第284話 スケルトン式ラブドール
「と言う訳で、骨メイドに錬金術か何かで肉を付けてエロくして欲しいんだよ、分かるだろ?」
「いえ…全然、分からないです…」
ディートは俺の言葉に引きつった顔で答える。
「いやだから、骨メイドに肉をつけてエッチを…」
「それ以上はいけない」
ディートの前で俺の欲望が漏れだしそうなのを住んでのところでロレンスが止めに入る。
「イチロー殿、領主としての目的と個人としての目的が入れ替わっているわよ」
ビアンもドン引きした顔で言ってくる。
「コホン… ちょっと、深層心理の無意識の欲望が漏れだすところだった… まぁ、とりあえずなんだ、今度の祭りの宴で給仕する骨メイドがこのままでは、領民が怖がるので、肉をつけて普通の姿にするってことだ」
「…なるほど、そう言う事だったんですね… 漸く事情が分かりました。僕が錬金術を使ってスケルトンのメイドさんを普通の人間の姿にすればいいわけですね? でも、イチロー兄さんはスケルトンメイドの皆さんに避けられている様ですが、協力してくださるスケルトンメイドの方はいるんですか?」
なんだか、ディートにも骨メイド受肉かエロエロ計画を遠回しに拒絶されている様な気がするが気のせいだろう…
「それなら大丈夫だ、ちゃんと協力してくれる骨メイドがいるぞ、入ってくれ」
ディートにちゃんと協力者がいる事を伝えたうえで、鍛冶場の外で控えさせている骨メイドに声を掛ける。
すると鍛冶場の入り口に一人の骨メイドが少し恥ずかしがった仕草で現れる。
「あれ? ヤヨイさんですか?」
「(こくこく)」
ディートの言葉に骨メイドは頷いて答える。
「あれ? ディートはヤヨイが見分けつくの?」
「えぇ、カーバルではお世話になりましたからね」
「逆にイチロー殿は見分けがついておられないのですか? ヤヨイ嬢はいつも熱い眼差しでイチロー殿を見つめておられますぞ」
そういってロレンスも付け加える。
あれ~ もしかして、骨メイドの見分けがついていないのは俺だけなのか? 女に飢えている時ならいざ知らず、女に困っていない今は、女の子だけど、身体が骨なのもあって、全く興味を持っていないから、モブ扱いしているから見分けがつかないのであろうか…
ヤヨイを見つけ出した時も、食堂で俺の実験に協力してくれる骨メイドはいないかと呼びかけた所、ただ一人手を挙げてくれたのがヤヨイだっただけだからな…
「…では、ここでは錬金術を行うには設備や道具が揃っていませんから、僕の部屋にいどうしましょうか… ビアンさんん、ロレンスさん、型枠の件はお願いしてもいいですか?」
「分かりました、ディートくん」
「いいわよ、まかせてディートちゃん」
ビアンとロレンスに仕事を任せて、俺達はディートの部屋へと向かう。
「さて… スケルトンメイドのヤヨイさんに肉っぽいものをつける事ですか、可能だと思いますよ」
「マジかっ!!」
俺は鼻息を荒くして声を上げる。
「えぇ、錬金術の一環で、色々な物の加工成型をしてきましたから、見た目だけはある程度出来ると思います」
「ん? ある程度ってどういう事だ?」
「僕も人間と同じ形のものは作った事がないので分かりませんが、全く動かさない人形ならともかく、人間には稼働する筋肉があるぶん、動かせばある程度の違和感は出てしまうと思いますね」
「あ~ 特に表情が動かないのは、ちょっと不気味かもしれんな…」
という事は致しても、アヘ顔をしたり、締め付けてきたりしないのか…
「後、あくまで僕は錬金道具の加工成型だけしかしてこなかったので、その…人の質感…肌の質感とか柔らかさとかまでは再現できませんよ…」
ディートは少し顔を赤らめてはにかみながら答える。
「その辺りは、研究を進めておいおい再現していけばいいだろ」
「えぇ~ 僕が研究を進めるんですか?」
ディートが赤面して困り眉をして嫌そうな顔をする。
「そんなに嫌がるなよ~」
俺はそんなディートに近づいて、肩を組んで説得を始める。
「いいか、ディート、ここにいる骨メイドたちは、以前のこの城にいた王族によって攫われて、酷い事をされてまだ若い身空でその命を落として、スケルトンとして蘇ったんだ。本来なら、肉体のある体で青春を謳歌するはずだったんだぞ? 可哀想とは思わないか?」
「えっ!? そうだったんですか? ヤヨイさん!?」
俺の言葉にディートは驚いた顔でヤヨイに尋ねると、ヤヨイはコクコクと頷く。
「だろ? ヤヨイに、若い肉体があったら、化粧したり色々な服を着ておしゃれをしたりと、普通の女の子のような生活をさせてやりたいとは思わないか?」
「…分かりました…ヤヨイさんが普通の女の子の様な人生を送れるように、完全な人間の身体を再現する研究を致しましょう!」
ヤヨイの不幸な身の上話に、憐憫の気持ちを生じさせ、ヤヨイの肉体再現を決意する。
「でかした! それでこそ! 我が弟!」
俺は決意してくれたディートの肩をパンパンと叩く。
「それでは早速、始めましょうかっ!!」
やる気になったディートは作業机に向かい、収納魔法から、様々な容器や薬品を取り出して調合し始める。
「最初から完璧な物は出来ませんので、色々なテストに付き合って貰えますか? ヤヨイさん」
ディートは作業をしながら肩越しに振り向いて、ヤヨイに声を掛け、その問いにヤヨイはコクコクと頷く。
「では、ヤヨイは実験が終わるまでの間、ディート付になってもらえるか? そっちの方がディートも時間の空いた好きな時に実験ができるからいいだろう」
「(コクコク)」
ヤヨイは嬉しそうな仕草で頷く。
「よし!」
すると、ディートが何本の試験管をもって振り返る。
「とりあえず、最初の試薬が出来たので試してみましょうか! ヤヨイさんっ ちょっと脱いでもらえますか?」
すると、ヤヨイは少し驚いたような仕草をしてから、恥じらう姿を仕草をして、震える手つきで、背中のエプロンドレスの結び目に手を伸ばす。
しゅるり・・・
「いやいやいやっ! すみませんっ! 僕の言葉が足りませんでした。別に服の事ではありませんよっ! 靴! 靴です! 靴を脱いでくださいっ!」
骨メイドのヤヨイであるが、女の子らしい色っぽい仕草に、ディートは赤面しながら慌てて声を上げる。すると、ヤヨイはなんだ靴の事かという仕草をして、靴を脱ぎ始める。
「靴を脱ぐって、足から実験をはじめるのか?」
「えぇ、足が全体重を支える負担の大きい場所ですからね、そこで耐久性を確かめるんですよ」
「なるほど… 薬品の色は白か…肌色ではないんだ?」
ヤヨイとディートが作業をする姿を覗き見ながら尋ねる。
「えぇ、色の調整は別にヤヨイさんがいなくても自分一人でできますからね」
ディートはヤヨイの足首からしたの部分にペタペタと粘土のような薬品を盛り付けていき、足の指先に試験管に入った薬品を塗りつけていく。
「なんで指だけ試験管から別々の薬品をつけているんだ?」
「足首全体に付けている薬品は少し硬めの質感の物で、指に付けている物は柔らかさを調整したものなんですよ、これで耐久性と肌の柔らかさの両立を目指します!!」
どうやらA型のディートが本気を出してくれたようだ、これは期待できる仕上がりになりそうだ…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます