第119話 人間式同化作業

 翌日、俺は食堂にて朝食を摂った。朝、起きた時には部屋にカズオの姿は無かったので、恐らく今日の朝から、台所で食事の手伝いをしていたのだろう。朝食の味がマシになっていた。ちなみにカローラの姿もなかった。あいつは元々、夜行性だからそろそろ、朝食をして眠る時間になると思うのだが、どこ行ってんだろ?


 俺はそんな事を考えながら、俺達の馬車の所へと向かう。ポチの朝食の餌をやるためだ。ここの状況は食糧不足の状態であるので、皆からは狼のペットだと思われているフェンリルのポチに、皆と同じ食事を与える訳には行かないので、こんな時の為に馬車に備えていた、カリカリを与えるためである。


 本部の建物から馬車のある裏口の扉を出ると、どこに行ったのかと思っていたカローラが庇の下で、地面を眺めながらしゃがんでいた。


「おい、カローラ、こんな所にいたのかよ、もう朝食の時間だぞ、一体何やってんだよ?」


「イチロー様、虫が魔眼で支配できるように鍛錬しているのです」


カローラは地面を眺めたまま答える。


「虫を支配って、一体何の虫を… って、蟻かよ」


 カローラの様子を良く見てみると、地面を這う、小さな蟻をじっと眺めていた。…ん~ まんま幼女が虫を眺めているとしか思えないな… 実際に作業を行うここの人員が、カローラの姿を子供を見守る優しい目で見ている。


「はい、昨日の地下牢で、あいつを魔眼で支配しようとしたのですが、支配できませんでした。おそらく、もっと強力な支配を受けているものだと思います。なので悔しいから、魔眼の支配の鍛錬をしているのです」


「そ、そうか… ほどほどにしろよ」


 カローラは珍しく真剣な目で蟻を見詰めている。おそらく本当に悔しかったのであろう。俺は鍛錬するカローラから離れて、馬車へと向かい、その扉をノックする。なぜノックするかと言うと、シュリが俺を警戒して扉に鍵をかけているからである。


「おい、シュリ、俺だ。ポチの餌遣りに来ただけだ」


俺は扉の前で中に聞こえる様に声をあげる。


「主様か、ちょっと待っておれ」


中からシュリの声が聞こえて来て、カチャリと扉の鍵が開錠され扉が開かれる。


「おはよう、主様。ポチならここにおらんぞ」


「えっ!? なんでポチがいないんだ?」


 俺は扉があっさりと開かれた事と、ポチがいない事に目を丸くして、扉の前で中を覗き込もうと首を伸ばす。


「ポチなら早朝に、外に出たがって、扉をカリカリしておったので、出してやったのじゃ、それから戻ってこないのじゃ」


シュリは俺をブロックするように両腕を開き、背伸びもして俺の視界を遮ろうとする。


「で、ハルヒさんは?」


「ハルヒ殿は明け方近くまで、執筆をされて、朝食を採ったので、先ほど眠られた。なので、ハルヒ殿の睡眠を邪魔するでない」


 俺のうにょうにょと覗こうとする動きに合わせて、シュリもムッとした顔でうにゅうにょと動いてブロックする。


「なんだよ…ケチ臭いな~」


「だから、ハルヒ殿は眠ったばかりだと言っておろうが!」


「む~ん…」


 シュリの大声で、馬車の寝台で寝ていたであろうハルヒの呻きが聞こえ、シュリがはっとした顔をする。


「お、俺は悪くないぞ… 大声上げたシュリのせいだぞ…」


「うぅ~!!」


シュリはぷっくり頬を膨らませると、パタリと扉を閉めた。


「わう!」


馬車から締め出された俺が戻ろうとした時に、俺の背中からポチの鳴き声がきこえる。


「おう! ポチ! 帰って来たのか~」


「わう! わう!」


振り返るとポチがへっへっへっと息を弾ませて走ってくる。


「よーしよしよし! いいこだ! ぽち! よし! よし! 散歩に行ってたのか? ポチ! いい子だいい子だ! よしよし!」


ポチは俺のワシワシに答える様に、喜んで腹を見せながら、地面をぐるぐると回る。


「あれ? ポチ、なんか腹がパンパンじゃねぇか、どこかでなんか食って来たのか」


「わう!」


仰向けになっているポチの腹をワシワシしてやると、ぷっくりと膨らんでいる。


「これなら、餌は大丈夫そうだな、でもポチ、あまり変なものを食うなよ」


「わう!」


 俺とポチとのやり取りをここの人員に微笑ましく見られていたようで、俺はそそくさとその場を立ち去った。


「さて… では、本題に移るか…」




 俺はそう呟くとルンルン気分で地下牢へと向かう。地下牢への扉の門番は話が通じていたようで、あっさりと俺に扉を開く。


「お一人は危険ですので、くれぐれもご注意を…」


門番は顔を強張らせながら、牢獄の鍵を俺に手渡す。


「あぁ、大丈夫だ」


 そして、扉は閉められ、松明の炎がだけがきらめく。俺はスキップでもしそうな足取りで昨日の牢獄前と向かう。


「さてと…」


 俺は松明を壁掛けに掛け、牢獄の扉を開き、中に照明魔法を使う。すると、昨日の敵将が、昨日と同じ状態で眠っているのが見える。


俺は敵将へと近づき、ぺちぺちとその頬を叩く。


「おい、起きろ」


「ん…」


 すぐ目の前で声をかけられたのと、頬を叩かれたのもあって、敵将は覚醒していき、ゆっくりと頭をあげていく。


「抵抗は無意味だ。我々に駆逐されるがよい」


「それはお前の挨拶かよ。昨日も同じことを言ってたよな」


「お前は…昨日、ここに来た別の個体だな。お前も私を説得にでも来たのか?」


敵将の黒目だけの瞳が俺を直視する。


「うんにゃ」


「では、何をしに来たというのだ。我々に駆逐されて同化されたいのか?」


「お前はやり方を間違えているな」


俺は敵将の言葉にそう返す。


「何が間違えていると言うのだ。間違えているのはお前たちの社会構造であろう」


「うんにゃ、違う、お前のやり方だ。人族というものは説明や理解なしで駆逐されととか同化しろと言われても、納得しない。だから抵抗する。お前たちも抵抗されない方が、効率的で合理的だろ?」


「なるほど、お前の言う通りだな。我々が誤りを正されたのは初めてだな。お前はいつもの個体とは考え方が違うようだな」


 ここで、少しでも表情を緩ませるとかあったら可愛げがあるんだが、デスマスクみたいな無表情のままだな。


「なので、俺はお前らの事をもっと理解したいのだが、今後の効率的な同化の為にも、お前の身体を調べても良いよな?」


「あぁ、構わない。我々と言う種族の良さを知れば、お前たちの同化も早まるのであろう。この身体を使って調べるがよい」


「途中で気が変わって暴れたり、俺を殺しにきたりしないよな?」


「あぁ、そんな事はしない、我々の種の理解が深まる事の妨げはしない」


よし! 言質はとったぞぉ! 後で文句言うなよ!


 俺はまずは敵将の纏っているボロに手を伸ばす。所々、破れて肌が見えるのが煽情的でよいが、やはり、全部とっぱらって中身を全部みたい。俺は腰紐を解き、頭からコの字型にかぶされているボロを取り除く。


「うほ! 良い身体してんなぁ~」

 

 敵将の身体は所々、昆虫の甲羅の様な物に覆われているが、人間と同じ肌があり、胸元には少し大きめの乳房もあり、その片側は甲羅が外れてもろだしになっている。乳首の色も照明魔法に照らし出されて、淡い桜色の綺麗な色を映し出している。


 なるほど、こういう事で、ボロを着せていたようだな… 戦場の兵士達にはかなり目の毒だろう。


「もう片側の乳房も見たいのだがこの甲羅はとれるのか?」


「あぁ、生態的に繋がっているが外れるぞ」


「あ、やっぱり、これ生態的な甲羅だったのか…」


「そうだ、防御用の甲羅だからな、基本消耗品だ。だから、欠損したらまた生やすことができる」


 確かにもろだしになっている方の乳房の周辺には、何か所か治りかけの傷口のような所がある。おそらくここから生えてくるのだろう。


俺はもう片方の乳房の甲羅に手を伸ばして掴む。


「では、外すぞ」


「あぁ、構わない」


 俺がぐっと力を入れると、パリッと簡単にとれて、もう片方の乳房がぷるんっと揺れて出てくる。どうもある程度、自分の意志で外せるようだな。


「おぉ~ いい乳してんな~ ん~ いい乳」


俺は両手で、両乳房を撫でまわしていく。


「お前も我が種族の良さが分かっただろう」


「うんうん、分かった分かった」


 俺はそう言いながら、その二つの乳房の間に顔を埋める。こいつの肌は張があって、マシュマロ乳とは違う、いわばこんにゃく乳と言った感じか? あぁ…乳に挟まれる幸せ…


「…なぜ、胸に顔を埋める?」


「それは、感触をより確かめる為だ」


俺は乳に挟まれながら、敵将の顔を見上げて答える。


「そうか、ならよく確かめるが良い… んっ」


こいつが喋っている途中で、乳首を摘まんでみた。すると、少し反応があった。


「なぜ、私の乳頭を摘まむ…」


「だから、感触を確かめる為だって言ってるだろ?」


それはそう言って、今度は乳首をぺろりと舐めてみる。


「んんっ …何故、舐める…」


「舌で感触を確かめているんだよ」


乳首から口を一度話して答えた後、今度は口全体でしゃぶり付き、口の中でレロレロする。


「んんっ! あっ!」


おうおう、ちゃんと嬌声をあげているじゃねえか~ 良いぞ~ 良いぞ~


「おまえ、ちゃんと感じてるんだな~」


「す、吸われたり、舐められたり…しているのだ、か、感覚があるのでちゃんと感じている… しかし、こんな感覚は…その、初めてだ…」


 先ほどまでデスマスクの様だった表情が、少し赤みを帯び、肩で息をしながら、俺が乳首をいじるたびに、少し唇を噛み締めて初めての感覚に堪えている様だ。


 なんだか、俄然、やる気が出て来たぞ~ こいつのデスマスクの様な顔を快楽で、女の顔に歪ませたくなってきたぁ!!!


俺は乳房から顔を離して、しゃがみこみ、こいつの股間部分へと視線を降ろす。


「ここも外れるんだよな」


「ん… あぁ、外れるぞ…」


 敵将は嬌声混じりの声で返す。俺は、貴重品でも扱うように手を伸ばし、ゆっくりと力を入れると、ぺろりと剥がれ落ちる。


「よっしゃぁぁぁ!! ちゃんと、女の所があるぞ! あるぞぉぉ!!」


俺はガッツポーズで叫ぶ!


「お前は…どうして… そんなに喜んでいるのだ?」


「それは、お前の身体の素晴らしさを見て喜んでいるのだ!」


「そ、そうか… ならば、より一層、我々と同化したくなったであろう…」


「うんうん、めっちゃ同化したい!! 一つになりたい!」


 多分と言うか絶対、俺とこいつで同化の意味が全く違うと思うが、今はそんな事はどうでもよい。色々と指や舌を使ってここを調べねば~


「あっ! んっ! あぁ!」


 最初は機械音声の様な声であったが、俺が色々調べる度に、可愛い嬌声をあげていく。そして、最終的には身も心も…そして、デスマスクの様だった顔もトロトロになっていた。


「では、そろそろだな…」


 俺はこいつの両足を俺の肩に抱え上げて立ち上がる。するとトロトロになって肩で息をする高揚した敵将の顔があった。


「ど、どうしたのだ… もう調べないのか…?」


敵将は物欲しそうに甘えた声で聞いてくる。


「そろそろ、同化しようかなと思って」


俺は乳首と乳房を弄びながら答える。


「ど、同化は…女王様の所に… 行かないと…」


「今からやるのは人間式の同化方法だ…」


「に、人間式?」


敵将はたどたどしく口を開く。


「では、人間式同化! はじめまーす!!!」


 その後、俺は何度も何度も、敵将と同化作業を繰り返した。すでにトロトロであった敵将は嫌がる事無く、むしろ進んで同化作業を受け入れた。


こうして、俺は敵将を、敵将でもなく、昆虫もどきでもなく、ただの女にしてやった。


う~ん、トレビア~ン

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