第4話 この世の視界

「ううう、、」

頭が痛い。体がだるい。僕はゆっくりと起き上がる。

目の前に後ろを向いた青年がリンゴを剥いていた。ノドが痛くて声が出ない。

僕が戸惑っていると動かした手に何かが当たった。

見てみると……

「ロイズさん!、?」

ロイズさんの服の隙間から包帯で巻かれたのが見える。

彼女の表情はかなり苦しそうに息をしている。汗をかきながら。

「起きたか?」

と言いながら青年が振り向いた。

「あの、、、僕達、、」

僕は一体どうしてここにいるんだ?確かロイズさんに敬語を使って、

………思い出せない。

僕が頭を痛めていると、

「君たちはこの村の近くの崖の下で見つかったんだ。この人が

君を庇う(かばう)ように倒れていたから君は軽傷で済んだ。」

あ、そうだ。僕とロイズさんは崖から落ちたんだ。爆発しながら。

茶色の髪の青年は僕にリンゴを差し出してくれた。

僕はお辞儀しながらリンゴを取って、

「あの、あなたは?」

「ふむ、私はリン・アドラ。この村の長の孫だ!!!」

リンなんて苗字じゃないよな。まるで、、、

「外国人みたいだな。」

「ロイズさん!」声の主はロイズさんだった。平気な顔でリンゴを

食べている。

「おお!起きたのだな!」アドラさんはめっちゃ嬉しいそうに

笑っている。優しい人なのだろう。

「ロイズさん!大丈夫ですか!?」僕はリンゴを飲んで言った。

「……まあな」

ま?まあな?ロイズさんは何か考え込んでいる。そして、

「俺は大丈夫だから行くぞ、ミノル。アドラ、感謝してる。」

と言って立ち上がろうとすると、

ーガンッー

開いていたドアをアドラさんが閉めて「ダメだ。」

そして持っていたナイフの反対側でロイズの膝をコンコン叩いた。

「痛ってぇな!!なにするんだ!」

「このくらいの振動で弱まっては道中危険になるだけだ。」

ロイズは膝を抱えている。僕が見る限りそんな強く叩いてなさそう

だけど……

「ロイズというのだな。お前………骨折してるんだぞ」

え………僕の心の中でそういった。こ、、骨折?!?そんな、

「普通の人は立てやしないのにお前たちは何者だ?」

さっきからアドラさんはとても冷静に話している。中性的な顔だから

判断しずらいが多分男の人だ。胸がまな板だからかな。

青いアドラさんの目はまっすぐにロイズさんを見ている。ロイズさんは

悔しがっている。

「俺らはルカルト王国のもんだ。ここの村はルカルト国民の立ち入りを

禁止しているはずだ。どうせ俺が東に走ったからここ釋乱(しゃくらん)

だろ?その辺の村はルカルト王国を大層嫌ってる。お前もその正義感

満載にしてると嫌われんぞ。」

『俺が東に走った』……?そうだったけ?さっきから頭が痛い。

ロイズさんが暴走して以来覚えてない。

ルカルト王国の東にある釋乱国。ルカルトや温凝に比べたらかなり

小さい国。独自の宗教方法や革命が昔あったことから、今は能力を

持つ人が多い。その点は温凝に似ている。

昔釋乱国民をルカルト国民が奴隷にしていたことからたまに村では

立ち入り禁止令が出されている看板がある。

「よく分かったな。釋乱と。」真剣な顔のアドラさん。

「まあな。知識と方角能力は高いもんで」ニニヤニヤしてるロイズさん。

ど、、どうなるn…

ープテッ

音がする方を見るとドアを開けて少年が転けた。

「大丈夫?」僕が近づこうとすると、

「やめて!!」

!?すると女の人が少年を抱いて、

「あなたたちルカルト国民ですよね?自然隊の印が貴方のポケットから

見つかりました。我々の村は立ち入り禁止令を出されています。

直ちに出てってください!!」

と僕の手を払った。

「………とこいつも言ってる。俺らは行くぜ。」

こいつって女の人のこと?口悪いな、、と村の人が集まってきた。

ロイズさんと目が合って『行くぞ』と言っている。僕は頷く。

「アドラさん、手当ありがとうございました。」

深くお辞儀した僕とロイズさんは避ける人混みの中を出ていった。

するとロイズさんの様子がおかしい。痛いのだろうか。

「30……5,6,7…これじゃ無理だな。ミノル、手伝え」

「ん?なんのことですか?」

すると村のいたる所から武器を持った人間が沢山集まってきた。

40人くらいだろうか、、、、

「きゃー!海賊だ!」

みんなは家に逃げようとする。が、

「へへ、金寄越せ」と塞がれてしまっている。

「おい!ミノル!ぼーっとするな!俺はこっち殺すからお前あっちな!」

かくれんぼとかのゲームじゃないんだから。。

僕は戦うのがめっちゃ下手だ。大丈夫かな、

とぼーっとしてた時…

「おい!バカ!後ろ…」

ロイズさんの声が…後ろ??僕が振り向こうとすると、

ーキーン

「出ていけ。」

僕を庇ってくれたのは…アドラさんだった!ナイフで大剣と戦っている。

ちなみにロイズさんは素手だが、

「ありがとう、アドラさん!」

「ぼーっとしてる暇はない。殺るぞ」

と僕に向かって彼なりの大きな声。少し高い。


「やったのか?」

僕は5人くらいを気絶させた。40名が倒れている。すると村人が

出てきた。

みんな黙っている。アドラさんは軽傷を負ってしまった。だから

手当している。

「行くか、ミノr…」

「待たれよ、」

この声は………

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