第四話 捜索開始!
「面倒な依頼だな」俺は小銭をじゃらんじゃらんと袋の中に詰め込んだ。急いでる。
「紐に通せ言うとるやろ。あんちゃん」着物の女が喋った。妙に外交的な女。だがそれにはすぐ納得する。艶やかな黒髪や白い肌が魅力的だ。
しかし、自分も容姿になら少し自信がある。
「探偵初の仕事依頼は決まって猫探しなんよ。知ってる?」女は図々しかった。
「知らないよ」珈琲をすする。酸っぱすぎて逆に甘く感じる。
「甘露なんて甘党の代名詞みたいな苗字の癖して、よくそんな苦いの飲めるんやな。」さっき渡した名刺を見ていた。眉間にしわが寄るものの、その顔はまあまあ悪くなかった。
そうか。このオンナ珈琲飲めないのか。
名前は「月」と書いてユエというらしい。黙ればそれっぽい。
「カンロユヅキだよ。文句ある?依頼受けるから早く家帰れな?姉ちゃん。」弁当を手に取り、女の背中を押した。
「手荒いエスコートやなー、あんちゃん。」なぜか控えめな態度になった。
俺は足早に扉へと赴き、ワイシャツの上に学ランを重ねて、依頼の猫探しへと向かった。
人生の目標を思い出した。師を越える。だが、師を越えるという目標にはたくさんの課題がある。その中で一番大切なのは、彼のように『優しい人間』になるということだった。
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