第3話 のんびり過ごす私

 馬車に揺られ半日、尻が痛くなろうが構わない。だってここには嫌なものは何もない!


 ああっ!開放感!!

 あいつらから解放された!もうあの家で変なやらしい声とか聞かないで済む!

 ジョゼフのクソ野郎!綺麗所に手ェ出しまくりやがって!!ブスは適当にお茶の相手をしてればいいってか!


 まぁいいわ、どうせブスなんて相手にされないも同然だし母の子でもないし!!


 私はどこかほっとしていた。あんな母と妹と血が繋がってないことを!!

 私はなんかもういいわ。この先新しい恋なんて都合よくできないだろう。どこかでさっさと死んだ方が母と妹の為かもしれない。

 ジョゼフのクソ野郎はどうでもいい。復習しようとかも特に思わないし、顔は良いけどそこまで心から好きーー!ってわけでもないし実態を知り冷めた。


 男は所詮美人や美少女が好きなのだと思い知らされたのでもうどうでもいい。婚約破棄も考えてやらないとね。母の再婚相手か、妹の婚約者かどちらか勝手に決めとくれよ。あたしゃ舞台から降りる。


 *

 ようやく別荘地に着いた。

 緑や自然が沢山あり、空気もいい!


 ここに来たの小さい頃ぶりだから久しぶりだ。そういや…祭りに行った時に村の子供に泥団子投げられた事あった!


『不細工が来たぞー!逃げろー!』

 とか言って皆私を見て笑ってたな。因みに妹はチヤホヤされてた。うん。


 あの頃はお父様が生きてて頭を撫でてくれた。気にするなと。お父様はブスの私にも優しかったなぁ。


 でも悲しかったなあ。ブスだもんなぁ!私!

 服についた泥を川で落とそうとしてハンカチ流しちまったらそれを少年が拾ってくれたな。

 ブスだから捨てられるかと思ったけど返してくれた。


『ん!…どっかのお嬢様?綺麗な服汚くされてっけど』

 となんかワイルドそうな銀髪少年が言ってたな。将来村の娘にモテモテだろうよ。君。

 懐かしい。


 また川に行ってみるかな。あの少年はいるかな?


 *

 ナタリーさんが実家に帰るついでに私も村に歩いて散歩に行くことにした。本も持ち日傘とランチボックスも持った。


「この辺りは悪ガキが多いのでお気をつけを!」

 とナタリーさんに注意される。


「ほほほ、子供でもないし大丈夫よ」

 と言った矢先、ヒュン!

 と何か飛んできた!!

 ベシャっ!と白いワンピースに犬の糞が当たった!


「やったーー!ヒットヒットーー!」

 とクソガキがはしゃいでいた!


「まぁ!お嬢様になんてことを!!貴方達!親はどこ!?」


「へへーん!言うもんかー!バーカ!!」

 とクソガキはピュンと逃げた。


「大丈夫よ、ナタリーさん、ほら川があるから私は汚れを落として行くわ!先に家に帰ってよ。こんな臭いお嬢様を家の人に紹介できないでしょ?私は適当に木陰で休んで読書をするわよ」

 と言い、ナタリーさんとしばし別れた。


 川へ行きワンピースに付いた糞を何とか洗う。

 ああ、何してんだ私?

 今頃婚約者はまた母達とヤリまくりだろうな。

 やめよ、忘れよ。惨めだし胃が痛くなる。


 しかし堪えきれずわんわん泣いた。一人だからいいや。糞まで投げつけられて私ほんとバカみたい!!

 このまま死んじまおうか?と考えないでもない。ブスが死んだところで直ぐに忘れられそうだ。


「どうした?」

 ふいに声が上がり私は汚い顔で見上げると…それは面影の残るあの少年だった人?

 銀髪のちょっと男らしくなった青年がいた。


「………あっ……あんた子供の頃ハンカチ落としたどっかのお嬢様?」

 ひいっ!覚えてた!!


「あ……ええとそ、そうかな?」


「どっちだよ!」

 突っ込まれた。

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