第2話
その後も全く会話がなく、それぞれの家に帰宅。
俺は玄関の前で今日一の溜め息を吐く。
「はーぁ……また今日もこれか」
せめて小学生の頃に戻りたいのに、全然そんな気配すら出せずに居るのが、悔しくて情けなかった。
明日は明日でどうするか考える事にして、家の中に入る。
「ただいまー」
「おかえり、お兄ちゃん」
「なんて格好してんだよ全く……それしかも俺の」
「これは今は私の!」
俺の中学時代の体操服を来て、だらしない姿でおやつを食べながら、テレビを見ている我が妹こと
若干のブラコンを拗らせているけど、一応中二。
「まあ今はお前のだけど……そういや部活は?」
「今日は休みー」
「そっちも大会前だろ?そんなので良いのか?」
「知らないってば、顧問なりの考えがあるんじゃないの?」
今は家だからぐーたらしてる妹だが、学校だと真面目で部活は確か剣道部に所属してた。
実力は良く分からないが、良い成績を出してるとか。
「そういや最近かな姉来ないね、何かあったの?」
「うっ……何でもねえ」
妙に鋭いとこ付いてくるのは、まるで父さんみたいだ。
「まあ何でも良いけどさー、またかな姉と遊びたいなーって思っただけだよ」
「つっても遊べるのは再来年だ、俺達は今年受験生で来年はお前だぞ?」
「ちぇー、お兄ちゃんはいいよねあんな可愛い幼馴染がいてさ」
「……お前も居るだろ?幼馴染」
危うく流されるとこだった。
「居るけどあんなの幼馴染に入んないでしょ?腐れ縁だよ?全く……」
「とか言う癖に顔赤いぞ?」
「う、うっさい!バカ兄!」
枕にしていたクッションを俺目掛けて投げ飛ばした。
☆
夕食を取った後、風呂を済ませて、俺は自室で明日の事を考えていた。
「後少し、なんだけどなぁ……」
ヘタレな性格がここに来て、発揮されると正直辛い。
最近は奏の方から話し掛けてくれる、何があったのか知らないけど、俺的にはそれがありがたかった。
「それに奏の奴、前よりも格段と可愛くなって……」
今年から奏がモテるようになり、告白されたとかなんとかクラスの友人や総司らに聞かされることが多い。
まあ俺もつい最近まで似たような感じだったけど、やっと落ち着いた感じ。
「そもそも、気付くのが何で今なんだろうな……」
やっぱり疎遠の時期が長すぎたせいなのか、なかなか話し掛けにいくことが出来ない。
それは向こうだって一緒なのにこの差はなんだろうか。
「あーやめやめ!明日も早いし寝よ」
一度考えると解明するまで考え込むのは俺の悪い癖だ。
だけど……。
「……寝れねえ」
帰り際の奏のあの悲しそうな顔が焼き付いて、寝られずに居て気付けばスマホを手に取り、奏にメッセを送っていた。
『まだ起きてる?』
『起きてる』
『今何してた?』
『てるのこと考えてた』
なっ……?!お、落ち着け俺……!
『あ!やっ違うの!何してるのかなって……』
慌てて送られてきたメッセに思わず俺はにやついてしまう。
『髪飾り、ありがと似合ってるっていっぱい誉められた』
その後に嬉しさ満開のスタンプが送られて、俺は良かったと安堵した。
その後も対面と違って盛り上がって、日付が変わるまで続けてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます