【番外編?】クリスマス
「ただいまー」
「美穂ちゃん! 夜勤お疲れ様♡」
「あれ、綾乃、ちゃんづけになってる」
「なんか可愛さ溢れちゃうと『美穂ちゃん』になっちゃう♡美穂ちゃん久しぶりー♡♡♡」
「あ、私シャワー浴びるね。仕事結構忙しかったんだ」
「美穂ちゃんってば、そんな♡」
「? ちょっと待っててね」
「お待たせー。そういえばクリスマス一緒に過ごすのはじめてだね」
「仕事だったもんね」
「っていうか、よく帰国できたね」
「なんかさ、クリスマス休暇っていうのがあって、国外なんだからって帰されたのよ。だから年明けまで美穂と一緒だよ♡」
「そっか。うれしいな……綾乃髪伸びたね。肩につきそう。伸ばしてるの?」
「いや、明日にでも切りたい」
「むこうで切ればいいじゃん」
「……私の拙い英語でどんな髪型にされるか分かんないから……」
「あ、そうなんだ……」
「……そうなの……」
「そういえばさ、昨日病院行ったって聞いたよ?」
「そうそう! 帰国してそのまま行ったの。面倒くさいことは最初に終わらせとこうって。でもなんで知ってるの!? 美穂ちゃん今小児科じゃん」
「南先生のこととなると、なんだか私に連絡くれるんだよね。みんな」
「鈴木さん?」
「ううん。鈴木さんじゃないよ」
「あ、そういえばさ、鈴木さん面白かったよ。私がステーション入ったらなんか顔赤くしてコソコソ出てこうとしてね」
「うん」
「『鈴木さん久しぶり〜。元気だった? 逃げないでよ〜』って捕まえてハグしたの」
「ふーん。で?」
「そしたらさ、耳まで真っ赤にしちゃってジタバタもがくから可愛くってさ。しばらく離してあげなかったの」
「へぇー」
「どうしたの?」
「先生、私よりも先に鈴木にハグしたんだ」
「え」
「鈴木のことが可愛くってぎゅーって小一時間ハグしたんだね……しかもステーションで……」
「や、あの。ほら、からかう感じっていうか?」
「厳しくて怖い南先生が、若いナースをステーションで抱きしめたのねえ。大野さんもいたの?」
「ひろっ、大野さんはいたけど、そんな喋ってない」
「ハグした?」
「してない!!」
「何話したの?」
「元気? くらい……あ、でもね、大野さんね、多分だけど恋人できたんじゃないかな!」
「え? どうして?」
「なんか、雰囲気ってやつ? 私と付き合ってた頃の雰囲気と同じで、もしかしてーって! お肌も艶々してたし綺麗だった!」
「昔の恋人の変化に気づく南先生、さすがですね。先生と付き合ってた頃の大野さんってさぞ幸せオーラ全開だったんでしょうね。そしてとても綺麗になってたんですね。私は綺麗ってあまり言われたことがないですね」
「あ、あのね。美穂ちゃん。美穂ちゃんはすっごい可愛くて可愛くてキュンキュンする感じで……って、あの、私、なんかさっきからおかしいこと言ってるかな?」
「さーどーでしょーねー? で、先生? 私、今回も先生に素敵な下着を買ってきたの」
「え」
ガサゴソ
「コレ!! 今回は水色! 可愛いでしょ?」
「お願い。パステルカラーは本当にやめて」
「着てくれるよね?」
「や、ホント、この前もだけど、マジで似合わなかったからホント無理……あ!! そうだ!! 美穂ちゃん絶対そういう可愛いの似合うから私じゃなくてそれ、美穂ちゃん着たらどうだろう?! その方がブラも喜ぶ!」
「……」
「どしたの?」
「それも考えたんだけどね……私には、カップが足りなくて……溢れちゃうの……」
「悪かったわね!! どーせ私はAよ!! 美穂とは三段階違うわよ!!!!」
「ごめんごめん。綾乃、ベッド行こう。綾乃もさっきシャワー入ったんだ。シャンプーの匂いがする」
「えへへ、美穂、夜勤明けで疲れてるかなって思ったけど、準備しちゃった……」
「はやくベッド行こ。待ちきれなくて。この下着綾乃に着せてあげるのが」
「ヒイィ!!」
「この間のピンクの可愛かったな。あれ着て恥ずかしがってる綾乃のこと攻めるのたまんなかったなあ。アレばっか思い出しちゃう」
「や、あの…私、まだ……」
「さっき準備万端って言ってたよね? それに、私にじゃなくて一番最初に鈴木のこと抱きしめたんでしょ? そのことも親切な同僚から事細かに聞いたよ? 大野さんと話してる南先生はデレデレしてたっていうのもね。夜勤中すっごいイライラした」
「……」
「綾乃。ベッド行こう? それともここでする?」
「……ベッド行きます……」
ドクターコール 汀 裕(みぎわ ひろ) @migiwahiro
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