第25話 嘘でしょ?の展開な私
ヴァンサンと幸せな時を過ごしていたのに無粋な奴らめ!
「どうしたの?血相変えちゃって?何かあったの?」
と聞くしかない。
お母様は青くなり震えているし。ジャネットも涙を溜め、リュシーは怒りを滲ませていた。
「オレリーちゃん…じ、実は…あの…ジョゼフさんが!」
「落ち着いてお母様!あのクソ野郎がまた何かしでかしたの??」
全員うなづいた!!何してんの!?
「お姉様…ジョゼフさんが…クソ野郎が…あろうことか…私達を全員振って他に好きな人が出来たらしく…」
なっ!なんやてーーー!!?
流石に私も呆れた。
「所詮あのクソ野郎は私達の身体が目的だったのです!!最低ですわ!あんな激しいプレイをしておいて!!」
とリュシーは逆に怒りを抑えきれないようでバンと机を拳で殴る。やめれ。机にあたるな。
「それだけじゃないの…。オレリーちゃん…。相手が…エヴラール先生みたいなの!!」
と言うから私は紅茶を吹き出した!!
「えっ!?ちょっ!待って?エヴラール先生ですって!?それほんとに!?だって!先生は…男じゃないの!!」
エヴラール先生は侯爵家の専属医師で父親の代から継いで先生は日頃侯爵家を訪れていた。私もよく胃薬をもらっている。
確かに男前だし美青年だろう。
しかしなんなの?あのクソ野郎…男に目覚めるとか!!
「やっぱり…私達が冷たくしたから他に走ったのよ!」
とジャネットが言う。
「反省の意味で冷たくしていたのよ」
「しかし結果男に…」
とリュシーも頭を抱えるし、ウッと吐きそう。
え?まさか…。ダダっとリュシーが吐きに行った。
えーーー!?まさかー!!?
と思っていると全員吐きそうになりまたもや順番に吐きにいった。
「全員病気なん?先生に診てもらう?」
「ヴァンサン…たぶん違う…はぁ、どういうことよ皆」
「はい、お嬢様…、私達全員ご懐妊致しましたわ!!」
と言った。
嘘でしょ!?
「そのこともジョゼフさんに言ったのよ?そしたら子供の費用はなんとかするって!何人か引き取ってもいいと。でも僕はエヴラール先生と結婚したいと思うとか言ってたの!」
「えー何それ!?無責任だわね!!」
おいおいとんでもないことになったぞ!?
「しかもです!!ジョゼフさんの片想いなのです!!」
「えっ!?」
絶句したわ。
「何それ?本当に?あいつ一人で先生と結婚するとか言ってんの?」
「そうです」
とジャネットは悔しそうに言う。
お母様は泣きながら
「エヴラール先生には前に私も近付いたことあるけどきっぱり振られたのよ!彼には好きな人がいるって!!」
と言った。
つまり先生には好きな人がちゃんといると!?それなのにクソ野郎は先生のことが好きらしくもう結婚する気でいてお母様達の子供はもはや好きにしてくれということだろう。
うがあ!!また胃がきりきりしてきた!!
「別に片想いなら奪い返せばいいよ。ちゃんと父親の責任を果たしてもらえ」
とヴァンサンがさらっと言う。
そうよね。
「でもジョゼフさん諦めてくれるかしら?私達が話しかけても子供のことを言っても上の空で完全に恋する男と化しているの!!」
とジャネットが震える。
「……もういいわ。最悪私は一人で産むことにするわ…」
とお母様。この歳で。
お母様が産んだ子は私の弟か妹になり、ジャネットが産んだ子は私が伯母さんになり…リュシーはまぁ他人か。
「ともかく…あのクソ野郎と話をしないとね…どういうつもりなのかしら」
とりあえず3人を本邸に返して私とヴァンサンは話し合う。
「うーん、俺もびっくりした。まさか男が好きな男が出てくるとは」
「ヴァンサンも気をつけてよ?先生に振られたらヴァンサンに手を出されちゃ困るわ!」
ヴァンサンはキョトンとして
「なんで?俺はオレリーが好きだよ?それにあんなクソ野郎に迫られたら俺なら殴るわ」
と言ったからとりあえずヴァンサンは大丈夫だろう。
次の日…ポヤーっとしたクソ野郎を呼び出したら先生の惚気話を一方的に始めた。
「一緒にお茶を飲んでいたけど、先生の指長くて綺麗で瞳も可愛らしくて髪の毛はさらさらとしているんだ。僕はエヴラール先生と結婚したいと想いを伝えたよ!」
「えっ!!?言ったの!!?」
行動が相変わらずはえーな!こいつは!!
「うん、言った。そしたら一旦落ち着いてくださいって言われたよ」
そりゃ言うわ!!
「あのね?クソ野郎…エヴラール先生には好きな人がいるの知ってる?」
「うん!知っているさ!本人から聞いたんだ!でもね、先生許されざる恋をしてるんだ!実の姉に恋をしているらしく!!」
なにーーーーーー!!!?
そしてお前も許されざる恋しとるやんけーーー!!突っ込みがもう追いつかん!!
ヴァンサンは
「おい、奥様たちの子供のことはどうすんだ!?いくらあんたがクソ野郎でもあの3人を泣かせてしまったんだぞ!?それも同時に3人子供ができてるし」
と言うとクソ野郎は
「だから誰か引き取って育ててもいいよ。そうだな男の子だったら引き取るとか?それでいいじゃん」
と軽い。ヴァンサンもついに呆れた。
「オレリー、こいつダメだ。アホだよ!!」
「うん、ヴァンサン今頃気付いたの?こいつはクソ野郎の上にアホなの!!」
「ああ!エヴラール先生♡俺のこと想ってくれないかなぁ!??」
と一人恍惚な顔するクソ野郎だった。
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