第5話 些細な雨
この声は……
「ハンさん?」僕は彼女を知っていた。まさか釋乱国民とは…
「ミノル、こいつ知ってるのか?」
「はい、、詳しくは言えないですが…サクラ・ハンさんです。」
するとハンさんは大きく笑って「来なさい」と僕らに告げる。
村には釋乱独自のツボや布などが置いてある。ハンさんの趣味だろうか。
サクラ・ハンさんは釋乱国では数少ないルカルト国民の宗教の一員で
ある。村の人は知らないのだろうか。
ハンさんと僕、ロイズさんの3人で部屋に入った。
部屋に入った途端、
「アドラは釋乱の名門校を出るくらいの治療法学部専門者なんだ。」
「あいつの話かよ。急に呼び出したと思えば」
ロイズさんはうんざりしている。確かにアドラさんは丁寧で冷静な判断で
処置を取っていた。
「しかし、この村にアドラの弟と言っても過言ではない少年ケロラが
難病を抱えてしまい、アドラは名門校に行くのを辞めた。ケロラの
為にここに残り村の人々を救っている。」
その少年とはさっき部屋に入って来た子だろう。…多分。
ハンさんはずっと窓の外を見ている。寂しそうに語る。
「さっき来た海賊は?」
ハンさんは僕の方に振り向いた。深刻な問題なのか皺(しわ)を寄せる。
「この辺に海があってね、その海に住んでいるのさ、食料や生活品が
無くなったらいつもこの村を荒らしに来る。」
海賊はアドラさんの容態を見ていたら神隠しにあったようにいなく
なっていた。
「あいつらにはボスがいる。そいつの能力を使ったのだろ。あの
アドなんちゃらが捕まえたら良いじゃねーか。」
この釋乱国では能力を使える者が多い。そんな者が悪その為に使ってる
のかもしれない。しかしー
「アドラさんだけではー」僕が言った時、
「その事なのだが…」後ろから声がして僕はサッと振り向いた。そこに
立っていたのはアドラさんだった。絆創膏(ばんそうこう)などを貼って
貰っている。
「大丈夫ですか!!アドラさん!」
「ああ、ロイズ、ミノル…僕であの海賊を倒しに行ってはくれないか?」
え?僕が… やっぱりアドラさんは男の子なんだ。
「は?冗談じゃねぇ!人の名を呼び捨て勝手にして何言い出すかと思えば
そんな事俺達には関係ない。大体釋乱とルカルトは仲良く出来ねぇんだよ。
行くぞ、ミノル」
ロイズさんは怒って僕の肩を叩く。
「アドラさん、、行きましょう。」と僕はそういった。
「な!?」
「本当か!!?」アドラさんは少し顔を緩ませる。
「それは有難い!村の物を持ってこよう。胃に蓄えなさい。」と、
ハンさんは出ていった。
「おい!ミノル!何馬鹿な事言ってんだよ!俺は知らねぇぞ」
「一緒に……」
「あ?一緒に??」
「一緒にこの世を変える。この世界を変えるって言ったじゃないか。
僕の父はルカルト国民で母は釋乱国民なんだ。」
するとロイズさんの顔が止まる。行動も、そしてアドラさんも。
「でも僕は波乱の関係の国で生まれてしまった。生きてはいけないんだ。
こんな世の中ではダメだ。もっと変えていかなければ僕のような人は
沢山いる。その差別で亡くなった人もいるだろう。」
すると、ロイズさんはニヤッとして、
「そーだったな、俺らの目的は正義のヒーローの様な世界の平和
じゃねーが、その部分が安定しないと変えてはいけない。アドマ!
いいぜ。その海賊俺らが粉々にすんか!」
とめっちゃノリノリのロイズさん、でも、、
「僕の名前はアドラだ!」
時間は19時今日はこの村に泊まることになった。村長のハンさんの
許可が降りたからね。食べ物もお風呂も色々してもらった。
「僕達はまだ非常に弱い、だから作戦があるんだ。」
独特の見た目に不思議な味が多い釋乱独自の食べ物。美味しんだろう。
「僕は大丈夫だけどおふたりは怪我をしている。作戦があった方がいい
かもね。」僕は自分の弱さを知り小声で言う。
「俺はまだ闘え…」
ロイズさんが箸をタバコのように咥えて面倒くさそうに言う。するとー
ーゴーン
まだアドラさんがロイズさんの膝を叩く。2回も。
「痛ってな!お前それ好きなんか!」急な訛り(なまり)。
「そのくらいで痛がっては戦えん。動くことすら無理なはず、特に
ロイズは何者だ?」
それは僕も思う。初めは刑務所から何度も脱走することから城夢隊が
引き取った、とヴィラン中佐は話していた。しかしそれが嘘だとすると
何者なのだ?
と、黙るロイズさん。何か僕のようにあるのだろうか。
「で、、作戦というのは…」僕は空気が読めないのだろうか。
すぐ本題に入ってしまう。
「あ、ああ、それはな、」
「ふうー」僕は外の風呂に入る。疲れや傷が癒えていく。
すると、、
「タオル、置いてた!!」
「え?」僕が横を見ると少年がいた。ケロラとか言う子供だろうか。
「ありがとう、君の名前は?」
できる限りゆっくり話す。
「ケロラ・ツリ!」嬉しいそうだ。この子なのだろう。難病を抱えて
いるのは。長袖を来ていてよく見えないが肌が鱗のようになっている。
もしかして、、、
「あ、ここにいたのか、」また来たのは…ってアドラさん!!?
「恥ずかしい、ミノル!下を隠せ!」
「何言って?アドラ男でしょ?」
アドラさんはまるで女の子のように顔を隠す。
「違う!僕は女だ!」
ええええー!見られた、終わった。恥ずかしい……
それから僕の意識がとんだ。
NICOLA 門藤 アズマ @runayan18gmailcom
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