第1話 犯人は迷探偵?(6)
「これは···なんですか?」
「これも今朝発生した不審火。住民の方は1週間前にあなたを玄関にいれて以来人は来ていないと言っていた。あなたが犯人なんだろう?」
警察官は探偵の顔を覗きこむ。
「だから、違いますって!なんで俺が放火なんてしなきゃいけないんですか!動機なんてないでしょうが!」
探偵が言うと警察官は確かに···と腕を組んだ。本当に警察やっていけるのか。
「あの~、現場の写真ある限りでいいので、全部見せてくれませんか?」
「ん?かまわないが···」
机の上に焼け跡となった現場の写真が重ねられていく。アパートの壁を写し出した写真には置かれていた物も一緒に写っていた。電子レンジ、雑誌、新聞、そしてごみ袋。ごみ袋の中にはゴッソリと焼けたプラスチックのカードや黒く焦げたレシートが写っている。
もう一方は室内で起きたようで、引き出しが真っ黒になっている。中を写した写真にははんこや手帳、カードが入っている。そして部屋の中には電子レンジも置かれているのがチラッと見える。
私は不審火を受けたアパートと家の全体の写真を見ながら手がかりを探す。私がこうも考えている間にも警察官と探偵は言い合いを続けている。
「全く、いい加減白状したらどうなんだ!」
「だから俺じゃないですって!君もなんか言ってくれ!」
急に話をふられて私は顔をあげる。その時窓にも写真にも写っていたあるものが見えた。
「この事件、わかりましたよ」
私は少し立ち上がり写真を2人に見せる。
「分かったって、犯人がか?」
探偵は首をかしげる。
「探偵やってるのに気付かないなんて···呆れます」
彼がいたら、こんな単純なことにも気付かないのかと笑われてしまう。約2年半積み上げてきた無駄と思われてきた能力がここで発動する。
「これを見てください」
私はそう言って1枚の写真を前にだした。
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