第414話 メスガキ
「これって先日発売されたばかりのコトブキズの地母神、母乳ではない白濁した液体塗れバージョン!! 豊作! 豊作じゃ!!」
俺は道の真ん中に落ちている魔改造神像を見つけ次第、検分しつつ収納魔法の中に放り込んでいく。どれも傑作の一品でかなりの高額がついており、金銭的にかなり余裕のできた俺でも買うのを躊躇った物ばかりだった。
「カローラじゃないが、これも日々善行を積んでいる俺に神がもたらした天からの恵みだ… って…あれ?」
そこで俺は物につられて誘導されていた事に気が付く。そして、自分がどこに誘導されたのか確認する為に辺りを見回す。
「ってここは…例の…『闇と欲望の信仰場』? 何で俺がこんな所まで誘導されるんだ?」
「ねぇ! おにいさん」
すると不意に後ろから、声を掛けられる。
「ん?」
警戒しながら振り返って見ると、女の子がいた。
赤髪に挑発的な顔つき、褐色がかった肌に小悪魔系のファッション…年齢的にはストライクゾーンを内角低めで入ってくるぐらいのメスガキ系の女の子だ。
「ねぇ? 貴方、アシヤ・イチローでしょ?」
どうやら相手は俺の正体を知っている様だ。
「…だとしたら?」
俺は警戒して明言せずに答える。
「だったら、私、貴方にちょっとお願いしたい事があるんだけど…いいかしら? 点いてきてくれたら、さっきの神像よりももっと良い物をあげるわよ♪」
そう言って、自分の腕を俺の腕に絡ませすり寄ってくる。
やはり、さっきの神像で俺をここにおびき寄せたのはこの子か…
しかし、なんかこの子…臭うんだよな… 別に臭いといっても普通の臭いの事ではなく、身に纏う雰囲気という意味でだ… 明言するがこの子は普通の女の子ではない… 闇の臭いを感じる…
かと言って、強大な力を持っているかと言うと、全くで、下手すればクリスでも負けるんじゃないかと思える程、力を持ってなさそうだ。一事で言えば見た目通りの女の子の力しか持っていないだろう…
うーん…明らかに何らかの罠の誘いなのは分かっている。だが、罠だからと言って、こんな小娘相手に逃げ出すのも恥ずかしいな…
ここは男気を出して、罠があっても罠ごと喰らい尽くす! ついでにこのメスガキも分からせ喰らうか!(性的に)
「…分かった…それでどこに付いて行けばいいんだ?」
「えぇぇ!! ホントに付いてきてくれるの? らっき~♪ じゃあ、私が案内するから付いて来てっ!」
先程の少し小悪魔系の妖艶な口調から、見た目の歳相応の口調に代わり、俺の手を引いて駆け出す。
「おい! あんま走んなよっ! コケるぞ! それに…」
辺りを見回すとメスガキの女の子は俺の手を引きながら、『闇と欲望の信仰場』の中をどんどん駆けていく。これではまんま、客引きに引っかかって店まで連れていかれる男である。
まぁ、相手が言ってくる内容次第では、まんま同じことをやってやるつもりではあるが…
で、どこに行くのかと思っていたら、何処かの店の中には入らずに裏路地の方へと進んでいき、奥にある人気のない小汚い倉庫の中へと入っていく。
「なんだ? ここ…暗くて良く見えねぇな…」
俺は最大限に警戒して、周囲の気配を探る… しかし、暗闇の中を前に進むメスガキ以外の気配は感じられない… しかし…なんだ…少しいい匂いがするな… これは何だろう…
「いたっ!」
暗闇の中、前を進むメスガキが声を上げる。
「おい、どうした?」
「ちょっと、暗くて足元が見えないから転んだのよ… えっと…確かこの辺りにあったはず… これよこれ!」
何か家具が軋むような音が響く。
「うーん、暗くて良く見えないから明りの魔法を使うぞ」
「えっ? あっ! 明りの魔法を使ってくれるの? なら、ローソクは火をつけなくていいわね…」
おい…コイツ…明りの魔法ぐらい使えないのかよ…
そんな事を考えつつ、俺は明りの魔法を使う。
「あっ!!」
俺は明かりの魔法で照らし出された室内の物を見て、思わず声をあげる。
メスガキは倉庫の中央に、ゴミ置き場から拾ってきたようなソファーの上に腰を掛け、その後ろには、今日、俺達が買出ししようとして売れきれになっていた、カローラのカードボックス、シュリの種、ポチと俺が食べたかった露店の屋台料理などなどの品々が乱雑に積み上げられていた。
「俺達の先回りをして買占めを行っていたのは、やっぱ、お前だったのかよっ!」
「フフフ…そうよ…私が全部買い占めたの…」
メスガキは足を組みながら、腕置きに肘をついて流し目をしてくる。
妖艶な大人の女性がすれば様になるが、メスガキのコイツではイマイチ様になってない。
「お前…なんで俺達にそんないけずをするんだよ… あーあ…ボックスの上に屋台の料理なんか置きやがって… 箱が潰れてるし、汁が垂れているじゃねぇか…」
「いけずじゃないわっ! 取引材料にするためよっ!」
メスガキはあおりのポーズを決めながら言い放つ。
「取引材料? なんの取引をするんだよ?」
「フフフ…聞きたい?」
いらっ! ここは出し惜しみするような場面ではないし、メスガキにやられると無性に腹が立つな…
「さっさと言えよっ! 言わないと、俺、帰るぞ!」
俺はイライラしながらそう告げる。
「わ、分かったわよっ! 軍門に下って欲しいのよっ!」
「どこの軍門だよ」
「えっと… 私は契約で仕事をしているだけだから魔界じゃなくて… 契約しているマスターは教会だけど、教会を裏切って魔族側に付いているから… そう魔族ねっ!!」
こいつ…かなりのお馬鹿だ… 自分の出身をバラしているし、自分の上司の所属団体もバラしているし、その上その上司が魔族側に寝返っている事もバラしてる…
今、ここで俺が取引せずに回れ右して帰る事を全く考えてないな…
「いや…街で買えるものぐらいで、魔族に付く訳ないだろ… しかも、カードも種も暫く待てば再入荷するし、食べ物だって他にいけばいくらでも食えるだろ…」
俺は呆れながら、メスガキに返す。
「こ、これだけの物を用意したのに軍門に下らないなんて…流石は勇者アシヤ・イチローね…」
「いや、こんなので下る奴なんて…いや…今のカローラならヤバいな…」
流石にこれだけボックスがあればいくらなんでもスーパーレアも出るだろう…
「物で堕ちないというなら…ならば…私の悪魔の力で魅了してあげるわ…」
ん? 悪魔の魅了?… どんな物か知らないが、そこはかとなくエロスを感じる言葉だ…期待せざるを得ない…
俺はゴクリと唾を呑む。
「ちゅっ♪」
メスガキは投げキッスをする。
「は?」
「だから、ちゅっ♪」
メスガキは再び投げキッスをする。
「どう? 私の魅惑の投げキッスは! エロ可愛いでしょ! さぁ! これで貴方も私の虜よっ!」
ピキピキピキ…
「…おい…」
俺はドスの効いた声で呟く。
「なっなによっ!」
「お前…ふざけてんのか?」
俺は再びドスの効いた声で呟く。
「べっべつにふざけてないわよっ! 可愛い私の魅惑の投げキッスよっ! エロ可愛いでしょ!? どこが不満なのよっ!」
どうやらメスガキは真剣に答えている。どうやらなんら魔力的にも特殊能力的な力もない、ただのメスガキの投げキッス如きで…俺を魅了できると考えていたようだ…
分かる…今なら分かる… あの時…ショタの恰好で俺に説得された聖剣の気持ちを…
こんなお遊戯の様なもので、落とせると考えられた事が、どれ程逆鱗に触れるのか今ようやくわかった…
「…貴様には…WAKARASEと言うなのお仕置きが必要だな…」
俺は北方の拳のケンタロウの様に気合を溜め始める。
「ちょ、ちょっとっ!! 何するつもりなのよっ!」
俺の気合にメスガキがたじろぎ始める。
「ねんねの貴様に、本当の大人のエロスと言うものを教えてやろうっ!!!!
俺はねんねの小悪魔メスガキに、たっぷりと大人のエロスをWAKARASEてやった…
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