第1話 犯人は迷探偵? (2)
食べている最中に聞いたあの探偵の話。それが頭の中を無限にループしている。
彼という確信があるわけでも依頼がある。という訳でもない。まさか探偵だった彼を探してほしいだなんてばかな依頼できるわけない。だけれど···後悔をするぐらいなら行ってみるべきではないか···。そんな思いが頭をよぎる。私はいつもこうだ。無駄な動きが多い。我慢ができない。なんならいつも空回りする。
太陽が照らす校舎に背を向け私は靴にかかとを入れる。小さな首もとのリボンとスカートを風が揺らす。気付けば私はスマホを片手に歩きだしていた。
居酒屋だなんて駅前にあっただろうか?全く記憶にない。太陽に照らされている街を見ながら居酒屋を探す。駅についたのはいいもののそれらしき看板、店がさっぱり見つからない。情報が少なければ少ないほど見つけられる確率が下がるのは当たり前だが、私は見つけられなすぎだ。ほんとに助手をしてたのか。ふと後ろから会話が聞こえてくる。
「最近名刺配って歩いてる探偵さんいるけどほんとに事件解決してくれるのかしらねぇ?」
「さぁな。探偵名乗ってるぐらいだし、仕事はしてくれるんじゃね?」
探偵···名刺配ってるのか···
「あの、すいません、その探偵の名刺見せてくれませんか?」
「あぁ、これ?2枚もいらないし、1枚あげるよ」
私は名刺を受けとる。そこには明朝体で書かれた睦月涼太の字の下に゛あすか通り3-21゛の字が書かれていた。
····長い沈黙が流れている。あのあと探偵事務所を無事に発見した私。入り口の前までくるのは良かったのだが···問題はその後だ。このままドアを開けたところでなんて言う?相手は探偵だ。下手な真似したら怪しまれるじゃすまない。どうすれば···
狭い入り口の前で歩いたせいでリュックの角がチャイムに触れた。その瞬間カランカランカランとベルが鳴り出す。
「あ゛···」
はーい!と中から返事がした。その数秒後に入り口のドアが開く。
「どうされました!」
男性がドアから顔を覗かせた。
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