第1話 犯人は迷探偵? (3)
「あっ···」
喉に言葉が引っ掛かりでてこない。私の思考回路は完全に停止した。
「まぁ、とりあえず中へ!」
この人私と同い年ぐらいだろうか。少なくとも年上ではないような顔の成り立ちをしている。私と同じ高校生だろうか。
探偵は私が中に入り終わったのを確認しドアを静かに閉めた。
中には奥に探偵の物と思われるデスクが置いてあり、その手前にソファが2つ小さな机を挟むように置いてある。
「コーヒー飲める?」
「あぁ、はい、飲めますよ」
私の言葉に探偵は小さくうなずきカップを運び始めた。しばらくするとコーヒーのいい匂いが部屋中に広がった。
探偵が奥の部屋からカップを運んでくる。その時だ。探偵の足にソファの角がぶつかる。見事に体制をくずした探偵の手からカップが離れ宙を舞う。
「あ···」
勢いよく飛んだカップは地面へ。そして肝心な中身は私の頭に全部綺麗にゴールイン。
「す、すいませんっ!?」
「あ、あぁ、いえ···お、お気になさらずに···」
私の苦笑いをみて申し訳ないです···!と探偵は立ち上がろうとして、揺れた床で滑ってまた転ぶ。
この人ほんとに探偵なんだろうか···少なくとも私が去年まで一緒にいた彼よりかは失礼だがアホだ。
数分後綺麗に床を拭き終わった探偵が向かいのソファに腰かける。
「それで···なにかあったんですか?」
「あ、あぁ、いや、なんというか、その、新しい探偵事務所ができたと聞いてどんなものかと思いまして···」
「そうだったんですね!!まだ開いたばかりで誰かがくるなんてこと無かったもんですからてっきり依頼があっていらっしゃったのかと思いましたよ~!」
私はあはは···と頭をかいた。コーヒーは拭いたものの匂いがしみついている。
「まぁ、どんなものか見にきただけなので、私はこれで!」
ゆっくりと私が立ち上がった時だ。
「すいませ~ん。あすか警察の者ですが。」
ドアの向こうから声がした。警察だって···?
「は、はい、どうしました?」
探偵がおそるおそるドアを開けた。
「えぇ、あなた今日の朝6時頃なにをしていましたか?」
「え、俺なんか疑われてます?」
「質問に答えてください。どこでなにをしていましたか?」
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