【ゲーム配信】しゃぼん神による息子を主役にしたRPG実況【第1回】
#久しぶりだなしゃぼん
『あ、あ、あ~……自分の声、聞こえてるっすか? 音量とか問題なさそう?』
【大丈夫、聞こえてるよ】
【#久しぶりだなしゃぼん】
【#遅刻してんじゃねえよしゃぼん】
『あ、問題なさそうならよかったっす! いや~、久々に配信すると設定とかの記憶が抜けてて困るっすね~! はっはっは!』
【は?】
【は?】
【はっはっは、じゃねえんだよなぁ……】
【#定期的に配信しろしゃぼん】
【#笑い事じゃないぞしゃぼん】
平日、夜11時。
この日は夏に向けて用意していた水着衣装&夏コミフェスのグッズ作成&自分の同人誌制作という三重の修羅場を潜り抜けた柳生しゃぼんによる久々の配信が行われようとしていた。
久方ぶりの彼女の配信に契約者(柳生しゃぼんのファンの総称)たちはもちろん、最近クローズアップされている息子こと蛇道枢との絡みからしゃぼんに注目しているファンたちが多く集まっており、遅い時間だというのに早速1万を超える視聴者がいることが彼らの期待を物語っている。
まあ、それにしてはファンからの扱いが酷いとは思うが……これも彼女の普段の行いが原因なのだから、仕方がないだろう。
自分たちのリスナーこと契約者たちから#付きの暴言と警告コメントをこれでもかと浴びせかけられながらもそれを一切意に介していないしゃぼんは、嬉々とした表情で本日の企画を解説していく。
『今日はっすねえ、最近巷で話題の面白そうなゲームを買ってきたんすよ! いや、お急ぎ便で届けてもらったんで買ってきたわけじゃあないんすけど、まあその辺はどうだっていいでしょ!』
【#たまには外に出ろよしゃぼん】
【#そんなんじゃ将来困るぞしゃぼん】
【#息子に迷惑かけるなしゃぼん】
『う、うっさいなぁ! 少しは久々に配信をする自分に対して優しい言葉をかけてくれたっていいじゃないっすか! 本当に契約者たちは口うるさいっていうか、自分のことを邪険に扱い過ぎっていうか……』
止まる気配のない暴言にちょっぴり凹みつつ、購入したゲームを起動するしゃぼん。
ややあって画面に表示されたのは、ほのぼのとした雰囲気のタイトル画面であった。
『じゃじゃーん! 今回プレイするのはこのゲーム、【フレンドクエスト】っす! 他のVさんたちもプレイしてるから、内容は大体わかってるでしょう?』
【知ってる。まあ、キャラクリとか得意なしゃぼんにはうってつけなゲームかもしれんな】
【でもこれ結構長いからな……しゃぼんの配信頻度だと、1年かかってもクリアできるかわからんぞ?】
【3年はかかると思っておこう。随分なロングラン企画になりそうだな】
【フレンドクエスト】……なんだかお友達を探しに行くようなタイトルのゲームだが、このゲームには普通のRPGとは全く違う1つの要素がある。
主人公を含むメインキャラたちを自分の手で作り出すことができる、というのがそれだ。
ゲーム内で用意されている素材を使い、現実世界の自分自身や知り合いを模したキャラクターを作り出すことでまるで自分たちがゲームの中に入ったかのような面白さを感じられる【フレンドクエスト】は、決して高くはない難易度も相まって、子供やゲーム初心者の間でかなりの人気を誇っている。
Vtuber界隈でも人気を博しており、各個人がコラボした相手や事務所の同期、先輩を模したキャラクターを作ってゲームをするという配信が、多々行われていた。
『要するにこのゲームは、
【#泣くなよしゃぼん】
【しゃぼんのソロぼっち大冒険が観れる配信はここで合ってますか?】
【しゃぼんに全く適性がないゲームじゃないか、たまげたなぁ……】
『うるへー、うるへー! 確かに自分には友達はいないけどなぁ、かわいくて立派な息子ならいるんすよ! 今日は坊やの力を2000%くらい借りて、このゲームを楽しませてもらうっす!』
【#息子に迷惑かけるなしゃぼん(1分ぶり2回目)】
【俺知ってるんだ。この配信が原因でくるるんが燃えるってことを……】
【大丈夫かなぁ? ホント、色んな意味で心配だ】
ピコピコとコントローラーを操作してゲームを開始したしゃぼんは、早速主人公となるキャラクターを作り始める。
流石はクリエイターというか、それ以外の大事なものを色々と犠牲にしている分その手のセンスは抜群というか……ともかく、見事な手腕で息子である蛇道枢の容姿を再現したアバターを作り上げた彼女は、その出来に満足しながら堂々と契約者たちへと宣言した。
『刮目せよ、契約者たち! ここからママの導きによる、冒険者くるるんの旅が始まるっすよ!』
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