第三話 機械装甲奪還戦

薄ら寒い山の中。

紅く染まった木々が鼓動を奮い立たせる。寒さを凌ぐには、その鮮やかさな、色彩風景だけで十分だ。

革命決行。

単独行動。最初はこの行為に名前なんてなかった。

名も知らぬ人間と共闘するなんて思わなかった。


作戦はこうだ。ユヅキが敵を引きつけ、その隙をつき装甲を奪還、余裕があるなら修理リペアし戦闘に参加、エルの索敵探知機レーダーによる人数は5人。

「5人の精鋭を相手にするなんて難しいだろう。加えて相手の手の内は分からない。」

ユヅキは言った。一人で考えて何か他に気づいたことはないのだろうか。気持ちが共有できれば楽であろうに。

どうもあれの手の内で転がされている気がする。


山五合目に到着。スニーカー達は少しづつ距離を縮める。

軍服の男達の配置は満遍なく。それを引っ掻き回す奴の仕事。

思考のコピー。

最適な回答の検索。

リソースの分割。トレースオフ。それらの円環。


超音波でマッピングを始める。

息をじっと潜める。煙る空気に潜るように。

自身を取り戻すため。

 発見。あの兵器は人を殺すためにある。しかしこれがあることは生存率の底上げが可能。

 結論はまだ出ない。誰かに何か言われることを待っていた。

作戦の続行。

大木の物陰に隠れる茂みをそっと見る。

 茂みから虎視眈眈と狙う、あいつは殺戮のために生まれた修羅のように、重い威圧と共に動いた。

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