行かず、家で勉強していたら千花に喫茶店に呼ばれた。

 なんでも近状報告とかがしたいらしい。


「お、きたきた。奏こっちー」


 私は千花の声がする方へ歩みを進めてると、一葉元会長が居た。


「元会長……?」


「もう奏ちゃん、私の事は一葉で良いってば……」


「……どうして?」


 今度は千花に、すると待ってたと言わんばかりに表情が変わり、この時の千花は碌な事しか考えてないから、嫌な予感しかしなかった。


「帰る」


「いやいや!」


 千花に腕を掴まれ、引き留められる。


「やだ」


「私何も言ってないよね?!」


 この後の事が容易に想像出来るからやだ。


「そこをなんとか……!」


 千花に何言われても、最初から変なことだったら帰るつもりだったから掴まれた腕を引き剥がそうとする。

 でもそれは元会長によって阻まれる。


「話ぐらいは聞いてあげても良いんじゃない?二人は、なんでしょ?」


「違う」


「即答?!」


 だって嫌な予感しかしないんだもん。


同士」


「あ、そこなんだ……」


「だから帰りたい、勉強したい」


 元会長は突然私の頭を撫で出した。


「素直じゃないなー、全く……そういうところに東條君は惚れちゃったのかな?」


「……ッ」


 てるの名前を聞くと急に顔が熱くなった。

 この間のえっちなことを思い出してしまった。


「奏どしたの?」


「なんでも……ない」


 とにかく私はこの場から離れたかった。


「ずっと思ってたんだけどさ、付き合い出した一学期より二学期のいちゃつき具合おかしくない?」


「……そういえば、腕に絡み付いて学校に来た時は噂になるぐらい驚いた気がする」


「何があったのか教えなさいよー?」


 嫌な予感的中、だから帰りたかったのに……。

 私は諦めて席に着いた。来るんじゃなかった……。






 ☆






 夏休みの間の事を包み隠さず話すことになり、その際の初えっちのことまで話したら。


「「え、えぇー?!」」


「ぁぅ……声、大きい」


 元会長はかーっと頬を赤らめていて、千花に至っては顔を俯かせていた。

 うぅ……っ恥ずかしいよぉ……。


「き、気持ち……良かった?」


 恐る恐る聞いてきた千花、少しだけ興味があるのか目が真剣そのものだった。

 私はその返事として小さく頷く。


「痛く……なかった?」


「うんん……っ、優しくしてくれたから、そんなに……」


 でも自分が壊れてしまうんじゃないかってぐらい痛くて、泣きじゃくっていたような気がする……。

 それ以上にてるが優しくて、それを受け入れたっけ。


「はわわ……っ」


 会長はこの話が苦手なのか、耳まで真っ赤になって目をぐるぐると回してた。

 私はそれがおかしくてつい笑ってしまった。


「わ、笑い事じゃないでしょ?!もう!」


「そっかー、気付かない間にもう私より先に順調に愛を育んでたんだね」


「これも千花のおかげ」


 千花が居てくれなかったら、今頃てるの隣に居るのは全く別の人だったかもしれない。

 千花が居てくれたから、今こうしててると付き合うことが出来た。


「私はなにもしてないよ、奏が頑張った結果だから」


 これからもこうしてふざけたり、真面目な話をこの三人でしていくんだろうなって思った。

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