第75話
高橋の告白から翌日、今日は蒼衣の誕生日の打ち合わせ。
蒼衣は部活に行ってる為に俺、奏、貴之の三人で俺の部屋で、当日どうするかの話し合いが始まった。
「植村先輩、輝さんはプレゼント決まったんすか?」
「一応な」
蒼衣の兄である以上、欲しそうなものは大体検討が付く。
「……まだ」
ただ奏はまだ決まってないようで、俺じゃないと分からないぐらい、少し表情がいつもより暗い。
今年はケーキじゃないって言ってたから、色々悩んでるんだろうな。
「先輩はケーキじゃないんすか?!」
「……そんな時間、ない」
「そうだぞ?俺達は今受験生なんだからさ」
俺は奏の頭を優しく撫でて、奏に向けて微笑んだ。
奏は気持ち良さそうに目を細めて、表情が緩む。
「あー……そういやそうでしたね……あおちゃんの事ばっかりですっかり忘れてました」
「まあどうにかなるだろ、今年俺達は蒼衣を祝ってやれそうにないからさ……」
「……ごめん、なさい」
貴之は少しだけ考え込み、俺達にこう言った。
「……じゃあデート、したいっす」
☆
あれから数日が経ち、誕生日当日。
俺は前に欲しそうにしていたキーホルダーを渡し、奏は結局なにも思い付かず、無難なシャープペンをプレゼントに。
「じゃあ行ってきます」
「おう、いっぱい楽しんでこい」
「うん……っ」
蒼衣は少しだけ頬を赤く染めて、待ち合わせ場所へと向かっていった。
蒼衣と貴之の初デートが、蒼衣の誕生日なんてな……。
「……さてと、俺も頑張りますかね」
自分の部屋に戻ると、奏は俺のベッドに横たわっていた。
チラッと見える太ももとブラの紐、普段なら気にしなかった筈の俺が変に意識して目を逸らす。
「こっち」
俺が奏の傍まで近付くと、俺の腕を引っ張り奏に覆い被さるような体勢になる。
奏の顔はほんのりと赤く染まり、目も蕩けていた。
俺は吸い込まれるように顔を近付け、お互いの唇が触れ合った。
「……てる、好き」
「俺も好きだ……愛してるよ」
二回目、今日は両親が居ない上に蒼衣も当分の間は帰ってこない。
だからなのかは分からない、今度は長めの甘い口付け。
「……えへへ♪︎」
奏は俺に抱き付きながら、一緒に起き上がる。
「お勉強、しよ……?」
「……こんな状態で出来るかよ」
今度は俺が押し倒す形になり、再び覆い被さった。
「奏が……悪いんだからな?」
「んむっ……?!んぅ……」
俺は強引に奏の唇を奪い、口の中に舌を入れると奏は流されるように受け入れた。
俺達はそのまま勉強の事など忘れて、行為に走った。
☆
目覚めた時は青空と茜色の空が混じった時間。
奏は幸せそうに俺の隣で可愛らしい寝息を立てていた。
「……また、やっちまった」
前回とは違い、ちゃんと服は来てるけど奏は少しだけはだけていて目のやりどころに困る。
……そうさせたのは俺なんだけども。
「同棲したら……もっと可愛い奏が見れるのかな」
今日は妹の蒼衣の誕生日だと言うのに、今は奏の事しか頭に無い駄目な兄貴だ。
俺は奏のはだけた部分を直して、再び目を閉じた。
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