第22話 番外編 冷たくされるクソ野郎
談話室にこの侯爵邸の女主人のエリーヌとその娘のジャネットと侍女のリュシーが集まっていた。
三人ともあのクソ野郎と身体の関係を持っている。しかしライバルとは言え憎み合うとまではいかなかった。皆間にオレリーと言う存在がいたからだ。
オレリーは実に良い子として育った。顔のことでバカにしてくる連中はいたが、三人は昔からオレリーがエリーヌやジャネットと血が繋がってなくても家族だし優しく接してくれた相手だ。
「私達三人共…あのクソ野郎に入れ込みすぎてるわね…そのせいでオレリーちゃんに迷惑をかけているわ」
「そうですわね。お姉様にはなーんにも罪はないのに…」
「そう思うのならあのクソ野郎とはお二人とも手を引かれたらどうでしょうか?」
「リュシー…貴方もね」
とエリーヌは半目だ。しかし三人ともわかっていた。
「「「あのクソ野郎…顔だけは良いし一応優しかったり、オレリーちゃんの入れ知恵か飽きてきたらSになってギャップにやられる!!」」」
と三人は声を揃えた。
ジャネットは
「最近ではいろんな道具を使いますわよね!私…あのスライムはお気に入りで」
「あら貴方もなの?ジャネット!やはり親子だわ!」
「新作の道具は試されました?」
とリュシーが紅茶を入れながら優雅なひと時を過ごしている三人だが、その話は卑猥だ。
「ってそんな事はいいのよ!!オレリーちゃんのことよっ!何かあのクソ野郎に弱みを握られているんじゃないかしら?」
とエリーヌは心配する。ヴァンサンとオレリーが家を出ていかないのは資金の為もあるけどあのまま村にいたって良かったのに連れ帰ってきたクソ野郎に違和感があった。
「ですわね…。村からお姉様が帰ってくる理由がわかりませんし何か隠しているように見えるのです!」
とジャネットも同意した。リュシーも
「お嬢様とヴァンサンさんは見た目には不釣り合いですが心は私達と違い間違いなく綺麗に繋がっていると思いますわ」
と言う。
「ちょっとリュシー。貴方時々辛辣よね。まるで私達が穢れた生き物みたいじゃない!」
「あら違うのでしょうか?私達は三人ともあのクソ野郎にハマってしまったのですから」
と淡々と言うリュシーにエリーヌとジャネットは
「まぁ、そうね。レイトンに悪いことしてしまったわ。寂しかったもの。顔だけはいいクソ野郎に靡いて悪かったわ」
と反省するエリーヌにジャネットも
「私も…。ほら、女だけの家庭だったからお姉様の婚約者のお兄様に憧れてつい…。お父様が亡くなってしまわれたのは私も寂しかったの。しかも顔がいいお兄様なんて…クソ野郎だけど甘えたくなるわよ」
と言うジャネット。
リュシーは
「私も…一人でヤルのに虚しくて、あんなクソ野郎だけど顔はいいから相手してやったら調子に乗ってきたので」
「「あんたおかしいんじゃないの!!?」」
と二人は声を揃えた。
ゴホンとリュシーは咳払いし話題を変えた。
「ともかくオレリー様が苦しんでおられる事は事実で何か弱みをあのクソ野郎に握られております事は明白ですわ」
「そうねぇ。どうしたらいいのかしら?オディルさんのこともあるのにこれ以上あの子に負担かけたくないわ」
とエリーヌも悩む。ジャネットはパンと手を打ち、
「そうだわ!ではしばらくあのクソ野郎を皆で無視しませんこと!?少しは反省するかもですわ!」
「あら!それは名案だわね!ジャネット!」
「ほほほ、ジャネットお嬢様もたまには考えるのですね!アホの子かと思ってました!」
「リュシー!貴方!本当に辛辣よね!!私だって考えるわよ!まぁそうと決まったら皆で無視ですわ!近寄ってきたらアソコを蹴り上げましょう!」
と言うと
「成る程、文字通り痛い目にあってしばらく使い物にならなくしてやりましょう!」
とリュシーはニヤッとして三人はクツクツと笑った。近くで棒立ちで聞いていた執事長のカスパーがこっそり股間を手で隠した。
女って怖い。
*
僕は今日も陽気に美しく髪を整えて身支度して大きな姿見を見つめた。うん、美しい青年だ!伯爵家の次男だから伯爵家は継げないので侯爵家になんとか婿入れしないとね!
エリーヌもジャネットもリュシーも三人も相手してると疲れるけど皆僕の愛しい人達だ。
三人とも美しく相性も良く僕を愛してくれてるし、息抜きに見るブスのオレリー様とお茶してると疲れも吹き飛び次のラウンドへの準備も整う。
僕はベッドを共にするのは一人ずつ順番にと決めていた。世間では複数で同じベッドで一気にヤル人もいるだろうけど僕は違う!何というか一人一人を愛でたい男なんだ!いっぺんになんて味わい尽くせないよ!
ああ、モテるって罪だよね!ふっ!
そうだ、エリーヌの番かな?今日は!
とルンルンしてエリーヌの執務室を訪れると真剣に仕事をしていた。
「エリーヌ奥様♡そろそろ休憩の時間ですよっ!」
と言うとエリーヌは立ち上がり
「あら本当、もうこんな時間だわ!カスパーお茶を!」
と言うと直ぐにカスパー執事長が入ってきてお茶を用意しエリーヌは僕が隣に座るとさっと避けて座る。
え?何?
「ちょっとカスパーに相談事があるからジョゼフさんは出ていってくださらない?」
と睨まれた!!
ええ!?なんかした!?あの道具は嫌だった?と先週の道具を思い出して青ざめた。
「早く!!」
と怒られて仕方なく僕は執務室を出てジャネットの所に行くと…
薄く扉を開け入れてくれない。
「ごめんなさい、ジョゼフさん!実は友達から本を借りてそれが物凄く面白くて今いいところなの!邪魔しないで!!」
とバンと扉を閉められた。
ええー!!?
本より僕じゃないのお!?
悲しくなったのでリュシーに慰めて貰おうと探し回ったがいない!!!
庭師の爺ちゃんに聞くと
「リュシーならさっき街へ買い物に出掛けたよ」
と言ったのでガックリする。
ええーー!?
そんなーー!?僕の性欲は誰が処理してくれんの!?酷いよ三人とも!
と悩んで相談にオレリー様のとこに行ったらヴァンサン君が扉の前で止めた。
「あのさぁ、次期当主様?俺とオレリーの時間邪魔しないでくれる?あんたと違って俺たち真面目なんだ。俺だっていろいろ頑張ってるんだからな!」
と睨まれた。
「君があんなブスに何を頑張ってんだ?ついに押し倒したのか?」
と聞いたらまた睨まれた。
「そんな強引なことしない!」
「ええー!?僕なんてグイグイいっちゃうのに!!あれ?僕がおかしいのかな?それとも君がおかしいの?いや、君結構天然だからおかしいよね?普通グイグイいくよね?」
「いや…少なくとも俺は三人も代わる代わる愛そうとか思わないけど?俺のいた村でも旦那が浮気したら1週間家に入れないとか普通だぞ?なんか鈍い俺でもそんくらいはわかるぞ」
と言われる。
そりゃ普通はそうだろうけど他所は他所でうちはうちというか…。
そんな、じゃあ僕三人に嫌われたのかな?なんか三人とも冷たいような。嫌、リュシーは単にお使いだし…。
しかし翌日もクソ野郎のジョゼフはしばらく無視された挙句しつこいとキレられ股間を蹴られた!!
「ぎゃああ!」
と悲鳴を上げ蹲った。何故僕がこんな仕打ちを!?三人に股間を蹴られまくられ腫れて痛い。しばらく使えず泣いた。
通りかかった医者のエヴラール・プールナール先生が
「おやどうしたんです?怪我ですか?」
と言い、僕のアソコが腫れてると話したら顔がスッと曇りとりあえず精神が落ち着く薬をこっそり渡された。
「ありがとうございます!先生!!」
あ、よく見ると先生ってとても美しい顔じゃないか!!ポッと照れて薬瓶を落としてしまうと二人とも拾おうとして指先が触れた。
「あっ!ご、ごめんなさい!先生!」
「いっ、いえ、いいんですよ…。ていうかへ、変な目で見ないでくれませんか?」
とそそくさと先生は去っていった。
僕はボウっとして
「エヴラール先生♡素敵な方だ…」
と呟いていた。
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