第21話 家族会議する私

 結局予定していた私の夜会は中止された。

 オディル母さんが定期的に金をせびりにやってくるので何とかしないといけない。


 そこで私は提案した。


「使ってない離れがあるじゃない。あそこに私が隠れてるからオディルさんが来たら追い返して。もうお金渡しちゃダメよ!私はヴァンサンと駆け落ちして出て行ったことにすればいいのよ」

 と言うとクソ野郎がお母様を膝の上に抱き抗議した。


「そんな?僕の平穏は?結婚は?」

 と言う。この野郎。


「…ジョゼフさんが疲れたら離れまで茶を飲みにくればいいでしょ?結婚はやっぱりジャネットかお母様としてリュシーは専属メイドとして側に置けばいいじゃないの」

 と言うとクソ野郎は


「確かに…離れにオレリー様が居てくれるなら別に無理に結婚しなくても奥様かジャネットのどちらかと結婚してリュシーには悪いけど愛人の立場でいずれ三人ともの子供を産ませればいいのかっ!」

 と名案みたいに思いつくクソ野郎。

 なんなんだこいつはよー!そもそもお前が私達を脅して村から連れて来んかったらオディル母さんに目をつけられる事もなかったつーの!!


「そうね、離れとは言え…本当は私が引退後にそこに居る予定だったけど今はオレリーちゃんを守らなきゃ!あのオディルさんから!」

 とお母様がクソ野郎の膝の上でプンプンする。


「……ともかく私はそこに引っ込むわ」


「でも…お姉様…それじゃやはり平民として生きるってこと?そんなの寂しいわ」


「ジャネット…私元々平民のオディルさんの娘よ…?本来なら貴方達とは身分違いなんだからね?本当は出て行かないといけないけど」


「それは僕が困る!」

 とクソ野郎が口を出す。


「ほら、こういうクソ野郎がいるから出て行くにしても大変じゃない」

 パンのことで弱みも握られとるし。


「私だってお姉様に出てってほしくないわよ?お姉様はあのオバハンと顔は確かに似ているけど心は全く違うもの!!離れに住むなら私も時々伺うわ!」

 でもお母様は


「待ってちょうだい!まだオレリーちゃんを平民にするなんて私認めてないわよ!?私…レイトンが死ぬ時に頼まれたのよ。オレリーちゃんをよろしく頼むって。不自由なく幸せに暮らさせてやって欲しいって!もちろんジャネットもだけど、オレリーちゃんは侯爵家の本当の娘として育てられてきたんだから!


 オレリーちゃんがヴァンサンさんのことを好きなら…2人を応援するけど駆け落ちとかはしないで!」


「ほらね、奥様は僕とオレリー様が結婚と言う形を取り、オレリー様に侯爵家夫人という立場だけでも確立させたいのが本音なのさ。だから僕はずっとオレリー様と形だけの結婚を望んでいたんだ」

 と言う。なんだと!?お母様の意思も汲んでいただと?嘘つけ!お前は単にひと時の休憩のために私が必要なだけだろ!話を合わせんな!!


「そして僕は侯爵になりたいのでヴァンサン君とオレリー様が結婚なんて反対だ!ヴァンサン君に侯爵位なんて渡さないよ!」

 と言われてヴァンサンは


「いや、そもそも俺は侯爵様になんかならねーですから。平民だし」

 と言うと安心するクソ野郎。


 あー、もう!こんがらがってきたなぁ!!

 するとヴァンサンが言う。


「そもそも旦那様はオレリーに不自由なく幸せに暮らして欲しいって言って亡くなられたんだから別に侯爵夫人の座に収まんなくてもオレリーが俺と幸せに不自由なく暮らせればいいんじゃねーか!?爵位とか関係なく」

 と言ってお母様はハッとした!!


「た、確かに!!……別に爵位のことはレイトン言ってなかったわ。不自由なくがお金に困らないようにと私はとっていたもの…。ううん…」

 とお母様は考え込む。


 私は考える。


 そこのクソ野郎は私を息抜きにお茶がしたく侯爵位が図々しくも欲しいだけ。後、三人とも仲良くしたい。


 お母様やジャネット、リュシーは私の幸せを考えてくれてる。でも近くにいないと寂しい。


 ヴァンサンと私は一緒にいたい。


 オディルさんはお金目的で私をダシに迷惑をかけに来る…。侯爵家の資金がヤバくなる。


 全て私が産まれたからではないだろうか?皆私に固執してしまっている。


「私…オディルさんと話し合いをするわ…」

 と私は決めた。

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