第17話 相談される私
その日のアフタヌーンティータイムにのこのことクソ婚約者のジョゼフがやってきた。
顔は艶々しながらも浮かない。
「はぁ…」
「お疲れ様ですわ…」
とお菓子を差し出すともぐもぐ食べてクソ野郎は不満を口にした。
「最近おかしいんです!!」
「はぁ?」
「あの三人と愛し合ってる最中、皆…あろうことかそこの天然ヴァンサンくんの話をするんですううう!!」
と悔しそうに側のヴァンサンを見る。
うーん。狙ってるもんなあいつら。
「こんなことなら連れてくるんじゃなかったよ!!酷い!まるで僕が遊ばれているような気分だよ!」
と言うから私は言う。
「それは単に貴方に飽きたのではないですか?このクソ野郎」
と言うと、
「飽きる!?そ、そんなバカな!!オレリー様!よく見てください!この僕の顔!どこから見ても美青年!!そんな僕に飽きるですって!?まさか!そんなこと!あってはならない!!」
と否定した。
ヴァンサンは
「え?次期当主様…凄い自信あるんだな?なんでですか?」
と聞くとクソ野郎は
「なんでって…僕は夜会に出ても女の子達に群がられる顔だよ?どの子も皆僕にダンスを申し込みに来たり握手を求めたりするんだよ!?モテるに決まっている!!」
と威張った。
「でも毎日してるんでしょ?だから飽きるのでは?」
「失礼ながら!毎日ではないよ?月のものが来たら僕も遠慮するよ!」
当たり前だ!!
「ちゃんと平等に愛しているし、丁寧に接しているし僕は優しいんだ!!そしていい男だ!!」
と言うクソ野郎にヴァンサンは
「凄え…、どうやったらそんなに自分に自信が持てるんだろう!?俺なんかオレリー以外の女の子はなんかギラギラした目付きで見てくるから怖くて仕方ないよ…。俺なんかしたのかな?って思うもん」
と言うとクソ野郎に
「いいね、君は自覚無し男で!それは君に興味があり好きだから皆見ているんだよ。あわよくば君に近づいて自分の子を孕ませようとしているのさ」
と言う。ヴァンサンはいつかの貴族女に襲われたことを思い出したのか
「!!うえっ!!」
と顔色を青くした。
「?変な奴。好かれてるのに吐きそうな顔するなよ…?ともかく僕はどうしたらいいんですか?オレリー様!!」
と最終的にこちらにどうでもいい相談をしてきた。大体お前がしっかりせんからあの三人もお前に飽きてヴァンサン狙いにきてんだろうがよ!!
私は仕方なく言う。
「私は知りませんけど…あの三人が飽きたってことは毎回ヤル事がマンネリ化してきたということですわ。
あの三人もそりゃ飽きますよ。新しい刺激を得るためにいっそ道具でも使い、普段とは違いドSプレイでもしたら逆に懐かれるのでは?女は普段と違うことをされたらときめきますわよ?」
とアドバイスしてしまった。
ヴァンサンが
「道具って何?」
と聞くから冷や汗だ。
「ヴァンサンは気にしなくていいよ…ほほほ」
と誤魔化す。逆にクソ野郎はキラキラして
「成る程!!道具ですか!僕…そんなの使うの変態と思われそうで嫌だったんですけど……そうですね…。もっとそういうことしていかないと飽きられちゃいますよね!!ありがとうございます!オレリー様っ!」
とクソ野郎に私の手を握られにっこりされた。
ヴァンサンがバシンと手を払い除けた。
「おお、痛い。ブス専が怒ると怖いな!」
ヴァンサンを見るとクソ野郎を睨みつけていた。おお!ヴァンサンがやきもちを!!こんなブスにありがとうございます!!
そしてその数日後から道具を揃えてきたらしいクソ野郎に三人が夢中になってしまったのは言うまでもない…。
というか私のせいで三人が変態属性に目覚めてしまったので変なアドバイスするんじゃなかったとさえ思ったがごめんなさい。ヴァンサンもこれで少しはあいつらの目から免れたかしら。
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