第1話 犯人は迷探偵?(7)

「その写真になにかあるのかい?」

「なんだと思います?」

私は発火したごみ袋の写真をぐいっと探偵と警察官に近づけた。

「んんん···よくわからないな···」

探偵よ、諦めが早いぞ。まだまだだな。

「プラスチックのカード類がまとめて捨てられているが···」

「そうですね、ごみ袋の中にはプラスチックのカード、レシートの紙等が入っていますが、一切発火原因になりそうな物は入っていない」

警察官はうなずき、探偵は口を開ける。

「では、この写真はどうでしょう?」

私は今度は住宅で起きた不審火の現場写真を前に出した。

「あ、プラスチックのカードがある!」

探偵がくいついてくる。その通り。二枚の写真には共通してプラスチックのカードが写っていた。

「そうですね、どちらの現場にもプラスチックのカードが写っている···。プラスチックのカード等には磁気テープが貼られています、それはご存知ですか?」

「もちろん」

警察官がうなずくが、探偵はポカーンと口を開けたまま動かない。ほんとに探偵か、こやつ。

「磁気テープには鉄分が含まれています。これが発火の原因です」

「ど、どういうことだ?なんで磁気テープの鉄分が発火したんだ」

「先ほど言ったように磁気テープには鉄分が含まれています。この鉄分が強い電磁波に反応したんです」

「強い電磁波?」

探偵と警察官がぐいっと前に乗り出してくる。

「その電磁波の原因は···これですよ」

私は写真を前に突き出しながら指をさす。

「電子レンジと電波棟?」

「そう、電子レンジと電波棟の強い電磁波にプラスチックのカードに貼られている磁気テープが反応し、発火した。これが事件の真相です」

私が話終えると警察官は顔をあげ、君···と呟いた。

「最近有名な高校生の探偵かい?」

「え?」

違います。違う。私は探偵になれなかった。最後の最後まで···探偵の横にいた。そして、自分のパートナーになにもできずに別れた。そんな生半可な奴がはい、探偵です。なんて名乗れる訳がない。

「私は···探偵じゃないです。私は、最後まで助手です」

「助手···?」

「あ、この事件に関しては私の名前を出さないでくださいね。そこにいるちょっと抜けてる探偵さんが解決したってことで」

探偵は顔をあげて、抜けてるとはなんだ!と声をあげた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

笑う探偵と冴えない助手 あめ🍬 @amedama410

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ