第27話 丸く収まる私

 あれから私は領地経営をなんとか手伝い、お母様達は子供を産んだ。


 お母様の子は男の子で私の大変歳の離れた弟となり、また…侯爵家の跡継ぎとなった。名前はアシュレイと名付けられた。

 きっと美少年になるだろう。あのクソ野郎は顔だけは良かったもんな。


 それからジャネットの子は女の子で名前はマリアンヌと名付けられた。こちらも美少女になること間違いなし。ジャネットは子育てがひと段落したら夜会に出てお相手を探す事になったが元々美少女なので子供がいても申し込みに来る男は山程いて面接するのに大変らしい。ジャネットは子供をきちんと可愛がり愛してくれる人を第一条件にあげている。


 リュシーはなんと御者台のお兄さんのダレイラクさんと結婚することになった。使用人同士これからも侯爵家にお仕えして、子供は女の子なので将来的にメイドになり仕えるだろう。名前はグレイシー。


 グレイシーとマリアンヌがアシュレイに惚れて揉めて私に相談に来るようになるのはまだ先の未来の話だ。そんなとこは流石にクソ野郎の血を引いているのかと思うくらいだ。



 *

 私とヴァンサンは結婚した。村に戻って小さな結婚式で安上がりなウエディングドレスを着た。もちろんブスの私はお母様達以外の村娘達には嫉妬されたが時々「バウっ!」と言ってやると青ざめて逃げ出した。


 今では靴屋の女将さんとしてヴァンサンを手伝い平民として暮らしているが相変わらずトラブルを持ち込んでくるお母様達に振り回されたりしている。全くどうしようもない人たちだわ。


 しばらくして落ち着くとヴァンサンが夕飯の席でいきなり


「オレリーそろそろ俺の子を作ろうよ」

 と言い出したからスープ吐き出すところだったよ!!

 相変わらず心臓に悪いハンサムだな。


 しかしヴァンサンは悪びれなく夕飯が終わると私を抱き抱えさっさとベッドに連れて行った!!きっと村の男達にいろいろ言われたんだろう。時々思い出すようになんとズボンからメモを見てカンニングしていた!!

 ヴァンサンらしい。


 結婚式挙げた後初夜でヴァンサンは分からず困っていたからとりあえず私が教えてあげたけど結局途中で疲れて眠ったのよね。

 あれのやり直しで今度は頑張るとか出来るまで毎日励もうとか言い出している。


「ヴァンサン…でも…もしブスが産まれたらどうしよう…村の子に虐められたら私のせいだわ」

 と言うとヴァンサンは


「何度も言うけどオレリーは可愛いしオレリーに似た子なら俺は嬉しいよ?俺たちの子を虐める奴は許さない!…女の子ならエリザベスにしよう!」

 と笑った。


 それから私はなんとか子供を宿り、ヴァンサンは気を使ったりお母様達がお祝いに来たり騒がしい日々も続き、ようやく可愛い男の子を産み落とした。か、顔は!!?

 と一番にハラハラしていたが天使みたいに綺麗なヴァンサン似らしく私は


「やったーーー!!!」

 と長男を溺愛した。

 それから噂を聞きつけたのかなんとあのパンが家を訪れて…パンはお祝いを置いて行った。


「旦那さん奥さん結婚と赤ちゃんおめでとうごぜえますだ…おでもあれからいろいろあって結婚しただ。元奴隷のおでを愛してくれる貴重な人だべ。


 …これ…少ねえけどあの時持ち逃げみたいにしたドレスやらの代金だべ。本当にすまなかったべ」

 と涙を溜めていた。

 パンが帰るとヴァンサンは


「凄えな。なんもしてねーけどオレリーがパンをあの時許したからだ。きっとパンのやつ…今まで罪悪感が付き纏ってたんだな。オレリーはやっぱり凄いな!!なっ!ヴァレリー!」

 と長男を愛でた。


「家族を持ってパンも変わったんだと思うよ。私だけのせいじゃないよ」


「そっかな…。まぁ、俺も父さん母さんが死んで一人とベスで大変だったから今こうして家族が増えて嬉しい。…ヴァレリーももう少し大きくなったら兄弟姉妹も作ってやろうな!ね、オレリー!」

 とヴァンサンはうっとりするような微笑みを私に向け私達はキスをする。

 ヴァレリーにも二人でキスをし愛情をたっぷり注いで育てた。


 私達は村に来た行商人のおじさんのところに行っておじさんは絵を描いてくれた。

 まるであの日ヴァンサンがお父さん達と一緒に描いてもらった絵のように。


 ブスだけどおまけして少しだけ私を可愛く描いてくれたおじさんに頭が上がらない。

 そして私達は家路についた。



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ブスだから母と妹に婚約者を取られ胃が痛くなったので新しい恋を探そう 黒月白華 @shirofukuneko

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