第77話 奏視点 女子会2

 そういや、私はなんで千花に呼ばれたんだろう。


「……ねえ」


「ん?あぁ、すっかり忘れてた。二人の進路ってどうなのかなって」


 千花はどうやら進路先が気になるらしくて、呼んだみたい。


「私は推薦で決まってて、進学だよ?」


「さーっすがいいんちょ!奏は?」


「進学」


 流石に元会長の場所よりは偏差値低いけど、それでも普通に良いところの大学に受験するつもりでいた。


「……そっか、じゃあもう一緒に遊べなくなるね」


 一緒に?どういうことだろう。


「……私ね、卒業したら……総くんと結婚するつもり、なの」


 千花は頬を赤く染めていた。


「えっ?!」


「……その……ね?ぷ、プロポーズ……されちゃった」


「おめでと……千花」


 加東君が千花とデートする時間を削っていた理由が何となく分かった。

 やっぱり三年間も付き合っていれば、そんな考えになるんだ……。


「おめでとう村瀬さん、式には呼んでね?」


「も、勿論!えへへ……」


「そっか……皆と逢えるのは卒業式除いたら、今年までなんだね……なんか寂しい」


 そう言われると少し寂しい。

 千花とは親友だし、元会長とは最近やっと仲良くなれたのに……。


「……卒業してもさ、またこうやって三人で逢おうよ」


「村瀬さん……うん!そうしましょ」


「私も、賛成」


 今度会う時は、皆それぞれ違う道に進んでいる。

 それでもこうしてまた逢えるのは、凄く良いことだと思う。


「じゃあ約束、何があっても私たちは友達だからね!」


 私たち三人は強く頷いて、その後はいろんな事を話し合った。






 ☆






 その後は千花達と別れ、私はそのまま帰宅して、自分の部屋で少し考え込んでいた。

 将来の事もそうだけど、てるとの今の関係性だ。


「今は……恋人、なんだよね」


 てるに貰ったぬいぐるみに話し掛けるけど、当然帰ってこない。

 大人になったらずっと恋人のままというのは、私は嫌だ。

 てるとずっとに居たいから。それに……。


「え、ええ……っち、しちゃったし……」


 この間のえっちなことを思い出して、顔がさらに熱くなる。


「……一緒って約束したもん」


 好きな人と一緒に居たいと思うのは、別に変じゃない。


「会いたい……」


 あの日から寂しさが前より強くなって、もっと居たい、もっと居て欲しいと強く願ってしまう。

 何より声が聞きたい……。


「……そうだ」


 私はスマホを手に取り、てるに通話をかける。


『急にどした?奏』


「寂し……くて」


『それで電話か、今からそっちに行く』


「待って……ます」


 そのまま通話を切り、部屋から窓の外を見るともうすぐそこにてるが居た。

 私は慌てて玄関に向かい扉を開け、てるに飛び付いた。


「……てるっ!」


「はいはい、俺ですよ奏」


 てるは優しく私を包み込んでくれた。


「好き……っ、てるが誰よりも好きっ」


「……俺も好き、奏以外の女の子なんて考えられねえ……」


 家の前で愛を囁きあい、抱き締める。


「奏……んっ」


「んぅ……んふっ……」


 長く優しいキスに二人で溺れていた。


「ぷはぁ……はぁ……うち、来る?」


「うん、行く」


 もっと居たい、離れたくないという想いが強かったからか、家の中でイチャイチャすることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る