たらばと枢と時々SunRise
Morning Call
――PiPiPi~~~♪
「んぁ……んがぁ……?」
ある日の朝、洒落っ気のない着信音で目を覚ました零は、寝ぼけまなこを擦りながらベッドサイドのスマートフォンへと手を伸ばした。
時計を確認すれば、まだ時間は7時前。昨晩遅くまで配信を行っていた零からすれば、まだもう少しだけ眠っていたかったというのが正直な感想だ。
それでも、こんな時間にわざわざ連絡が来るということはそれなりに大事な用件なのだろうと考えた彼は、眠気でぼやける思考を何とか覚醒させながらボタンを押すと、電話を掛けてきた相手との通話を始めた。
「はい、もしもし……」
『あ、零くん? おはよ~! 朝早くにごめんね~!』
「ああ、喜屋武さんっすか……おはようございます……」
スマートフォンの向こう側から聞こえてくるような明るい声を耳にした零は、それが沙織のものであるということにすぐに気が付いた。
毎朝の朝活配信を行っている彼女からすれば、この時間帯でも別段眠くはないんだろうな……と思いつつ、零は急な連絡をしてきた沙織へとその要件を伺う。
「どうかしたんすか、こんな時間に……? なにか、トラブルでもありました?」
『ん~……トラブル、ってわけじゃあないんだけどさ、ちょっと急ぎで確認しとかなくちゃいけないことが出来たっていうか、なんていうか……』
「はぁ……? なんなんすか? その、確認しとかなくちゃならないことって?」
目を覚ましてしまったものは仕方がないと、のそのそとベッドから立ち上がり、カーテンを開けて外の日差しを部屋へと差し込ませながら零が問いかける。
いまいち要領の得ないことを言う沙織に物珍しさを感じていた彼であったが、そんな訝し気な考えを見通したかのように普段のストレートな雰囲気になった沙織は、ド直球に零へと確認したい事項についての質問を投げかけてきた。
『零くん、今日の予定って空いてる?』
「今日っすか? 今日は……特に予定らしきものはなかったと思いますけど……」
『ホント!? よかったぁ~! それじゃあさ――』
沙織からの質問に対して、覚醒を始めた頭で本日の予定を確認した零が答えを返す。
配信は夜から行うつもりだし、コラボの打ち合わせや薫子たちスタッフ陣との面談や仕事についての会議をする予定もなく、今日は暇をしているとの彼の答えに安堵したような息を吐いた沙織は、そのまま続けて驚きの言葉を口にした。
『今日、お姉さんとデートしない?』
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