【CRE8 THE STAR MAP】

てぇてぇだ！

【てぇてぇが欲しいんですが、まだ焼けてませんか？】

【誰が誰にするかはいいませんけど、あ～んする展開はまだですかね!?】

【俺のソーセージも食べてくれ】

【おうそのポークビッツしまえや】

【二度と使えないように灰になるまで焼いておくか……】

「う～ん、後半のコメントは拾わないことにしておくとして……てぇてぇねえ、普通にその辺に転がってると思うわよ」

「まあ、自分としては坊やとそのお嫁さんが一緒にいるところを見るだけで幸せなんですけどね！　ああ、尊み秀吉……!!」

「しゃぼんさん、既に大分酔ってません？　言動が支離滅裂ですよ。いや、普段からそんな感じですけど」

「ふ～んだ！　どうせ自分は箱内で随一の芸人っすよ～！　坊や～！　傷心のママのためにお肉焼いて～！」

「今は野菜と海鮮のターンです。柳生さんも肉ばっか食ってないで、野菜を食べなさい、野菜を」

「嫌だっ！　自分は美味しい肉だけを食べて生きていくんだ！　野菜なんて食べないっすよ!!」

「……最年長なのに誰よりも子供だな、あの人」

「玉ねぎうめ、うめ……！　人参もうめ……!!」

「かぼちゃ、ほくほくで美味しいね。ボク、甘いからかぼちゃ好き……！」

「いかとえびも美味しいさ～！　うちなー出身としては、海鮮も美味しくいただきたいよね～！」

「ふふふ……！　みんな、美味しそうに食べてるね。枢くんとしても、ここまで満足気に食べてもらえると嬉しいんじゃない？」

「まあね。さて、芽衣ちゃん、そろそろ観念しようか？」

「えっ？　か、観念って、どういうことかなぁ……？」

「俺が気付かないと思ってた？　さっきからピーマンを避けてるでしょ？　好き嫌いは良くないな、好き嫌いは」

「ぴえっ……!?　あっ、待って。そんなに乗せちゃいやぁ……！」

【枢ママが発動した】

【ピーマンハラスメントか、新しいな】

【ハラスメントっていうよりかは子供の好き嫌い矯正みたいなもんだから……】

「ううぅ～……枢くんのいじわる……！」

「そんな目で見ても容赦はしないよ。食べれるようになったんだから、その皿のピーマン全部食べなさい」

「あれは枢くんが作った料理が美味しかったから食べれたんであって、ピーマン全般が好きになったわけじゃないもん……！」

【夫の愛情が込められた料理だからこそ食べられたんですね、てぇてぇ……！】

【よしよし、その調子で甘い空気をスタジオに蔓延させてくれ】

【芽衣ちゃんに好かれるPマンになれるよう、精進していきます！】

【↑ピーマン違いなんだよなぁ……】

「……っていうか芽衣ちゃん。さっきから気になってたんだけど、どうしてお皿二枚持ってるの？　そんな大食いじゃないよね？」

「わー、三枚使ってら！　お肉用、お野菜用、お魚用です！　締めの焼ぎそばでもう一枚増える予定ですよ！」

「あ、えっと、これは私の分じゃなくって、枢くん用のお皿だよ。さっきから焼いてばっかりだし、みんなが食べちゃう前に少しだけ取り分けておいた方がいいかなって……」

「あっ、ふ～ん……そっかぁ……！　もう嫁っすね、嫁」

「あれ、なんだろう？　口角が無限に上がっていくんだけど、どうして？」

「芽衣ちゃんは優しいね～！　枢くんもお礼を言った方がいいと思うよ～！」

「……ピーマン、半分くらい俺の皿に移していいよ」

「ホント!?　よかったぁ……!!」

「なんか嫁に対して甘くない？　いや、空気の方が甘いんだけどさ」

「うっせえなあ！　ってか、嫁嫁言うんじゃねえっつーの！　また燃えるだろうが！　そろそろ誰か代わってくれよ、俺も肉食べてえ!!」

「あ、ごめん。お姉さんちょ～っと今の甘さで胸焼けしちゃって、難しいかな～？」

「すっごいいい笑顔で言ってくれるね、たら姉。絶対楽しんでるでしょ？　ねえ？」

「お酒が入った自分に料理をさせるだなんて、坊やもチャレンジャーっすね!!」

「柳生さん、もう本当に帰ってもらっていいですか？」

「あたしがやろうか？　地味に傷心気味だけど」

「地味に任せにくいことを言わないでください。俺も凹むじゃないですか」

「まむまむ、わーは……」

「リア様はいいですよ。そのまま食べててください」

「電子レンジくんに続いてホットプレートくんまで手にかけろってか？　私に任せたら調理器具ヒットマン愛鈴伝説に新たな一ページが加わるわよ？」

「黙れ」

「じゃ、じゃあ、ボクが代わりに……むぐっ!?」

「あ～あ～、枢くんも大変だね～！　芽衣ちゃん、ここは枢くんを助けてあげなよ～！」

「そ、そうですね。でも、私に上手く料理ができるかな……？」

「いやいや、そうじゃなくってさ。料理の手助けは難しいかもだけど、食べる手助けはしてあげられるんじゃない？　具体的にはほら、あ～んとかさ！」

【よ～しよしよし！　よしよしよし！】

【流石身内内最大の厄介、たら姉！　よくぞチャンスを作ってくれた！】

【あ～んしろ！　くるめいであ～んしろ！】

「……こうなる予感がしてたんだよなあ。避けようがないっちゃないから、どうしようもなかったけどさ」

「えっとぉ……これ、やらなきゃ終わらないパターン、だよね……？　なら、しょうがない……よね？」

「おおっと！　羊坂選手、切り替えが早ーい！　既に美味しそうなお肉をお箸で摘まんでおります！」

「ここでうっかり自分用の箸を使って間接キスになる展開も面白いと思ったのですが、しっかり新品の箸を使っていますね。残念です」

「おうそこの壊滅的料理コンビ、なに実況と解説を始めてんだ？　お前らの分の肉はもうないから、そのつもりでいろよ！」

「その分、わーのお肉は増えますか!?」

【リア様が自由過ぎるwww】

【厄介が厄介してるこの状況、カオスで好きだわ】

【どうして俺は料理スタジオの壁に生まれてこなかった!?　くるめいのあ～んが見れないじゃないか！】

【情景を想像するので詳しい情報を伝えてください】

「ほら、枢くん……私もずっとこのままだと、恥ずかしいんだけど……」

「うぐぅ……わかったよ」

「さあ、蛇道選手も覚悟を決めた！　恥ずかしそうにしながらも口を開け、待機しております！」

「羊坂選手、ゆっくりと箸を前へと動かす！　肉汁と焼き肉のタレが滴る牛肉を、今、蛇道選手の口の中に……入れた～っ！」

【ラブリーとしゃぼん、うるさい】

【妄想の邪魔をするな】

【ちくしょう！　お前たちの声以外、何も聞こえなかったじゃないか！】

「……どう？　ちょっと冷めちゃってたかもだけど……」

「ん、美味しいよ。食べさせてくれてありがとうね、芽衣ちゃん」

「うんうん！　お姉さん、このやり取りだけでご飯三杯はいけちゃうな！」

「花咲さん、おかず要らないんですか!?　じゃあ、わーがお肉貰ってもいいですか!?」

「アクエリアスさん、花咲さんはそういう意味で言ったんじゃないと思うけどな……」

「あ～……なんだろう、他人がイチャついてるところを見て、なんかムカムカしてきたな～……しゃぼんちゃん、あたしにもビール頂戴！　もう自棄だ、自棄!!」

「あ～、はっず……！　思ったよりもしんどいわ～……」

「そろそろお姉さんが代わるよ。冷めちゃう前に、芽衣ちゃんが取っておいてくれたお肉を食べちゃった方がいいさ～！」

「んじゃ、お言葉に甘えるとしますか。でも、う～ん……なんか、カオスなことになってる気がするなあ……」

「うひょ～っ！　息子夫婦のてぇてぇで妄想が捗って仕方がないっす～！　あっ、心臓が！　急に心臓が痛く……う゛っ!?」

「しゃぼんさ～ん!?　ちょっと、急性アルコール中毒とかじゃないわよね!?」

「大丈夫、てぇてぇを摂取し過ぎたことによる一時的な心臓の停止だから……がくっ」

「はぁ～……尊さって時に胸に深く突き刺さるナイフになるよね。ヤケ酒ってあんまり美味しくないなあ……でも、止めらんないや……」

「……ヤバい、左右田先輩の気持ちが誰よりもわかってしまうんだけど」

「ご飯お代わり！　大盛りで！　お肉うめ！　お野菜うめ！　お魚もうめ！　今日はすごく楽しい!!」

「アクエリアスさん、さっきからずっと食べ続けてない？　この人の胃袋、どうなってるの？」

「芽衣ちゃ～ん！　ピーマン焼けたよ～！　今度は枢くんにあ～んしてもらって、美味しく食べるといいさ～！」

「……収拾つかなくなってきたな。どうするよ、これ？」

【残当。最初からこうなると思ってた】

【たら姉が飲んでないだけマシかな……？】

【こうなったらお前もてぇてぇで対抗しろ。くるめいの力で場を制圧するんだ！】

「はぁ……めんどくせぇ。でもまあ、これはこれで楽しいから良しとするか！」